↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/11

10)ギニョール君と仲良くなろう!

 その日からギニョール君はクラン様のお屋敷で暮らすようになった。

 私は、といえば……。


「ギニョール君♥おやつ食べる?」

「ギニョール君♥キャッチボールしない?」

「ギニョール君♥お昼寝しよっか♥」


 絡みまくった結果、本を読んでるギニョール君から冷たい目で「読書の邪魔なので近づかないでください」と言われた。

 くっ……! しつこすぎたか! 作戦変えよ!


 しかもギニョール君と仲良くしようとしてるのに、なんかクラン様拗ねてるし。


「……アリエンは根暗な男なら、誰でもいいんだな……」


 陰の者の自覚がおありなのですね……。ていうか我が子にまで根暗とか!

 そこは訂正を求めた。


「ひどーい! 影がある男(と男の子)が好きなだけで、根暗とか思ってないですぅー!」


 勿論、陰キャな女の子も大好きだけど、それ言うと誤解されそうなので黙っておいた。


 私はクラン様の執務室のソファで、ぼよんぼよん飛び跳ねながら悩む。


「どうしたらギニョール君と仲良く出来るのかなあ~」


 そうするとクラン様が書類を片付けながら教えてくれた。


「ギニョールは外に出たがらないが、鳥を見るのは好きなようだ。さっきも見に出かけていた」

「それや!」

 私がビシィ! とポーズをとる。しかし先に釘を刺された。


「くれぐれも無理矢理に連れ回したり、鳥の仮装で追いかけるんじゃないぞ」

「クラン様! 脳内の思考、読まないでください!」

「やっぱり仮装する気だったのか! 面白いから絶対に止めろ!」


 クラン様とは、だいぶ打ち解けたので、ギニョール君とも打ち解けたい!

 その想いで私はギニョール君がバードウォッチングをよくしているという大樹の元へ向かった。


『邪魔です』と言われないように、そーっとね。


 すると、子供達の声が聞こえてきた。

 遊んでいる声ではなく、揉めているようだ。

 木の裏から覗き込んでみる。


 すると、ギニョール君を囲んで近所の子供達が、やいのやいの言っていた。


「おい、ギニョール、お前さぁ公爵家の子供の癖に、そんな暗くて恥ずかしくねぇの?」

「父親が死神公爵だもんな! おい、ギニョールに触れたら死ぬぞ~アハハハハハ」

「根暗のギニョール! 根暗のギニョール!」

「何とか言ってみろよ死神の息子~!」


 ギニョール君の表情は見えなかったけど、肩を震わせて耐えているようだったっていうか、既に脳筋の私は走り出していた。

 ギニョール君が肩を押されて泥水に倒れ、皆に足蹴にされていたからだ。


「待てぇえええええええええええい!」


 私は近くにいたガキ……お子様にラリアットする。吹っ飛ぶガk……お子様。

 勿論、手加減はした。(私的に)


 それからは殲滅戦の始まりだった。


 ダブルラリアットでいじめっ子を吹き飛ばし、ジャイアントスィングで放り投げる。

(※手加減とは)


 いじめっこどもが「なんだよお前!」と泣きながら叫ぶので、私は髪をかきあげてギニョール君の前に立ちはだかった。


「ギニョール君の母でございまぁす♥以後よろしくしなくていいからね♥しばくぞ♥」


 そうして私がギニョール君を立ちあがらせて泥をハンカチで拭いてると、ガキどもが喚き出す。


「死神公爵の13番目の嫁だ!」

「うわっ、不吉~!」

「子供相手にケンカして、恥ずかしくねーのかよババア!」


 ……すぞ と思ったけど、ギニョール君をこれ以上、怖がらせてはいけない。怒りを極力抑えて、叱りつけた。


「五月蠅いわ! 大人しい子を大人数で虐める方が恥ずかしいんじゃオタンコナス! あとクラン様は死神じゃねーから! 大体あんなにも麗しくて清らかで尊くて優しくて……」


 私がクラン様の魅力を軽く1時間くらい語っていると、ガキどもは「怖いよ~」「俺達と違うものが見えてるよ~」と泣きながら帰って行った。ちょ、待てよ! まだ途中だってばよ!


 そして、残されたのは泥だらけのギニョール君と、ケンカで土がついた私だけ。


「ギニョール君、大丈夫?」

 私が屈みこむと、ギニョール君は涙を堪えながら口を開いた。


「……恥ずかしくて情けないと思ってるんだろ。やり返せなくて、女の人に助けてもらって……」


 そんなギニョール君に首を振る。


「恥ずかしいのは、虐める方よ。いじめられた子は恥ずかしくなんかない。むしろ、じっと我慢してて辛かったね。頑張ったんだね」

 ギニョール君が顔を上げる。

 その瞳には涙が滲んでいた。


 そしてギニョール君が遠慮がちにしてたので、抱き上げてお屋敷に戻る。

 ギニョール君は顔を真っ赤にして「あ、あう……」と何か言いかけていたけど、無理に話さんでええんやで……。陰キャに『会話しろ!』は鬼畜だからね。

 でも……


「あとケンカに男も女もないから、次にギニョール君が虐められたら、あいつら処すね♥」


 ……と言ったら「それは駄目です」と真顔で忠告された。


 で、お屋敷に戻ったわけだけど……。


「何をどうしたら、そうなるんだ!?」


 泥だらけの私とギニョール君の姿に、クラン様が激おこだった。

 クラン様は続ける。


「ギニョール! 外に出る度に泥だらけになって恥ずかしいとは思わないのか! お前は公爵家の跡取りなんだぞ!」


 ギニョール君、鳥を見に行くたびに虐められてたのか……。

 でも言いたくなさそうに私のスカートを引っ張るギニョール君に、私は頷いた。


「クラン様! すみません、ギニョール君と護身術の稽古をしてたら泥だらけになっちゃって……! ダブルラリアットで今度、遊ぼうね~ギニョール君っ♥」

「物騒な遊びを教えるな! そもそもアリエン、君は公爵夫人で……」

「お話の途中ですが、泥だらけなので、オフロ入ってきま~す! ギニョール君も一緒に入ろっか?」


 その瞬間「「駄目だ!」」と二人が叫ぶ。


 手間が省けていいと思ったんだけど、クラン様もギニョール君も顔を真っ赤にしている。

 じゃあ、ボーイファーストでギニョール君、お先にどうぞ!

 そう言うと、ギニョール君はもじもじした後、私を見上げた。



「……ありがとうございます、アリエンお母様」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。