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11/11

11)ねんねしてもいいですか?

 ギニョール君を虐めていたクソガキをシバき倒してから、ギニョール君の態度が軟化したように思える。


「アリエンお母様、御本読みませんか?」

「アリエンお母様、ティータイムご一緒しませんか?」

「アリエンお母様、 鳥を見に行きませんか?」


 か~んわいぃぃいいいいいい!

 遠慮がちにしつつも頻繁に誘ってくれる可愛さに私がメロ&メロになってると、クラン様が不機嫌そうに言う。(ドス黒いオーラを纏って)


「……君は子供まで恋愛対象なのか!」

 あら、ヤキモチ!?

「そんなワケないじゃないですか! 最愛の人(キャッ♥)の血を引く子が可愛くないわけがありません! ギニョール君は可愛い! 正義!」


 そう告げると、クラン様は耳の先を少し赤くして呟いた。

「……そ、そうか。最愛の人、か……」


 でも私は拳をパシパシと手のひらに打ちつける。


「だからこそ、こんな素敵な旦那様とお子様を置いて行った前々々々々々々々々々々々妻が許せねぇ~。社交界で出逢ったらワンパン入れていいっすか?」

 私が拳を素振りしてると、クラン様がツッコんだ。


「いいわけないだろう! いい加減、筋肉で解決するのは止めたまえ! そして明日も早いから、もう寝るぞ!」

「はーい♥」


 私がシュルンとベッドに潜り込む。

 いまだに白い結婚のままだったけど、今日あたり押せばイケるんじゃない? グフフフフ 

 心の中で笑っていると、コンコンと部屋の扉がノックされた。


「お父様、アリエンお母様、ギニョールです」


 ギニョール君!?

 クラン様が扉を開けると、ぬいぐるみを持ったギニョール君が立っていた。


「どうした、ギニョール。こんな時間に」

「……」


 ギニョール君はクラン様の体で隠れて見えなかった。

 けど、ピョコンと顔を出して私を見つけると、嬉しそうに微笑んだ。

 うほっ、可愛い!(心の声)


 そしてギニョール君は、もじもじしながら言う。


「一緒に、ねんねしても良いですか……?」


 私は可愛さに鼻血を噴きかけた。ええに決まってるやろ!

 遠慮せんでええんやで! ほら、おいで!(心の声)

 しかしクラン様の反応は厳しかった。


「ギニョール! 公爵家の跡継ぎたる者が、赤子のような事を……」

 しかし私がシュバッと近づいて遮る。


「いいよぉギニョール君! パパとママと一緒にねんねしようか!」

「アリエン!?」

 クラン様が驚いていたけど、私は理由を説明する。


「何人もお母様が代わって、甘えたい時期に甘えられなかったんですよ。赤ちゃん返りするのは当たり前じゃないですか。さ、ギニョール君、パパとママの間で寝よっか♪絵本読む? お歌うたう?」

 するとギニョール君が抱きついてきた。


「アリエンお母様、だーいすき!」

「私もギニョール君、だーいすきっ!」


 クラン様が溜息をついて、渋々とベッドに戻る。

 こうして、甘えることを知らなかった少年は、甘えていいのだと知るのだった。

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