1-12 格上
(やるしかない)
(アヴァ、いけるか)
(まぁ、少し手強い程度かの。なに、儂らならいけるぞ)
わずかな安堵。
だが、すぐに気を引き締める。
「かかってこい!凡骨野郎が!」
戦いの火蓋が切られる。
ジェネラルは両手に武器を持っていた。
(ジェネラルの特徴は、武器を入れ替えて戦うところだ)
だがそれらを入れ替え、やがて黒い棒だけを構える。
(魔法なら隙ができるが……棒は厄介だな)
そう思った瞬間、間合いを詰めてくる。
(射程は向こうが上。なら先に――)
そう考えた矢先。
ジェネラルが大きく横薙ぎを放つ。
(遠すぎる――!)
そう思った瞬間、身体が勝手に後ろへ跳んでいた。
(伸びるぞ!)
元いた位置を、黒い棒が通過する。
(危ないのう、ほほほ)
(……助かった)
アヴァがいなければ死んでいた。
そうでなくとも、行動不能からの致命傷は確実だった。
(あの黒い棒、伸びは大体五十センチといったところかの)
分析を始める。
(さて、どうやってダメージを入れるか)
ジェネラルを見る。
その顔が、避けられたことを楽しんでいるように見えた。
(気のせいであってほしいが……)
(まずはいつも通りじゃ。石を飛ばすぞ)
背後から石を飛ばす。
――だが、効かない。
(やっぱり意味ないか)
(首を飛ばさなければ致命傷にはならんか)
その瞬間、ジェネラルが黒い棒を槍のように投げつけてくる。
(伸びるぞ!)
斜めに受け流す。
だがその隙を突き、ジェネラルは剣を手に一気に詰めてくる。
死合い。
何かあれば即死する距離。
振り下ろされる剣。
(受けるしか――)
棒で受ける。
折れるかと思ったが、耐えた。
(斬撃耐性があるからの。ただの棒ではないぞ)
受けきられたと判断したのか、すぐに連撃が来る。
それを受け、弾き、反撃へ移る。
「はああ!」
棒で鎧を突く。
――悪手だった。
ジェネラルは鎧を前に出し、打点をずらす。
そのまま押し返される。
棒を手放し、後方へ転がる。
「ちっ!」
ジェネラルが棒を踏みつける。
(儂の合図で、あの扉まで走れ)
(遠い。百メートルはあるぞ)
(信じろ。行くぞ)
(……ああ)
(三、二、一)
マントを投げつけ、そのまま背を向けて走る。
マントはジェネラルの視界を覆うように動き、わずかに足を止める。
だがすぐに払い除けられ、こちらの位置を捉えられる。
「うごおおおおお!!」
咆哮。
激昂。
全力で追ってくる。
(速い……!)
距離が縮まる。
(追いつかれる――!)
(いいから走れ!もう少しじゃ!)
走る。
ただ走る。
背後の殺意を感じながら。
(ここじゃ、反転!)
左足で踏み止まり、振り返る。
ジェネラルは止まらない。
そのまま斬り抜けようと突っ込んでくる。
(左に飛べ!)
剣が届く寸前、左へ跳ぶ。
一閃を回避。
ジェネラルは勢いのまま前へ――
その先には、先ほど操作して投げさせた黒い棒が、思い描いた通りの角度で地面に突き立っていた。
(今だ、伸びろ!)
黒い棒が伸びる。
突進の勢いそのままに、ジェネラルの鎧を貫いた。
(詰めろ!)
踏まれていた青い棒を手元へ引き戻し、そのまま動きを止めたジェネラルの頭部へ振り下ろす。
――カンッ。
兜ごと、首が飛ぶ。
数瞬後、ジェネラルは光の粒となって消えていった。




