↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/11

9)陰の天国

 何度か舞踏会で見ていたギニョール君。容姿はクラン様とは似ていなかった。

 母親似(グギギ……)らしく、黒い髪と青い瞳の美少年で、ぬいぐるみを抱えたまま下を向いている。


 し・か・し! 父親そっっっっっくりの陰のオーラが漂ってる!


 目元にある隈まで同じって、血筋を感じるわぁ~。かわいいかわいい!

 たまらん! 抱きしめて頬ずりしたい!!

 てゆーか、今更だけど子持ちってことは、クラン様、エッチなことしたんですね!?


 私なんかクラン様とキスもしてないのに!(涙)と、うるうる泣いていると、心理がクラン様にはバレたのか、さくさくと話を進められた。


「ギニョール、この女性がお前の母となる……」

 言いかけるクラン様に、ギニョール君は首を振った。


「……どうせお父様と、ボクに嫌気がさして逃げるひとの名前を聞いても、無意味です。ボク、お祖母様の元へ戻ります。急に呼び出されたから何かと思えば……」

「ギニョール!」


 クラン様が叱った。けど、12人も逃げてたら、そりゃあ子供の心に傷を残すよね……。

 私はクラン様の腕を掴んで止めた。


「いいんです! クラン様!」

「し、しかし、アリエン……」


 そこでギニョール君が、ぴくっと反応した。


「お父様が名前を呼んでる……」


 どうやらクラン様は今までの嫁を『どうせ逃げるだろ』と、名前で呼ばずに『君』とか『貴女』とか呼んでたらしい。私も最初それされたわ~。(遠い目)


 私はギニョール君に近づくと、しゃがんで目線を合わせた。


「私アリエン! 今日からよろしくね! ギニョール君!」


 ギニョール君は眩しいものでも見るかのように目を細めた後、プイッと横を向いた。


「……ちょっと距離感、馴れ馴れしすぎませんか? ボク、貴女をお母様と認めたわけじゃありませんから」


 その後に「……どうせ出て行く癖に」と小声で付け足した。


 クラン様が怒ろうとする気配を背中で察したので、私は首をこてんと横にして、出来る限りカワイイポーズでギニョール君に話しかける。


「安心していいよ、ギニョール君! 私、出て行かないから。てゆーか追い出されそうになったら、クラン様とギニョール君にタコみたいにしがみついて抵抗するから♥ウフフフフ」


 ニコッと微笑んだつもりが、欲望がダダ漏れしてしまっていたようで『ニチャア……』と嗤ってしまっていたらしい。

 ギニョール君がビクッ! としていた。

 そして私を指さしてクラン様に訴える。


「お父様! いくらモテないからって、こんな変人を妻に迎えたんですか! 笑顔が怖いです!」

「こら! ギニョール! 笑顔が怖いとか本当のことを言うな! アリエンの魅力は笑顔とかそういった普通の人類のものじゃない!」


 父子二人で私をディスるの止めてくれませんかねぇ。

 それにしてもギニョール君、かっわいいわあ~。

『この世の全てが腐り果てろ』とでも言わんばかりの負のオーラ出してるし。

 クラン様同様、私好み過ぎてハートが、つれぇええええ~~~~。


 抱きしめたくてジリジリ近づいてると、距離をとられた。


 もうたまらん! カワイイ! と私が走り寄って抱きしめる。

 もちもちぷにぷにの頬に頬ずりした。うぉぉぉおおおおおおおおお!!(雄叫び)

 ギニョール君は硬直していたけど、私は止められなかった。


「あーん! ギニョール君、カワイイカワイイ! たまらん~~~~!」

「やっ、止めてください! 憲兵を呼びますよ!」

「止めろアリエン! ギニョールも落ち着け!」


 クラン様にベリッと剥がされた。


 ギニョール君は部屋の隅まで逃げて「お父様! この人、おかしいです!」と叫ぶ。

 クラン様はキッと視線を強め、言い返す。


「おかしいのは認めるが……」

 えっ、ちょ、待って待って! すみません、魔が差してとオロオロ弁明する私の前で、クラン様が赤面して、ぼそりと呟いた。


「……それがアリエンの魅力でもある」


 クラン様……! 

 魅力って言えば何でも許されるわけじゃないんですよ……!(でも感動)



 こうして、何の前触れもなく、急に同居することになったギニョール君。

 上手くやっていけるかなぁ……。

 ……なーんて考えるわけもない! 上手くやるしかないでしょ!! こんな陰の天国!

 ギニョール君に認めてもらえるように頑張るぞ!!(今度は距離感を反省して)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。