小さな団体の光景1
「女子プロレス?」
「そう。」
「団体を?」
「そう。」
「旗揚げしてみないか、と?」
「そう。」
「自分に?。」
「そう。」
「何故。」
「雰囲気。」
「……………。」
「…すっごい冷めた目で見られてるね、俺。」
「えぇ。冷めた目で見てますから。」
「えぇ~、なんでだよ~。やろうよ~団体経営~。」
「そんな軽いノリで出来るものじゃないでしょう?」
「俺は軽いノリで始めたぞ?」
「あなたは別枠です。」
「やはりな。」
「褒めてません。」
「まぁ、ノリで始められるもんじゃないってのは、俺だってわかってるさ。会社の経営だからな。けど、ある程度の勢いは大事だぞ?」
「…いえ、あの…。それ以前の疑問がいくつもあるのですが。」
「へ?」
「まず、自分の現在の状態です。自分は現在、フリーの格闘家として、様々なリングに上がっています。年齢も30歳で、今が一番活動出来る時期だと思っています。」
「まぁ、そうかもな、うん。」
「そんな時期に社長業を始めろと?」
「別に問題ないと思うぞ?試合だって毎日あるわけじゃないし、社長と格闘家の二足のわらじ、なんて、話題になりそうじゃん?」
「…じゃあ、それはそういうことにしましょう。でも次です。団体の社長。つまりは経営者になれということですよね。」
「そうだね。」
「経営の、け、の字も知らない人間に勤まると思いますか?」
「大丈夫だよ。こんな俺にだってなんとかなってんだから。」
「まぁ、確かに。あなたですら、なんとかなっているみたいですもんね。あなたごときですら。」
「お~い。酷い言葉が聞こえてきたぞ~。」
「ちょっとしたジョークです。」
「真顔で言うなよ。」
「本音を言えば、凄いことだと思いますよ。言ってみれば、あなたも数年前まで自分と同じ、経営なんて全く興味の無い人でしたもんね。」
「まぁな。でも、始めてみたら意外と面白くてさ。大変なことも多いけど、その分やりがいあるぞ?」
「何となく、わかる気がします。ですが…」
「なんだよ~。まだなんかあるのか?」
「なんで女子プロレスなんですか?」
「俺がやってるから。」
「…自分がやってるからお前も、とは、相当強引だと思われますが。」
「だって、仲間が欲しいんだもん!」
「28で、だもん!、とか言わないでください。恥ずかしい。」
「いや、ここは冗談抜きでさ。仲間は欲しいんだよ、ホント。俺んとこみたいな弱小団体だと、自分とこの選手だけで興行組むとかなかなか難しくてさ。同じような境遇の団体さんと、持ちつ持たれつしながらなんとかやってる、ってのが実体な訳よ。」
「…つまり、自分も女子プロレスの団体を旗揚げすれば、困ったときに助けてもらえるし、こちらが困ったときには助けにも行ける、と?」
「そゆこと!飲み込みが早くて助かるよ。」
「やる、とは言っていませんが。」
「え~~~、やろうよ団体経営~~~。」
「はぁ………。」
つづく
注:この作品はフィクションです。
やろうよ~、では出来ないですよね、実際(^_^;




