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28話 【断罪】ハレムを廃嫡!



二日後。


私はベルドレッド公爵家の紋章が刻まれた馬車で、堂々とハム侯爵邸の門を潜った。


ハレムに案内された応接室には、ハム侯爵と侯爵の正妻、そしてハレム本人が揃っていた。

対するこちらは私とリルのみ。


侯爵に、イザベルの両親は「自分の子供(イザベル)の直感を尊重する。」とのことで、欠席であることを伝えた。

実際は私が両親に「こんなことに手を煩わせるわけにはいきませんので!」と言って、来ないでもらったのだ。


(まぁ、父様も母様も忙しいですからね…。

あと顔に『行きたくない』って書いてた。)



「それで、我が息子とはいかがでしょうか? イザベル様。」


ハム侯爵が、品定めするように、それでいて媚びを含んだ笑みで問いかけてきた。

私は完璧な「お人形」の微笑みを浮かべた。



「そうですね…。

ハレム様と見学した学校が…なかなか興味深かったですわ。

おかげで、ハム侯爵家の考え方や方針…『思想』が知れた気がします。」



「ほう!では、やはりハレムと結婚をお決めになられたのですね!」

「当然ですわ!」


ハム侯爵は出っ張った腹を、夫人が扇を揺らして喜ぶ中、その雰囲気を壊す言葉を私は発する。



「それはないと、断言いたしますわ。」



「「「はぁあ!?!?」」」


ハム侯爵家一同、声が揃った。


「な、なぜですか!?

り…理由を伺っても…?」



「主に、学校の趣旨が私の思想とは合わなかったのですわ。」



ここではあえて、ハレムの性格がクズだから…!とは言わない。



「はっ?!

私たちの学校では、国王陛下が推進している『多様性』や『異種族との共生』が出来ていると分かったでしょう!?

イザベル様がここまで浅はかな考えをお持ちだったとは…。

公爵家では一体どんな教育をしているのやら…。

まぁ…所詮は小さな無知な子供…というわけか。」



(完全にアウトな物言いなんだけど、今は話が進まなくなるからスルーしてあげるわ。

後半小声で言ったこと聞こえてるんだからな…。

あとで覚えとけよ。)


私は自分の頭の中で、物理的にハム侯爵家を粉々にする想像をすることで、怒りを抑え込んだ。

冷静になったところで、反論の開始だ。



「人間にのみ納税と清掃の義務を課し、異種族には無償の食事と権利をバラ撒く。

これを『多様性』と…?『逆差別』ではなくて?」



室内が凍りついた。ハレムが顔を引きつらせる。



「はっはっは。イザベル様はまだ十歳。

これから社会について学ぶ年齢ですからな。

我が家にて教育いたしますので、ご安心ください。」



…などとハム侯爵が戯言を言い始めた。

侯爵夫人はポカンとしている。

話についていけていないようだ。



「やはりベルドレッド公爵に実際に会ってお話しせねばならないようですな…。

では日を改めて…。」



と、ハム侯爵がお開きにしようとしたが、私はそうはさせてやらない。



「ハム侯爵。

私、本日は婚約のお断りだけではなくて、他にも面白いお話をしようと思ってきたのです。

さぁ。リル。出してちょうだい。」



私がリルに指示すると、リルは手に持っていた書類をテーブルの上に置いた。



「こちらは、ハレム様が学校と学校外で手を出して泣かせてきた女性たちの証言ですわ。

ハレム様、どうやら子供までお作りになられていたとは…。

それを黙って私と婚約しようとしていたことが、あり得ませんわ。」



「チッ…。」


なんでバレた?とでも言いたげな様子のハレム。

ハム侯爵夫妻は、表情が固まっている。



「それに、異種族の男性たちへの接待要員として、学校に在籍している女子生徒を斡旋しているようではないですか。

その見返りに、あなたは異種族の女性と交流されているそうですね。」



「そっ!そんな事実はない…!!」



「フフッ。なんで公爵令嬢の私にバレないと思ったのか不思議ですわ。

舐めてますの?」



私はじわりじわりとハレムに畳み掛ける。



「っは!たかが十歳の子供が!

子供がいたからなんだ!

異種族に斡旋したからなんだ!

異種族とヤッたからなんだ!

お前は大人しく私と結婚して、公爵家から金を引っ張って侯爵家の後ろ盾になってればいいんだよ!」



ハレムはとうとう、本音を曝け出した。

ハム侯爵夫妻はアワアワしている。



「そう…。

人間の女子生徒…。いえ、中には男子生徒も斡旋していたそうですね。

それに、あなたの犠牲になった人たちや婚外子へ、何も思わないのですか?」



「思うわけないだろ?

私は貴族だぞ?

自領の発展のために、平民を有効活用するのは当たり前だろう?

学校に通わせてやっているだけでも、感謝してほしいくらいだ。」



ハレムは吐き捨てるように言った。



「そう…。ハム侯爵夫妻も同じお考えですの?」


「えっと…。」



侯爵夫妻は言葉に詰まっている。



「残念でなりませんわ。

このことは、私の父に報告させていただきます。」



そう言って私が席を立とうとした瞬間…


「ま、まて…!」


焦ったハレムが私に飛びかかってきた。

が、リルがそれを制する。


ハレムの腕が本来曲がらない方へゴキッと折れる音がしたが、正当防衛なので問題ないだろう!



「ハム侯爵。

今この方、私に手をあげようとしましたわね?

さて…どうしたものでしょうか…。

この方(ハレム)は侯爵夫妻とは関係なかった、ということにして差し上げてもよろしくてよ。

ただし、こちらの方(ハレム)はどこかに行ってもらっても良いですか?」



私は夫妻に提案をする。



「えっ?」


侯爵夫妻は困惑している。

意味がわかっていないようだ。


「私が十歳だから、子供だから、何もできない、何も言えない、歯向かえない、手を出してしまえばこっちのものだって思っていたのですよね。

ですが私は公爵家の令嬢ですよ?

考えが甘かったですわね。

このことはきちんと父に話しますわ。

それと…」


私は最大限に口角を上げて宣告する。


「新聞社にでも、話してしまおうかしらねぇ。」



その言葉にハム侯爵夫妻とハレムが青ざめた。


醜聞は、噂ベースでも貴族間でよく広まる。

だが、平民に正確に情報が回ることはない。


私が「手を挙げられそうになった」「怖かった」と新聞社にリークして国中に広まれば、ハム侯爵家の立場は危うくなる。

ハム侯爵が「事実ではない」むしろ「ハレムが公爵家のメイドに骨を折られた」と反論することも可能だが、そうなった場合、『そもそも、なぜそんなことになったのか?』となるだろう。


深掘りされて困るのはハレムの方だ。

自領の民を食い物にしていたことが知れたら、侯爵領で一揆が起こる可能性だってある。


それに、異種族との問題は事故として片付けられているのに、今回のことが表に出てしまえば旧体制派側からは批判追求の的になり、革新派からは「もうこっちくんな、俺らは関係ないぞ」となってしまうだろう。



「そ、それだけは…。」


跪いて震えるハム侯爵。



「ねぇ、ハム侯爵。

どうされます?」



「…。ハ、ハレムを……廃嫡…します。」



「あ、あなた…!」


「父上…!!」


(まずは一人目…。)



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