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29話 【断罪】ハム侯爵を傀儡にしよう! 1



ハレムを廃嫡すると言った侯爵。

その後、ハレムが騒ぎ立ててうるさいので、監視付きで部屋からは退出してもらった。



だが、私の目的はまだ終わっていない。



「あら?ハレム様お一人を切り捨てて、幕引きを図るおつもり? 」



私はティーカップをソーサーに戻した。

カチリ、と硬質な音が室内の空気を切り裂く。



「な、何を仰る! 責任の所在は明確にしたはずだ。

後継者を失い、我が領の未来を潰してまで…これ以上何を望む!」



「侯爵夫妻に、見ていただきたいものがございますの。リル、用意を。」



すると、リルはまだ手に持っていた書類をテーブルに置いた。


それは、ハレム個人の醜聞ではなく、『異種族支援』の名目で国から受けていた補助金の横領。

革新派からの不自然な資金援助。

そして、夫妻がそれぞれ懇意にしている愛人たちとの密会記録。

しかも、その愛人たちは揃いも揃って革新派の人間だ。



資料を読み進めるにつれ、二人の顔から血の気が引き、やがて醜い責任転嫁が始まった。



「最近妙に家の金が減ると思った! お前が使い込んでいたのか!」

「あなただって、どこぞの女に貢いでいるでしょう!?」



「……そこまでにしてくださるかしら? 本題はここからですので」



私の冷ややかな一言で、ようやく夫妻がこちらを見た。



「調べるのに苦労したので(ノアが。)喜んでいただけて何よりですわ。

さて、それでは交渉に入りましょうか。」


「交渉だと?

調子に乗っているな小娘が!ハレムの廃嫡以上に何を望む!」


「そうですわ!()()()()にも程があります!」


自分たちにも害が及ぶとなると、分かったのだろう。

冷静さを失ってきている。



「立場が分かっていないようですね。

私はあなたたちの不正の証拠を握ってますのよ?

この資料は公爵家と公爵家以外の場所にも共有済みです。

私を黙らせたところで、自動的に表へ出る仕組みになっていますわ。

私に危害を加えようものなら、破滅が早まるだけだと頭に叩き込みなさい。」



「なんだと…!」



「公表されれば、あなたたちは当然罰を受ける。

領民も、自分たちの税が侯爵家の私腹を肥やすために使われていたと知れば、タダでは済まさないでしょうね。

さらに革新派も、自分たちの関与が露見する前に、口封じで暗殺者を送り込んでくるかもしれませんわよ?」



最後の一言で、ハム侯爵が震え上がった。

心当たりがあるのだろう。



「ど…、どうすれば…。」



ハム侯爵の先ほどの勢いは、どこかへ行ってしまったようだ。



「そうね…。まず、後継者はエドモン様にしてもらいます。」



「は?!なぜあんな子がっ…!!

跡取りは他のもっと良い貴族から…!」



そう言ってハム侯爵夫人は激怒したが、

ハム侯爵は立場が分かってきたのだろう。

夫人を制止する。



「エドモン様とルーラ様には貴族の学校に通ってもらいます。

そこで貴族のマナーを学んでもらいます。

あそこはうちも出資してるから口を出しやすいし、思想が偏った授業はそんなにしないはず。

虹の学園に関しては閉鎖。

理由は…そうね、『経済状況悪化のため』でいいんじゃないかしら?

元々あった自領民だけの学校に戻しましょう。」



「そ、そんなことをしたら革新派が黙っていない……!」


「構いませんわ。

あなたの隣の領地には革新派と旧体制派があるわよね。

隣領の旧体制派と取引できるよう、父に助言して差し上げましょう。

これからは旧体制派の傘下に入りなさい。

お金の流れを探られたくないのは、向こう(革新派)も同じ。

深追いはしてきませんわ。」



「異種族も何か言ってくるぞ…!何をされるか…!」



「隣の革新派領地へ行けばもっと良い暮らしができる、と追い出せばよろしいでしょう。

何かされたら、こちらもやり返すまでですわ。」



国内から全員追い出してやりたい気持ちはある。

だが、今は少しずつ確実に制限していくことの方が大事なのだ。



(領地ごとに裁量があって良かった。

でも、そのうち国は異種族の受け入れ人数が「不平等だ!」とか言って全領地に何百…何千人…それ以上を受け入れろって強制してきそう…。

うちはうち、よそはよそ!なのになー!)



前世の「全体主義的な押し付け」の記憶がよぎり、私は心の中で深く溜息をついた。



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何卒よろしくお願い致します。

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