何かの作業の光景2
「あ、くるよ。」
「くるね。」
「おっさんだね。」
「推定50才前後。仕事に疲れた中間管理職。」
「大変な年頃だね。」
「はい、きた、きたよ。」
「はい、ポジション、いいよ、いいよ…」
「…はい、ジャスト。いい位置だね。」
「上手く体重乗ってるね。」
「あ~、やっぱり疲れまくってるね。いきなりうなだれちゃってるもん。」
「ため息がでかいね~。わかりやすい。」
「はいきたタバコ。疲れて座る、ため息、とりあえずタバコ。いいコンボ繋がってるよ~。」
「おっさんリーマンコンボね。」
「さぁ、一服入った。」
「…ゆっくり吸ってぇ………、ため息と共に煙をはいたぁ。」
「哀愁だねぇ。」
ぴぴぴぴっ!ぴぴぴぴっ!
「おっと携帯か?携帯が鳴ったのか?」
「おっさんの安息の時間をぶった切る、悪魔の如き着信だ。」
「携帯出して相手を確認………明らかに表情が曇ったぁ。」
「しぶしぶ電話に出るおっさん。意味は無いけど自然と背筋も伸びてるぞ。」
「相手は部長か取引先か。」
……………
「まさかの元嫁-!このおっさんバツイチだったー!」
「養育費の振り込み請求だー!世知辛い世知辛い!世知辛いぞー!」
「相手は鬼か悪魔か?おっさんはただただ弱々しい声で相槌を打つだけだー!」
「これがこの世の厳しさだ。あの頃の夢いっぱいだった若者が、数十年後にはこんなことにー!」
「これまさに、この世の生き地獄-!」
…………………………
「無限とも感じられる悪魔の電話がようやく終結。」
「おっさんは再び背筋を丸めて大きくため息だ。」
「おおっと重い。重いぞこれは。全体重が乗っかってきてるぞ。」
「おっさんの心と同じくらい、重くのしかかってきているぞ。」
「しかし安心するのだおっさんよ。今この瞬間だけは、俺たちが全力でおっさんを支えるから。」
「今この瞬間だけは、おっさんの苦しみも痛みも、俺たちが全力で支えるから。」
「だから挫けるな!おっさんよ!」
…………………………
「…おっさんの旅立ちだ。」
「…また、苦しみの中へと身を投じるんだな。」
「…なんで、わざわざ苦しまなきゃならないんだろうな。」
「…それが、人間。それが、おっさんだからさ。」
以上、駅前のベンチの会話。
つづく
注:この作品はフィクションです。
明日もくじけず頑張りましょう(^-^)!




