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30話 【断罪】ハム侯爵を傀儡にしよう! 2



私は続けて、ハム侯爵家への制裁を言い渡す。



「虹の広場の管理は、今後ベルドレッド公爵家が主導します。

放置すれば治安が悪化し、元プランタン男爵領の二の舞になりますから。

それと、侯爵家の使用人は本日付で全員解雇。

精査の後、再雇用を検討しますが……筆頭執事とメイド長は解雇確定です。

理由は分かりますわね?

貴方たちと甘い蜜を吸い、エドモン様とルーラ様を虐げた罪、万死に値しますわ。」


さらに、一番の浪費家であった侯爵夫人を指差す。


「貴女には修道院に入っていただきます。

異論は認めません。」


「は、はあ!?私が修道院ですって!?

誰に向かって言っているの!この小娘!」


「……仕方ありませんわね。では選択肢を差し上げましょう。

私の知人に仲介業を営む者がおりますの。

そちらで相応の奉公先を斡旋してもらうか、修道院か…選ばせてあげますわ。」


「何を…!あなたも何か言ってちょうだい!」


夫人は侯爵に助けを求めたが、彼は黙って目を逸らした。

保身と、互いの愛人問題で冷めきった夫婦仲。

そこに助け舟など出るはずもない。


「イザベル様…。妻に関しては、あなたにお任せします…。」


「承知しましたわ。」



私が指をパチンと鳴らすと、ドアを開いて現れたノアが喚き散らす夫人を取り押さえ、引きずっていった。



「では、ハム侯爵。

エドモン様とルーラ様を立派に育ててくださいね。

教育係と、侯爵家の運営指示兼貴方の行動を監視……いえ、補佐する執事長はこちらで用意します。

貴方は彼が成人するまで、ただの『傀儡』として生きていただくことになりますわ。」


屈辱に唇を噛む侯爵。

だが、十歳の子供に全権を握られた男に、反論の余地は残されていない。


「あぁ、言い忘れましたが、ハレム様もこちらでお引き受けしますね。

それと、妙な反抗心は起こさない方が身のためですわ。

それでは。」



そう言って私とリルは部屋を出た。




その晩。


往生際の悪いハム侯爵は革新派へ密告に走ろうとしたらしいが、ノアの網に掛かり、翌朝には髪も抜け落ち、別人のようにゲッソリした姿で発見された。


(ノアがどんな手段で侯爵を納得させたのか、あえて聞くつもりもない…というか知りたくない。

ノアは最近、私より拷も…いや、尋問の知識が増えたから付いていけない…。)






夫人は「愛人と駆け落ちした」という筋書きで、ジンバイ(人間を売る()()())を通じてマッドサイエンティストが集う秘密の研究所へ「検体」として売却した。

喉を潰し、ペンも持てない状態にしてあるため、情報漏洩のリスクはない。


侯爵に黙って愛人と駆け落ちした、という筋書きで消えてもらうので、革新派のスパイであっただろう愛人もノアが捕獲し、彼女と道連れに売った。

喉は潰し、手もペンが持てないくらいの状態にしたとのことだったので、情報が漏れることはないだろう。



侯爵家は夫妻の散財で赤字寸前の経営だったので、売ったお金は、侯爵家への支援金として渡した。

ハム侯爵は知らないが、エドモンとルーラには伝えてあり承諾を得ている。



(世の中には色んな非合法組織があるもんだなー。

でも、どんな聖人君主が国王になったとしても、犯罪者は絶対に消えない。

だから、犯罪者がより非道な狂人の犠牲になれば、個人的には『適材適所』だなって思えるなぁ。)



ハレムに関しては、彼が弄んだ女性たちの苦しみを骨の髄まで味わってもらう。

男娼として強制就労させ、その稼ぎは全て被害者たちへの賠償と婚外子の養育費に充てるシステムを構築した。

もちろん、逃亡や外部連絡は不可能な処置を施してある。


(いや〜ジンバイめちゃくちゃ活躍してるなー。リルに感謝感謝〜。)




数日後。


一変した侯爵邸で、エドモンとルーラが私に膝をついた。



「イザベル様…!

あなたには感謝してもしきれません…!

どこまでもついて行きます…!」



「イザベル様!ありがとうございます!

あなたがくれたこの環境で、僕は必ずあなたに報いると約束します!」


輝くような二人の瞳。

だが、私は彼らを心の底から信用したわけではない。

幼い彼らは、これから何色にでも染まる。

誰かに唆されるかもしれないし、私が彼らを縛りすぎれば、いつか反動で足元を掬われるかもしれない。

リルやノアのように、家族の命という「決定的な枷」がない彼らは、私にとって扱いにくい存在なのだ。



(今はとりあえず、旧体制派に属してくれさえすれば良い。)



「どういたしまして。

一緒に侯爵家をより良い場所にしていきましょう。

これからも仲良くしてくださいね。」


私は、内面の冷徹さを完璧な社交辞令で覆い隠し、爽やかな笑顔で侯爵領を後にした。



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何卒よろしくお願い致します。

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