15.ゲーム戦士、ゲームの真意に戦慄する。
――皆さんは、『遊戯貴族』という名称をご存知でしょうか?
それは『超次元ゲーム時代』の黎明期より絶対的覇者として君臨し、頂点に立った者の血統を受け継ぐ特権階級を指します。
「それがお前の事だとよ、銃司!」
剣さんの仰る通り。彼とキッドの前に現れた17歳の青年・立海銃司も、遊戯貴族の一人。
東京中央部に拠点を置く『立海家』は、超次元ゲーム時代以前より賭博・eスポーツにて財を成し、地位を築き上げてきた血族。
その歴史は約300年以上とも言われ、立海の血を受け継ぐ者たちがゲーミングチームと名誉を守り続けているのです。
立海銃司は『第21代立海家当主』と、ゲーミングチーム『立海遊戯戦団・EMPEROR』のキャプテンという二つの肩書きを持つ強者。
そして、桐山剣の最大最強のライバルでもあるのです!
「随分と長い肩書き語りだな、Mr.Gよ。退屈で欠伸が出るわ」
仕方ないでしょう、銃司さん。外伝で新参の読者も多いんですから。しっかり説明しないと!
「まぁ、よかろう。これで下々の者共にも、我が『立海』の名が知れ渡る良い機会だ。貴様らの無礼も多めに見て……」
「さっきから聞いてりゃ偉そうだな、お前! 金髪タキシードの分際で、その充血した目は何だ。寝不足か?」
「あっ……」
高圧的な銃司の態度を指摘するキッド。剣もヤバいと察するが、時既に遅し。
剣と同様に銃司も、キッドとは8つも歳が離れている。年上に対する当然の反応ではあるが、傲慢な当主相手にそれは通用しない。銃司は額に青筋を浮かべ、キッドへ鋭い眼光を飛ばす。
「何だと……? 貴様、俺の面前でよくもそのような口を叩けるか、凡俗が!」
「あぁ、何度でも叩いてやるさ。ガキの分際で俺の住んでた『地底空間』をも貶すような傲慢野郎が。俺が性根叩き直してやろうか!!」
「キッド先輩、落ち着いて下さいって!」
地雷でも踏まれたかのように憤るキッドを、剣が腕を抑えて制止する。
本当に『無知』とは、火気厳禁の場所に花火を持っていくほど危険な振る舞いであります。場合によっては不敬罪にもなりかねませんが……。
(キッド、『地底空間』? …………まさか)
その言葉に何かを察した銃司は、すっと怒りを収め、さらにはキッドに向かって深く頭を下げる。
「……貴殿を『下々の者』と称したことは撤回しよう。まさか地底空間のゲーム戦士とは知らず、失礼した」
「あ? 何だ、急に改まっちゃって。臆病風にでも吹かれたか?」
「我ら『立海家』は実力至上主義だが、歴史ある地底の民を蔑むことは禁忌とされている。非礼を詫びよう」
「………まぁ、分かってくれたなら俺もこれ以上言わねぇよ。こっちも悪かったな」
銃司は傲慢ではあるが、己の過ちを認め素直に頭を下げる人格者。これには憤っていたキッドも頭を冷やし、蟠りも解けたようです。
「…………話、終わったか?」
「何だ、まだいたのか。剣」
「まだいたのか、じゃねぇよ! こっちは時間がねぇっつーのに要らん内輪揉めしやがって。どないすんねん、このデカブツの止め方は!」
制限時間が1時間も無いのに揉め事が起きれば、流石の剣もキレる。憤りは伝染するのです。
「簡単な話だ。この『Ω-716』内にある3つの電力源を断てば、マザーコンピュータの機能は停止される。その場所が……ここだ」
銃司は『Ω-716』のエリアマップを開き、電力供給を行なっている3か所のポイントを共有した。
「この辺りだと……ハリアー達のが近いな。よし、連絡して向かわせよう」
キッドは直ちに仲間に連絡、迅速に情報を共有し、余裕を持ってステージクリアを目指したいところ。
「よし、じゃ俺は穂香たちに……」
キッドの行動に、剣も合わせて仲間に連絡しようとする。
「待て、剣。そんな悠長な事でこのゲームに勝てると思っているのか?」
銃司が横から口を出してきた。
「何やねんな、お前だって管理室でブラブラしてるのに難癖付ける気かよ」
「貴様が云わずとも、施設の探索は桜に任せている」
桜とは、銃司と同じチームメンバーであり、彼の侍女を務めるメイドゲーム戦士の『時実桜』の事。今回銃司のゲーミングチームには、彼と桜の2人で参加しています。
「俺はこの軍事施設と、外の終末都市に関わる謎を暴かねばならん。―――俺は、下らん核戦争で唯一つの生命を散らす訳にはいかんのだ」
「核戦争……? 何言ってんねん、演技するにしても妙にシリアスじゃねぇか」
「馬鹿者! これが冗談に聞こえるというのか!!」
「………………どういう事や、一体……?」
剣は銃司の言い振りからして、ゲームを盛り上げる為の演技かと思っていた。
しかし、彼の冷や汗が滲む苦悶の表情と、本気の怒号から、これが冗談では無いことを初めて悟る。
「……なぁ、立海銃司。もしかして、この『ゲームワールドオンライン』で噂になっている『生成AIによるサイバーテロ』と関係があるのか?」
と、今度はキッドが銃司に尋ねる。
「御存知でしたか。私も先月WGCから聞いた話を耳にしたのですが――」
あら、キッドに対しては礼儀正しくなって一人称まで変わってる。傲慢当主は何処へやら……。
「何か言ったか? 語り部人形」
……あの、すみません。謝りますから、私にマグナム銃を向けないでください!
「ある国家が開発した軍事用生成AIが、極秘情報を読み込ませた途端に自我を覚醒させ、暴走を始めたのです。そのAIは各国の防衛網を掌握し、この『ゲームワールドオンライン』を通じて最後通牒を突きつけてきました。
―――【『トリニティ・ゼロ』に隠されている全世界の核兵器の自動制御システムのセキュリティを破壊し、核戦争を引き起こせ】……と」
「「……………………ッッッ」」
この真実を聞いた剣とキッドの血の気は完全に失せ、口元は乾き、動悸が止まらなくなった。
人間から作り出された『生成AI』の暴走が引き起こそうとしている、史上最悪のシナリオ。
核戦争と終末都市『トリニティ・ゼロ』の因果が、ゲーム戦士たちに戦慄を覚えさせていく……!!
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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次回もゲームウォーリアー外伝をお楽しみに!!




