↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導省魔導災害局  作者: すもも
第一章 事故から始まる結婚

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/40

18 現地調査

2026.10.26 修正

18 現地調査


王都東部魔導供給施設には、魔導災害局から十二名が入ることになった。魔導先端工学課、魔導生物工学課、魔導情報工学課。各課から四名ずつ。


事故現場は現在も封鎖されている。原因を調べるため、同じ設備を持つ別の施設で、事故時に開かなかった扉を含めて確認することになった。


防護服に着替え、アストリッドたちは施設職員の案内で設備区画へ入った。


「事故現場と同型なのはこちらです」


設備区画には、事故現場と同型の媒質貯蔵設備や扉もあった。まず全員で、前回確認した第二変換設備の制御盤へ向かう。各係に分かれる前に、調査対象の回路を確認する。


制御盤の前では、オリヴァーが内部を確認していた。


「そのままですね」


レオンが隣で記録を取っている。規格表示のない回路が一枚、ほかの回路の間に収まっていた。事故現場で回収されたものと、外見上の共通点がある。


オリヴァーが端子の配置と固定部分を確認する。


「前回から変わっていません。ユリウスさん、外して確認してもいいですか?」


ユリウスが施設職員を見る。


「設備への影響は?」

「切り替えれば問題ありません」

「では、ほかの確認が終わってから外しましょう」

「分かりました」


そのとき、通路の向こうから複数の声が聞こえた。アストリッドが顔を上げる。別の施設職員に案内されて、一団が歩いてきていた。全員、防護服を着ている。


「本日は国立大学の院生の見学の予定が入っていまして」


案内役が説明した。先頭にいる二人には見覚えがあった。会議や現場で何度か顔を合わせている、ピーター・メイソン教授と、その助手のダニエル・グレイだった。後ろには大学院生が六人続いている。


メイソン教授がこちらへ顔を向けた。


「これは、魔導省の皆さんでしたか」


互いに挨拶を交わす。


「先日の事故の調査ですか?」

「はい」


ユリウスが答えた。


「事故現場は現在も封鎖されていますので、同じ設備のある施設で原因究明に向けた確認をしています」

「扉が開かなくなったと聞いています」

「その点も調査しています」


事故が発生し、職員二名が巻き込まれたことは公表されている。誰が巻き込まれたのかまでは公表されていない。


メイソン教授が後ろの大学院生たちを示した。


「魔導回路を専攻している学生たちです」


大学院生たちの視線は、開かれた制御盤へ向いていた。オリヴァーが作業を再開すると、興味深そうにその手元を見る。施設職員がメイソン教授を紹介した。


「教授は、この施設の建設にも関わっていらしたんですよ」


ユリウスが教授を見る。


「建設当時の設計にも?」

「ええ。設備設計の一部を担当しました」


ユリウスが制御盤へ目を向けた。


「でしたら、一つ確認していただけますか」

「何でしょう」


オリヴァーが場所を空ける。ユリウスが、規格表示のない回路を示した。


「こちらです。見覚えはありますか」


メイソン教授が制御盤の中を確認する。大学院生たちも、少し離れたところからそちらを見ていた。


しばらくして、教授が答えた。


「私が設計したときには、なかったものです」


オリヴァーが設計図を開く。


「現在残っている当初の設計図にも記載がありません」


レオンがその内容を記録する。オリヴァーはもう一度、回路を見た。


「少なくとも、当初の設計には含まれていなかったということですね」

「ええ」


ユリウスが頷いた。


「ありがとうございます」

「いえ。参考になったなら何よりです」

「アストリッド」


タクトに呼ばれ、そちらを見る。


「媒質側を確認するぞ」

「はい」


アストリッドは制御盤を離れた。ロイとエミールも合流し、四人で魔導媒質を扱う区画へ向かう。


事故現場と同じ設備が並んでいる。アストリッドは現在の数値を確かめ、運転記録を遡った。魔導媒質の状態や濃度に異常はなく、過去の記録にも、事故現場で確認されたような異常値は残っていなかった。


「こちらは問題なさそうですね」


エミールが言った。


「はい。少なくとも、確認した範囲では異常はありません」


アストリッドは最後の記録を保存した。


そこへ、通路から声が聞こえてきた。先ほどの大学の一団が、施設職員の説明を聞きながらこちらへ入ってくる。オリヴァーたちの作業を熱心に見ていた学生たちは、今度は魔導媒質の設備を見回している。


アストリッドは端末を閉じた。


あの回路は、いつ、どの段階で組み込まれたのか。そこを確認する必要があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。