1-6 武器屋
武器屋に着くと、扉の上のベルが――からん、と軽やかな音を鳴らした。
「いらっしゃいませー」
猫耳が目立つ獣族の小柄な女性が声をあげる。
「どんなものお探しですか?」
そう言って、こちらを見つめてくる。
ただ見つめるのではなく、足下から顔まで、頭を動かさずに目線だけを動かしている。
簡単な話、値踏みされていた。
「これだけあるから、これで買える物を見繕って欲しい」
先ほど稼いだ金から、今晩の宿代を抜いた分をすべて置く。
「んー、これだとここからこの辺までかな」
そう言って、指で示す。
大した金額ではないため上客ではないと判断されたのか、そう言うとフロントへ下がり、剣を布で磨き始める。
(アヴァ、どれがいいかな)
武器についての知識は乏しく、お手上げ状態のため、賢者に全面的に任せる方針をとった。
(そうじゃな……この範囲だと、そこらへんかのう)
そう言って、自分の片腕より少し長めの棒が並んでいる一角を示す。
(棒? もっと剣とかのほうがいいんじゃない?)
一般的にスケルトンも斬れるし、利便性を考慮しても初心者は安い剣から始めろ、というのが通説だと思っていた。
(剣はメンテナンスが必要だからな。切れ味を維持しないといけないし、最初は自分を傷つけてしまうリスクもある。
その点、棒術は長くて頑丈な棒があれば戦えるからな)
(……確かに、今の俺にはこっちの方が扱いやすそうだ)
自分より長く生きているだけあり、説得力が違うなと思いながら、手に馴染みそうなものを探す。
一本の青い棒を手に取ると、
(お、それがいいかのう。付加がついておる)
(付加?)
(道具に能力を乗せることじゃ。といっても大したものではないがな。少し頑丈になっているようなものじゃ)
また魔具を見つけてしまったのかと驚いたが、そういうわけではないようで、少しだけがっかりした。
(思ったより武器に金を使ってしまうな。一旦それを買って宿に戻るか)
本来の予定である防具は見送り、お釣りもほとんど出ない金額で武器を購入し、帰路についた。




