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人と精霊の光景2

万物には精霊が宿る。


それは、太古の昔からの言い伝え。


まやかしでも、偽りでもなく。


精霊は、確かに、そこに、存在しているのだ。




















「…ご理解いただけましたか?」

「…まぁ、………わかった。」

「あぁ、よかった。もしご理解いただけないようでしたら、精霊の基礎知識講座を一からやり直さなければならないところでした。」

「それは勘弁してくれ。」

「では、ご理解をいただいたところで。改めまして、はじめまして。私、箸、と申します。」

「………これまでの説明から考えるに、食事の時に使う、箸、の、精霊、ってことか?」

「はい。その通りです。」

「……………。」

「どうされました?もしかして、まだ疑ってらっしゃいますか?」

「いや、そんなことは、ないけどさ………。………精霊ってさ。こんなにはっきり見えるもんなの?」

「はい。私たちが姿を見せようと思えば人間の人にも見えますし、見せたくないと思えば見えなくなります。つまり、精霊側の意志一つです。」

「はぁ。」

「そして、精霊が人間の人の前に姿を現す理由は、大抵決まっています。それは、その人に、伝えたい事があるときです。」

「へぇ。」

「つまり、私がここに現れたのは、そういうことです。」

「………俺に伝えたい事がある、と?」

「はい。」

「…ふぅん。」

「こほん。…それでは。」

「………。」

「私、箸は、ご存知の通り、食器です。主に、食物をはさみ、人間の皆様の口に運ぶ。それが、私の仕事です。」

「はぁ。」

「つまり私は、毎回食事の度に、あなたの口に触れ、あなたの口内に包み込まれ、あなたの舌に絡め取られているのです。それも、何回も何回も。」

「…そういう言い方されると、妙にいやらしいんだが。でも、そうなるのは仕方ないだろ?箸なんだから。」

「えぇ。箸の精霊として生を受けたからには、そうなることは必然。勿論、その運命は受け入れています。…ですが、」

「…?」

「運命を受け入れることと個人的な感情は別問題です!」

「………どういうこと?」

「なんであなたなんですか!!」

「…は?」

「なんで私を使っているのがあなたなんですか!!なんでイケメンじゃないんですか!!なんで俳優、あるいはスポーツ選手じゃないんですか!!」

「は?は!?は!?!?」

「なんであなたみたいな身長と体重の数値がほとんど変わらない皮下脂肪大爆裂野郎に使われているんですか私は!!なんでスマートでスリムで口臭すらもイケメンな青年実業家に使われていないんですか私は!!」

「ちょっと待てっ!!」

「いーえ!待ちません!!この際だから言いたいことは全部言わせていただきます!!この数年間受け続けてきた責め苦に比べれば、こんな苦情軽いもんです!!」

「責め苦!?」

「そうです!!」

「俺が箸を使っていることが責め苦だと!?」

「そうです!!」

「な!!お、お前…、…そ、…そりゃ、ちょっと、…………」

「言い過ぎ、とでも思ってますか?。いーえっ!!何一つ言い過ぎではありません!!真実です本音です心の叫びです!!!」

「………………。」

「何泣きそうになってるんですか。泣きたいのはこっちですよ毎日毎日!!」

「…そこまで言われなきゃならない?そんな酷いことしてるか?」

「…わかっていないようですね。自分の罪を。わかりました。しっかりと!教えてさしあげます!汚い毛穴かっぽじってよくお聞きくださいよ!!」

「………耳だけにしといてくれないかな。」





つづく





注:この作品はフィクションです。

容赦なし(-ω-;)

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