運命を救う二人の光景4
「…おや、」
「どしたの?」
「ディスティーナさまから連絡です。」
「え、仕事?」
「はい。」
「え~~~………。今私まったりモードなんですけどぉ~…。」
「仕事は仕事。切り替えてください。」
「え~~~~~。めんどい~~~~~。だってさぁ。さっき3時のおやつ食べたばっかでしょ~?」
「はい。」
「美味しいガトーショコラと香り高いストレートティーだったじゃないの。」
「はい。」
「そんな美味しいものを食べたらさぁ~…。夕飯の時間までまどろんでいたいのが人情ってもんでしょ~?」
「人情ではなく、ただの自堕落だと思われますが。」
「どっちでもいいわよ。要するに私は、あの3時のおやつの幸福感を、仕事というリアリティでぶち壊したくはないわけ。おわかり?」
「意味はわかりますが理解はしかねます。」
「も~~~~~、なんでわっかんないかなぁ~。この気持ち、この思い。この願いが。そんなんだから言われるのよ?天然クーラーって。」
「どういう意味ですか。」
「温度調整効かなくて、ずっとずーーーっとクールだ、ってこと。」
「光栄です。」
「褒めてない。」
「では、仕事の話に入ります。」
「勝手に入らないで。」
「今日の救う対象は、とある女子高生です。」
「前回の大統領から随分と毛色変わったわね。」
「その世界では10年に1度、どんな願いでも叶えてくれるという魔法のチケットが現れるのだそうです。」
「何よそのベタベタな設定は…」
「そして、その魔法のチケットは、ランダムに誰かの手元に現れるのですが、願いを叶えるためには、一週間の間、それを肌身離さず持ち歩かなければならないのだとか。」
「ふぅん。」
「そして、その魔法のチケットは、奪うことが可能だそうです。」
「はぁ。」
「魔法のチケットを奪うためなら、いかなる手段を行使してもいいそうです。殺人も、その件絡みならば罪に問われないとか。」
「何よ、そのとち狂ったルールは…。他人殺してまで叶えたい願いってなんなのよ。」
「世界変われば価値観変わる。価値観変われば考え方も変わる。いちいち気にしていても仕方ないことです。」
「そうかもしんないけどさぁ…。」
「そして今回現れた魔法のチケットは、とある女子高生の元に現れました。」
「あ~、そういうことね。まぁ、途中からなんとなくはわかってたけど。」
「はい。その女子高生を殺害の運命から救うのが、今回の仕事です。」
「………ん?」
「どうしました?」
「なんだっけ?その魔法のチケット、一週間持ってなきゃならないんだっけ?」
「はい。」
「てことはさ。一週間ずーーーーーっと、その女子高生を警護しなきゃなんないの?」
「そうですね。」
「え~~~~~~~~~~、めんどい~~~~~~~~~~。」
「長期勤務手当出ますよ?」
「当たり前よ!出なきゃやってらんないっての!」
「それから追伸もあります。」
「え………?…なに?。また、黄金芋ぷりん羊羹スペシャル?」
「いえ。報告に来るときに、『風と共にサリーを着た悪魔たちの沈黙の関西』を、買ってきて欲しい、と。」
「……………はい?」
「『風と共にサリーを着た悪魔たちの沈黙の関西』です。」
「……………なに?それは。」
「映画のようです。」
「………、…なんていうか…、あまりにパクりすぎてて、逆になんの感情も沸いてこない感じね…。」
「C級パロディ映画らしいです。」
「でしょうね。…よっぽど暇なのね、ディスティーナさま。」
「無限の時の中を生きてる御方ですから。」
「ま、仕方ない。長々と話に付き合わされて観たいテレビ見逃すのもムカつくし。買ってってあげますか。…でも、DVDとかブルーレイとか、記録媒体化してんの?それ。」
「さぁ?」
「いや、さぁ?って………」
「私も初めて聞いた映画の名前でしたので。もしかしたら、別のどこかの世界の映画かもしれませんね。」
「………じゃあ、なに?それを探すところから始めなきゃならないの?」
「そうですね。」
「えぇ~~~~~~~~~~!めんどい~~~~~~~~~~!!」
運命を救う二人。
今回も、まずは手土産優先。
つづく
注:この作品はフィクションです。
上司への手土産は大事っぽいです。




