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7)前世からの愛を思い出した人みたいに優しい!

 それから、実家の父母や兄がやってきて、怒られた。


「アリエン! お前というやつは!」

「貴女は脳筋なんだから、もう!」

「周りの迷惑を考えて云々……」


 いつものお説教なので、鳩時計の真似でもして煽ってやろうか。


 そう思っていると、旦那様の胸に肩を寄せられた。なぬ!?(ド低音)

 そして旦那様は、普段のボソボソ喋りではなく、しっかりとした美声で告げてくれたのだ。


「妻には、日ごろから励まされ、元気づけられています。今夜のこともそうです。御家族のことに口を出すものではありませんが、どうかあまり叱らないでやってください」


 だ、旦那様……!? 優しい! 前世からの愛を思い出した人みたいに優しい!


 オヴェ……と私がキタナイ声で泣きかける前に、察した旦那様と家族の間で会話が、つつがなく終了した。

 家族が去り際に「ご迷惑をおかけするんじゃないぞ!」「実家に送り返されても玄関に入れませんからね!」とか余計なことを言っていた。上等じゃ! その時は窓ガラスパリーンしてやんよ! 


 それを見ていた旦那様が眩し気に目を細める。

 推しのそういう顔、尊い……って見惚れてると、旦那様が呟く。


「家族とは、こうあるべきなんだな……」


 感動してるみたいですが、違います。我が家が特殊設定なだけです。

 そこで私は思い出した。


 旦那様にはギニョール君という息子がいることを。


 離れて暮らしているからには理由があるんだろうけど、軽々と尋ねていい質問ではない。


「僕にもギニョールという息子が居てな……」


 あ、本人が語りだした。これ聞いてOKなやつや。


「ギニョール君……ですか。確か、お義母様の元にいらっしゃるという……」

「ああ。妻が替わる度にギニョールが傷つくからな。母の所へ預けている。今まで来た12人の妻の誰もギニョールを愛さなかった。あの子も僕に似て、暗い気質だからな……」


 それ絶対私が好きになるやつやん! ショタ陰キャとか、国宝(くにたから)モンやで!


 私は旦那様にズイッと近づいて興奮気味に伝える。


「ギニョール君、紹介してください! 仲良くなりたいです!」

「あ、ああ。機会があればな……」

「それ『行けたら行く』と同じ断り文句! 日取りを決めましょう! 早くお逢いした~い!」


 キャッキャしてると、旦那様が、ふっと口角を上げた。


「……君は変わっているな……。今までの妻は僕の地位と財産だけ見て、誰も僕とギニョールを見ようともしなかった……」

 陰の気配を濃くする旦那様に私は胸が締め付けられるようで……。

 旦那様の手を握り、優しく告げた。


「それは、今までのドブメスどもが見る目が無かっただけです」

「急に汚い言葉遣いをするな! 君は!」

「だって~こんな格好いい推しと、推しの子を好きにならないなんて、目がドブ色に濁ってますよ~」


 ブーイングすると、旦那様はきょとんとした後に、顔を真っ赤にした。


「か、格好いい……? 好き……?」

「そうです! 旦那様は格好よくて尊くてセクシーで可愛くて逞しくて優しくて……」


 旦那様は顔から湯気が出そうになっていた。そして止める。


「……も、もういい! もうわかったから止めろ!」

「まだ文字数に余裕がありますので全然いけますけど?」

「僕が恥ずかしいんだ! 止めてくれ!」


 推しが照れる姿ってエロくない? エロいよね!

 私は耳を塞いで身を屈める旦那様の耳元で賛辞を述べ続けるのだった。

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