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魔王国の宰相  作者: 佐伯アルト
Ⅷ エイジの女難

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3節 慰み ②

 無事に帰城したエイジとレイエルピナ。魔王国では、もう日が暮れていた。


 着くや否や、彼は、色々あるだろうしそっとしてあげよう、と離れようとする。だが、袖を小さく引っ張られて、足が止まった。


「ねえ、落ち着かないの。そばにいてくれる?」


「……うん。勿論だ。オレでよければ」


 一人にするより、寄り添ってあげた方がいいのか。そう考え直し、彼女の部屋へ一緒に向かう。


 そして、部屋に入ると、ベッドに並んで座る。そのエイジの肩に、レイエルピナは体を預ける。


「レイエルピナ……この世界は、とても残酷で、理不尽で。その渦に囚われてしまった君は、きっとこれからも苦しみ続けるのだろう。けれど……このオレが保証しよう。レイエルピナ、これからの君の人生にはきっと、幸せが待っていると」


「うん……」


 その頭を抱き寄せると、ゆっくりと撫でて、励まし慰める様に言葉をかける。


「そう、いつか君を支え、幸せにしてくれる者が現れるさ。その隣に立つ者が、誰かは分からないけれど__」


「……はぁ⁉︎」


 矢張りエイジは無意識に、レイエルピナの神経を逆撫でしたらしい。胸にドンッと衝撃が走ると、エイジは押し倒されていた。


「何言ってんのアンタ! バッカじゃない⁉︎」


「え、なん__」


「そこは! オレが隣で支える、とか幸せにする、とか言うところでしょ!」


 さっきまでしおらしかったのに、もういつもの刺々しさを取り戻す。だがしかし、今までとはちょっとベクトルが違うようだ?


「いや、だって、君オレのこと、あんま好きじゃないっしょ」


「心底嫌いな奴だったらキスなんてしないわよ!」


 その顔は、もう真っ赤っか。


「いい⁉︎ わたしは! アンタをあぃし……いえ、まだ、違うわ。わたしは……その……あなたが……だい……だ…ぃす……き……ああぁ! もう‼︎」


 挙動不審に不可解な言動。ヘンに思って起きあがろうとしたエイジは、再び肩を叩きつけられる。そして、レイエルピナは倒れたエイジに馬乗りになる。


「え、なにさ」


「うっさい! 黙れ!」


 そんなことを言いながら、レイエルピナは服をはだけさす。


「ちょっ、ホントにナニ⁉︎」


「黙れ黙れ黙れ! いい加減覚に覚悟して大人しくしなさい! この童貞‼︎」


「童貞じゃないですけど⁉︎」


「童貞臭いのよ! とっととアンタも脱げ!」


 帽子も上着も全て脱ぎ捨てられ、きめ細やかな白磁の肌、華奢な肢体、そして慎ましやかな胸が露わとなる。


 そしてエイジも気付けばベストが剥ぎ取られ、シャツとズボンが脱がされかけていた。


「た、タンマ__」


「わたしは! 今! 復讐が終わってモヤモヤしてんの! 黙って抱かれてろ!」


 胸ぐら掴まれ、ブンブン揺さぶられる。乱暴が過ぎる、そう思ってエイジも抵抗。暫くワチャワチャしていたが……彼女の目尻、そこにある輝を認めると、力を抜いて抵抗をやめる。


「はぁ、ようやく観念した?」


「ああ、わかった……。快楽が、君の慰めになるのなら」


 今の彼女にはきっと、生の実感、そして人肌の温もりが必要なのだろう。ならばここは、応えてあげるべきだ。そう信じて、受け入れる。


 二人の目が合った。彼の、優しく愛おしそうな目に見つめられて、彼女の顔は自然と惹かれる。


 エイジは、片手を背に回し、優しく引き寄せ、唇を重ねる。


 その口付けは、今までのどんなものよりも長く、温かく、優しかった。


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