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2-14 3人組

「ん……」


(おはよう、アユム)


寝てしまったことに気づいたアユムは、部屋の窓から外を覗く。


太陽は、沈みかけていた。


(アヴァ、ごめん。今から行こうか)


(ほほ、急かしてるみたいで悪いのう)


棒だけを腰に差し、部屋を出て宿舎の外を目指す。


「なぁ知ってるか? 明日、編入生来るらしいぜ」


「まじか。こんな時期に珍しいな」


「だよな。どんな奴なんだろうなー」


入り口前のソファーに三人の生徒が座っており、その会話が聞こえてくる。


避けて通れないことが分かるため、アユムは挨拶をする。


「こんばんは」


「うおっ」


北側のソファーに座っていた赤髪の男は、背後からの声に驚いたのか、素っ頓狂な声を上げる。


「びっくりしたー。お前、もしかして編入生?」


「ええ、一応そういうことになってます」


そう言うと、赤髪の男は立ち上がり、アユムの前に立つ。


「へぇー、お前が編入生かー」


頭から足まで舐めるように見られ、不快感を覚える。


「はい、アユムです。外出したいんですが、いいですか?」


「おお、すまねぇな」


そう言って、赤髪の男は目の前から退き、道を開ける。


「敬語はやめようぜ。ところで、どこ出身なんだ?」


「ありがとうございます。マテリアルから来ました」


その瞬間、空気が凍る。


「マテリアル? お前、銃姫知ってんのか?」


「セリーのことですよね? 一応、彼女が帝都行きになるまでは交流がありましたが」


「ほー。銃姫の友達ってわけか」


「まぁ、そうですね」


返事をすると同時に、赤髪の男からアユムの顔に向かって鋭い右ストレートが繰り出された。


アユムはいきなりの攻撃に驚いたが、顔だけを横にずらして避ける。


その後、腰の棒を抜き、赤髪の男に向けた。


「一体どういう真似だ?」


「さすが銃姫のご友人だ。これくらいは避けられるか」


そう言って、赤髪の男は構え直す。


「本気でやるんだな?」


そう言うと、アユムは棒を強く握る。


「おい、やめとけよ」


ソファーの南側に座っていた、オレンジ色の髪の男から声がかかる。


オレンジ色の髪の男は、声をかけると同時に立ち上がり、赤髪の男のそばまで来る。


「こいつ、銃姫にいつもボコボコにされててプライドがずたぼろなんだ。だからすまん。許してやってくれないか?」


「別に負けてねーよ! あいつの能力の方が強くてずるいだけじゃねーか!」


「はは、そういうことにしとくけど、こいつは関係ないだろ?」


「……ちょっとおちょくっただけだよ。悪いな」


「まぁ、よく分かんないけどいいよ」


一方的な謝罪を受け入れたものの、アユムはまだ流れを掴みきれていなかった。


そんなアユムに、オレンジ色の髪の男が声をかける。


「俺はケイン。こっちの赤髪がトムで、そっちで本を読んでる奴がマルクだ」


そう言うと、ソファーで本を読んでいるマルクは、聞いていますよと言わんばかりに左手を上げて挨拶をした。


「ああ、アユムだ。よろしく」


そこでアユムは、マルクの方を見る。


「ところで、それって図書館の本か?」


声での返事はなかったが、マルクは手を上げ、そうだと答えてくれた。


「なんだ? 図書館に行きたいのか? じゃあ詫びとして、トムが案内してやるよ」


「はぁ!? なんで?」


「お前、これ以上面倒ごと起こすなよ」


ケインが語気を強めて威圧する。


「ちっ、分かったよ。おい、さっさと行くぞ」


「悪いな。根はいい奴なんだ」


ケインはそう言ってから、少しだけ笑う。


「まぁ、根っこから悪い奴に会ったことはないけどな」


アユムも道が分からない以上、無駄に時間を消費するよりはいいと考えた。


「案内してくれるならありがたい。帝都に来たばかりで、右も左も分からないんだ」


「帝都に来たばかり? 編入生って、普通は事前に案内されるだろ」


文脈の不明さに引っかかったのか、マルクが横から口を出す。


「実は、色々あってな」


アユムがこれまでの流れを簡単に説明すると、ケインは目を丸くした。


「大変だったんだな。よし、今日からアユムは友達だ!」


そう言って、ケインはアユムの前に手を差し出す。


握手を求めているのだと分かり、アユムは小さく笑った。


「はは、よろしくな」


そう言って、二人は右手を握り合った。


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