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「愛や多様性の犠牲者が誰になるか分かってんのか!」悪役顔の公爵令嬢イザベル、綺麗事で国を壊すバカどもを現実でボコす内政改革  作者: 猫目こね
イザベル十三歳。初等部二年生/イザベル十五歳。中等部二年生〜

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82話 国外の情報 1−2

長かったので切りました。

困惑させてしまって申し訳ありません。




「次に赴いたのが『獣人の国』だったのですが、ここは…最悪でした。

住みたくないランキング一位です。

彼らは生存本能と性欲に貪欲で、街を綺麗に保つという概念は存在しません。

多産ということもあり、人口増加に頭を抱えていました。

街を歩いても、道幅は広いのに獣人たちでぎゅうぎゅう詰め。

お店に入っても逃げ場がなく、心の余裕が一切なくなります…。

人が多いので昼夜問わずうるさく、睡眠不足にもなりました…。」





(いやーーー!睡眠不足はメンタル崩壊まっしぐら…。

はっ!

まさか…あなたたちが逞しくなったのって獣人の国で培われたの…?!)





私が想像を絶する程の苦労が、そこにはあったのだろう。

自発的に国外へ行くことが、どれだけ大変か。

どれだけ勇気のある行動か。




私は改めてエドモンとルーラに感謝の気持ちでいっぱいになった。





「その上、彼らは気に入った異性を見つけると、ストーカー化する性質がありまして…。

私たちも滞在中は何人もの獣人に交互に常に付きまとわれ、本当に恐怖を感じました…。」




「んなっ…?!なんですって…?!

もう何て言ったら良いか分からないわ…。

本当にお疲れ様…。

頑張ってきたのね…。」





「はい…。

そして私たちは、獣人国の上層部…、内政を司る高官と接触する機会を得ました。

その高官には、私が色仕掛けを行い、自白剤を混ぜた強いお酒をたっぷり飲ませて、本音をすべて白状させたのですが…。」





(ぶっふぉっ…!!

なかなか度胸があるんだね、ルーラ…!!)





私は思わず吹き出しそうになった。

色仕掛けに自白剤。



ルーラ、本当にただの侯爵令嬢なのだろうか。

ノアの部下だったりしないだろうか。






「その獣人の高官は、ゲラゲラと笑いながらこう言ったのです。


『人口が増えすぎて国内の配給が限界だった。

戦争でも起きて手っ取り早く間引きできれば、と思っていたところに、ちょうどよく人間の国(アステリア王国)が「異種族を受け入れたい」と間抜けな提案をしてきた。

これ幸いと余剰人口をたくさん送り込んでやった。

出稼ぎ労働者として他国で稼がせれば、我が国に外貨が転がり込んでくる。

しかもな…獣人の繁殖力を舐めるなよ?

人間の国に根付いた獣人は、数年で倍に増える。

気づいた頃には、その土地は人間の国ではなく、我ら獣人の国に塗り替わっているのだ。

はっはっはーーー!』


…と高らかに笑っておりました。」






「っ……!!」





私の背中に、冷たい汗が伝う。


革新派が「異種族との共生」と言い、可哀想な異種族をこの国で受け入れようと言ったり、人道的な行いをするためだと言ったりしてドヤ顔でやっていたことは、獣人の国から見れば「合法的な人口侵略」でしかなかったのだ。





「さらに独自に調査した結果、彼らはどの国に対しても入国出来次第、無断で定住し始めています。

我が国だけでなく、他の人間の国にも獣人を送り込み、内側から乗っ取る計画のようです。

人間の国が持つ『優しさ』や『道徳心』を利用して、獣人たちのテリトリーを増やす快感に味を占めている状態ですね。」





「最っっっ悪ね。

善意で開いた扉から、泥棒を招き入れた形じゃないの。

革新派の連中、このことを知ってたかは分からないけれど、国を滅ぼすのに手を貸してたって言っても過言ではない…。

まさに国賊ね。」




エドモンとルーラが頷いた。




「そして三番目、私たちが最も衝撃を受け、かつ、ある種の見本とすべきだと感じたのが『魔族の国』です。」




ルーラは一度言葉を切り、改めて真剣な眼差しで私を見つめた。




「魔族は、非常に理知的で、合理的で、圧倒的な先見性を持つ国でした。

他国への国民の流出も、異種族の流入も、徹底的に厳格管理されています。

そもそも、魔族の国に入るためにはお金を取られるのです。」





(前世でいうところの、入国税…か。

私も公爵領の虹の広場で出来るかな?って考えたけど…。

お金を取ってしまったら国や革新派貴族たちから、何されるか分かったもんじゃない。

それを魔族の国は、既に取り入れている…と…。

いーなぁぁあーー!!)





「この金額が、平民の平均年収に設定されているのです。

たった一度。

魔族の国に入るためだけなのに、です。

しかも滞在日数が長くなればなるほど、さらにお金が取られていきます。

ベルドレッド公爵領の虹の広場では、持ち物検査と身元の記載を義務付けているそうですが、魔族の国ではそんなことは大前提。

その上で高額なお金を取り、さらに


『魔族の国の法律を絶対厳守し、破れば相応の刑罰、最悪の場合は即座に死刑に処す』


という恐ろしい誓約書を書かされるのです。

国に入る時は、本当に生きて帰れるか不安で震えました…。」






「そう…。

でも、それだけ厳しいってことは、逆に言えば…」






「はい。

皮肉なことに、入国してしまえば、今回の留学先の中で最も治安が良く、最も安全で過ごしやすい美しい国でした。

幸いにも、私たちの友人が魔族の国の高官の子供だったため、その親である大貴族の方にお話を伺うことができたのです。

その方はこう仰っていました。


『魔族は角が生えていたり、恐ろしい異形の姿をしている者が多いため、他国からは見た目だけで忌避されがちだ。

だが、見た目が怖いからこそ、舐められることがない。

そして国内に入れば、見た目がどれほど凶悪だろうが関係ない。

逆に、見た目が優しそうでも中身が狡猾な者などいくらでもいる。

だから我が国の民は皆、「見た目で人を判断しない」という教育が徹底されているのだ』


と。」







(なるほど。

外見よりも「内面の恐怖」を知るための論理的教育がされているからこそ、彼らは詐欺や甘い言葉に引っかからない。

リスクヘッジの塊のような、極めて知性的な民族ってわけか。)






「だからこそ魔族の国は、人間の国が『虹の広場』という名のザル警備スラムを作ったと知るや否や、すぐに入国制限と罰則を強化したそうです。

獣人の国のように


『馬鹿な人間の国を利用して、自国の厄介者を押し付けてしまえ』


と考える内政官も一部いたようですが…。」






ルーラの話を聞きながら、私は深く腕を組んだ。





魔族の国。


理知的で、合理的で、話が通じる。

仲良くなれればこれ以上なく心強いビジネスパートナーや同盟相手になれるだろう。




だが、難点は、彼らが「あまりにも合理的で頭が良すぎる」ことだ。




笑顔で握手を交わしながら、頭の裏では一体どんな思惑を持っているのか分かったものではない。

油断すれば一瞬で喰われる。

そういう意味では、別のベクトルで常に疑心暗鬼に陥ってしまいそうな、恐ろしい国でもあった。






(でも…、これではっきりした。

国外では異種族のウェルカムなんてやってない。

この政策のせいで、人間の国は…、人間はバカだと見下されてしまったんだ。

革新派貴族…、リュシアン殿下…、そして…アニエス。

こいつらのせいで…。)




私の内心の怒りがフツフツと沸騰してきた。

が、冷静になる。



そう、まだアニエスの出身国であるエルフの国の話がまだなのである。






「―――次で最後よね。『エルフの国』…ね。」




私が促すと、ルーラとエドモンは顔を見合わせて、ゆっくりと口を開いた。




「はい、イザベル様。あそこは…」




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