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17話 ジンバイの活躍…?

元男爵領、ジンバイの家にて。

昨夜の地獄から一転、屋敷に招かれたリルは、イザベルからつけられた三人の護衛を背後に従え、深々と頭を下げた。


「ジンバイ様、今日はお招きくださり、ありがとうございます。」


「いえいえ!とんでもないですぞ!命の恩人である聖女様に足を運んでいただき、誠にありがとうございますですぞ!」


「いえ…、私は聖女では…リル、と申します。」


「おおお!リル様!聖女様のお名前を聞けるとは、幸せの極みでございますぞ!!」


ジンバイが歓喜に震える中、リルはふと視線を落とし、さめざめと泣き出した。


「そ…そんな、私なんかの名前で喜んでいただけるなんて…。

ウゥッ…。」


ジンバイは驚き、「せ、聖女様!どうしたのですぞ!?」と聞いてきた。


「実は…昨日、元男爵家に向かう途中、暴漢に襲われたのです…。」


「な!なんていうことですぞ!

聖女様はそんな辛い中でも、私を助けてくれたということなのですか!?」


「はい…本当は昨日、昼間に元男爵家に行くはずだったのです。

でも、夜になってしまったのは…うっ…うっ…暴漢たちが…。

それでも、怖かったけど…、元男爵家の令嬢だった身として、家がどうなったのか見ておきたかったのです…。

うっ…うっ…。」


「……なんですとおぉぉぉ!?」


ジンバイの顔が怒りで真っ赤に染まる。


「ゆ、ゆ、ゆ、許せないですぞぉぉぉぉおおおおおお!!

このジンバイ!聖女様のためにその暴漢たちを消しますぞぉぉお!」


「えっ、でも、そんなっ!ジンバイ様の手を煩わせるわけには…。

それに、その…、暴漢というのが…、信じられないかもしれませんが、この領の警備隊の者たちなのです…。

なので、ジンバイ様には…その…難しいと思うのです…。」


「大丈夫でございますぞ!

実はですぞ…私は…!」


ジンバイは胸を張り、自信満々に言い放った。


「表の顔は服屋の店主☆裏の顔は『仲介屋』☆

どんな相手も異種族に売ってしまう仲介屋ジンバイとは、私のこと!ですぞ!」


そう言ってジンバイは早速、暴漢たちを仲介屋の商品として売る準備に取り掛かった。



裏路地にて。

警備隊の隊長と取り巻きたちが、一人の女性を囲んで気炎を上げていた。

その中には、かつてノアをいたぶっていた無能な上司の姿もあった。


「おい、付き合えよ! 隊長様のお眼鏡に叶ったんだからよぉ!」


そこへ、猛烈な勢いでジンバイが突っ込んできた。


「ふうぅぅぅぅぅぅっ!

うぉらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!ですぞ!」


「おいジンバイっ!急にどうしたんだよ!? 」


慌てて小声で尋ねる隊長を無視し、ジンバイは大声を張り上げる。


「貴様らぁぁ! 私の聖女様に何という無礼を働いた!

弁解は無用ですぞ!」


「はぁ!? 何の話だ?聖女?俺たちはそんなこと知らっ……」


「黙れ! 嘘を吐いても無駄ですぞ! 聖女様が嘘を吐くはずがありませんぞ!」


ジンバイは隊長たちが女性に乱暴している現場を見た直後ということもあり、リルの言ったことを完全に信じていた。


「隊長、以下子分たちよ!

聖女様と同じ目に遭わせてあげますぞ!」


そう言ってジンバイは仲介屋の方で雇っている護衛兼拉致部隊に、隊長たちを捕縛させた。


その後、彼らは「商品」として異種族に売られていった。

売却先は獣人で、人間を「動くサンドバッグ」として、どれくらい頑丈か試すのが好きらしい。

彼らは、どれくらい生きられるのだろうか。

きっとそう長くはないだろう。



領内の治安を預かるはずの隊長たちがいなくなったので、多少問題になるかと思いきや、元男爵がリンチされても問題が無い程荒れていたので、特に問題はなかった。


隊長や取り巻きは素行が悪かったこともあり、誰からも気にされることはなく忘れられていった。



ちなみに、リルが暴漢に襲われたというのは…

イザベルが考えた嘘だ。



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