1-4 魔石屋
(今日はここまでにするか)
そこから十数体のスケルトンを同じ要領で倒していたところアヴァからストップの声がかかる。
(まだいけるよ)
今まで出来なかったはずのことが出来て、高揚しているのか、普段では絶対に言わないであろう言葉が口をついた。
(いや、魔力量がちょっと危ないかもしれん。一旦、引き上げよう。なに、ダンジョンは逃げはしないじゃろ?)
(それもそうか)
そう言われると納得したのか、手に持っている棒を下ろし、帰路についた。
ダンジョンを出て、太陽も落ちかけて薄暗くなった通りを歩いていると、
(魔石はどこで換金するんじゃ?)
「そこの魔石屋が一般的な仲介者だ。俺を見下さなければ交換してくれるはず……」
そう言って扉を開け、フロントの前に立つ。
フロントの奥には男が一人。大きすぎる椅子にふんぞり返って座っていた。
「お前ゴミ屋か? なんだこんな所で。お前がいると営業妨害だから消えてくれないか?」
そう言って、鼻をつまむ。
「これを換金して欲しい」
ポケットに入れていた、両手いっぱいの魔石をフロントの上に置く。
――じゃらっ。
男は驚いた顔をしたあと、すぐに怪訝な顔つきになる。
「一体どうやって……盗んだのか?」
「盗みなどしてない。俺がこの手でスケルトンを狩っただけだ」
「狩った……? ゴミ屋のお前が? まぁいい、客であることは間違いない。このサイズの魔石でこの量だと、銀貨一枚ってところだな」
アユムは驚いた。自分の相場観では銀貨に届くはずはないと踏んでおり、逆にもっと足元を見られる額になると思っていたからだ。
「まぁ初回のお客様サービスってところだ。次も頼むぜ」
そう言って、にやりとした顔を見せる。
「ああ、今度もお前のところに持ってきてやる」
ダンジョンの死体から奪った魔石だと踏んだ男だったが、また持ってくると言われ、内心は驚く。
(ほんとにお前が狩ったんだな)
普通ではありえないことだ。なぜなら、ここは才能がすべての世界。才能がないから落ちこぼれとなったゴミ屋が、魔物を狩るなど。
様々な思考がよぎるが、現状はいい取引相手が見つかったということで満足した。
次回以降も他の魔石屋ではなく、自分のところに持ってきてくれれば、十分にペイできる程度のサービス。そんなもので恩が売れるのなら。
「あと一つアドバイスしておくと」
「?」
「他の店に行くんだったら、風呂に入った方がいいぞ」
そう言って、服を指さす。
(そうじゃな。拾った棒でいつまでも戦っておれんし、風呂に入って道具を購入しにいくか)
他の人には見えない老人がそう言ったため、自分では気にならない臭いの対策をしに、大衆浴場へ向かう。




