謎の生物の光景3
「海ね。」
「海よ。」
「今日はここなの?」
「そう。」
「何?」
「シーダカンス。」
「………相変わらずダジャレみたいな名前なのね。」
「名付け方なんてそんなもんよ。たいてい見た目から名付けられるものじゃない。」
「それにしても…、その名前からして、シダ植物+シーラカンス、かしら?」
「そう。」
「シーラカンス、って、生きる化石、って呼ばれてる、あれ、かしら?」
「そう。」
「……………いたの?まず。シーラカンスが。この辺に。」
「シーラカンスはいなくても、シーダカンスは、いる、って情報が入ってるんだから仕方ないじゃない。」
「情報源どこよ?」
「三丁目さん。」
「誰よ!?」
「二丁目さんのライバルよ。」
「それも誰よ!?」
「ま、いろんな人がいるってことよ。」
「……………ま、いいわ。で、その、シーダカンス?って、どんなのよ。」
「シダシダのシーラカンス。」
「……………さっぱりわからないんだけど。」
「私も詳しくは知らないわ。音声資料で聞いただけだから。でも言葉で判断する限り、確かにそれはシダシダなはずなのよ。」
「その、シダシダ、って表現がわからないんだけど。」
「そう言われても…。シダシダはシダシダなのよ。シダ、じゃ足りなくて、シダシダ、って感じ。」
「………う~ん、なんとなく、シダが絡まりまくってる、って感じはするわね。」
「そうそう。」
「で?」
「ん?」
「見渡す限り、何もない大海原だけど?」
「そうね。」
「いるの?」
「さぁ?」
「さぁ、って…。無責任な。」
「私に責任を問われてもねぇ…。三丁目さんの情報を頼りに来てるだけだから。」
「いや、責任問うでしょ。なんでそんな正体不明な人の情報を信じてしまうのかと。」
「三丁目さんは正体不明じゃないわよ。住所も家族構成も昨日の晩ご飯も知ってるし。」
「ご近所さん!?」
「うん。食べる?三丁目さんちの松前漬け。」
「何で持って来てんのよ!?」
「おすそ分け。美味しいよ?」
「いや、美味しいなら結構だけど…。いや、そうじゃなくて!謎の生物の調査になんで漬け物持って来てんのよ!」
「だめ?」
「いや、ダメじゃないけど…。なんていうかさぁ。ん~…、緊張感?」
「緊張感なくなる?漬け物があると。」
「なんか、ほっこりしちゃうじゃない?漬け物ってさ。」
「そうかな?三丁目さんとこでは結構な乱闘騒ぎだったけど。」
「何があったのよ漬け物で。」
「漬け物は物を漬けるから漬け物。ならば、シーダカンスを漬けても漬け物になるはずだ、とか三丁目さんが主張して、それに奥さんが反論して、じゃあ実際漬けてみればいいじゃない!って三丁目さんが言って、じゃあやってみなさいよ!ってなって、そこから三丁目さんとシーダカンスの糠漬けとの長い長い戦いが」
「ちょ、ちょ、ちょっと!ちょっと待って!」
「何?」
「え、何?シーダカンスの糠漬け?」
「うん。」
「………、ごめん、私の勘違いなら申し訳ないんだけどさ。シーダカンスって、あの、シーダカンス?」
「ん?あの、って、どの?」
「だから、今日私たちが探しに来た、目的の、シーダカンス?」
「うん、そう。」
「見つかってんの!?しかも漬け物になってんの!?」
「3日前に釣ったんだって、あの辺で。三丁目さん、釣りが趣味だから。」
「趣味で釣れたわけ!?シーダカンスが!?」
「6匹釣れたって言ってた。」
「そんなにいるの!?シーダカンスでしょ!?」
「シーダカンスだから釣れない、っていうのは、単なる思い込みな気がするよ?。まぁ、シーダカンスになったことで繁殖力が身についた、って事で、いいんじゃない?だいたい、シーダカンスがシーラカンス+シダ植物、っていう保障もないわけだし?」
「ちょ、ちょっと!!」
「何?」
「何?じゃなくて!さっき言ったじゃない!シーダカンスはシダシダのシーラカンスだって!」
「うん。でも、それはあくまで三丁目さんが言ってたことだし。私は音声資料で聞いただけだから。」
「…さっきも気になったんだけどさ。その、音声資料、って…、もしかして?」
「三丁目さんの世間話。」
「……………。」
「わかりやすく絶句したわね。」
「帰る。」
「え~、なんで~?」
「当たり前でしょ!?」
「せっかくだから釣りしてこ~よ~。シーダカンスだけじゃなくて、アナゴンダとかも釣れるらしいし。」
「名前からして釣りたくないっ!!」
つづく
注:この作品はフィクションです。
ダジャレがすぐに思い浮かぶのは、歳のせいだろうか…




