↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導省魔導災害局  作者: すもも
第一章 事故から始まる結婚

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/40

14 解析結果

2026.10.26 修正


14 解析結果


職場へ復帰してから、一週間が経った。アストリッドはすでに通常勤務へ戻り、現場へ出る許可も下りていた。入院中に滞っていた仕事も、ほとんど片づいている。


午前の仕事を進めていると、報告書を手にしたオリヴァーがユリウスのもとへ向かうのが見えた。


「ユリウスさん。魔導先端工学局の解析結果です」


ユリウスは報告書を受け取り、ページを開いた。オリヴァーが報告書を指し、ユリウスがページをめくる。二人は声を抑えて話していたため、アストリッドの席までは内容が聞こえなかった。


ユリウスは何枚かページを戻した。何かを尋ねると、オリヴァーは別の資料を開いて指し示した。やがて、ユリウスが席を立った。


「ブルーノさん。解析結果の件でご報告があります」

「分かった。小会議室で聞こう」


ブルーノとユリウスが小会議室へ入った。扉が閉まったあとも、フロアでは端末を操作する音と、書類をめくる音が続いていた。アストリッドも仕事へ戻った。


しばらくして、小会議室の扉が開いた。出てきたユリウスは、そのまま魔導情報工学課の方へ向かった。


「アランさん。少しよろしいですか」


声をかけられたアラン・エメロードが席を立ち、ユリウスとともに小会議室へ入っていく。


魔導情報工学課の課長まで呼ばれた理由は、アストリッドには分からなかった。


さらに時間が経ってから、小会議室の扉が開いた。ブルーノとユリウス、アランがフロアへ戻ってくる。ブルーノは自分の席へは戻らず、職員たちを見渡した。


「全員、少し手を止めてくれ」


端末を操作する音が止まり、職員たちがブルーノへ顔を向けた。アストリッドも手元の資料を置く。


「事故現場から回収された魔導回路の解析結果が出た」

「解析の結果、あの回路には、施設の正規の通信系統を経由せず、外部から送られた信号を受け取る機能が組み込まれていた。受信した信号を、接続された設備の制御回路へ伝える構造になっている」


周囲で小さく声が上がった。


「作業員二名が症状を起こした時刻と、その後の事故が発生した時刻。どちらについても、外部からの信号を受け取った記録は確認できていない。送信元も不明だ。引き続き、通信記録と設備の記録を調べる」


アストリッドは、先ほどアランが小会議室へ呼ばれた理由を理解した。ブルーノは一度、フロア全体を見回した。


「問題は、同じ魔導回路があの施設だけに組み込まれていたとは限らないことだ」


近くで誰かが小さく息を呑んだ。


「王都とその近郊にある主要な魔導施設を調査する。複数の班を編成し、それぞれ担当する施設へ向かってもらう」


一度に多くの施設を調査すれば、何か異常が見つかったことを外部へ知らせかねない。ブルーノは続けた。


「名目は新人研修だ。今年度の新人に主要施設の構造と管理体制を学ばせる現地研修として、各施設へ通知する。研修の準備と実施を兼ねて複数の班で施設を分担し、魔導回路、通信系統を確認する」


職員たちは黙って聞いている。


「不審な回路や部品を見つけても、その場で取り外すな。位置と接続状態を記録し、班の責任者を通して報告すること。施設側には通常の研修として対応してもらう」


調査していること自体を気づかせてはいけない。


「班分けと担当施設は、今日中に各課長から伝える。実施は来週からだ。それまで、外部へこの件を話すことは禁止する」


ブルーノの説明が終わると、職員たちはそれぞれの仕事へ戻った。


午後、端末へ調査班の一覧が届いた。アストリッドは、魔導先端工学課のレオン・ウォーカー、魔導情報工学課のリタ・テイラーと同じ班で、引率役として班責任者を務めることになっていた。


少しして、レオンが椅子を引いて近くへ来た。


「同じ班だな」

「はい。よろしくお願いします」

「こっちこそ」


その後ろから、端末を持ったリタもやってきた。


「アストリッドさん、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」


アストリッドは担当施設の資料を開いた。設備の概要と、研修で確認する項目が並んでいる。回路と通信系統に関係する項目へ目を通していると、レオンが画面を覗き込んだ。


「回路周りは俺が見ればいい?」

「お願いします。制御盤の内部と、規格表示を確認してください。ただし、不審なものがあってもその場では触らないでください」

「分かった」


アストリッドはリタを見る。


「リタは通信系統をお願いします。通常の通信経路と、設備側の接続を確認してください」

「はい」

「施設の方から質問された場合は、研修で確認する範囲だけ答えてください。今回の解析結果については話さないようにお願いします」


二人が頷いた。アストリッドは資料へ視線を戻した。研修で確認する設備と、今回の調査で調べなければならない箇所。施設側に不自然に思われない順序で回れるよう、確認項目を並べ直していく。


「現地で判断に迷うものがあれば、その場で相談してください」

「了解」

「分かりました」


レオンとリタが自分の席へ戻ったあと、アストリッドは担当施設の資料を上から順に確認していった。建物の配置と設備の種類、点検区画への入室手順、過去の整備記録を確かめる。


事故後、初めて現場へ出ることになる。アストリッドは必要な装備の一覧を確認し、自分の端末に記録する。


王都北部魔導供給施設だけに存在するものなのか。それとも、ほかの施設にも組み込まれているのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。