12.ハンガードックのトリプルヒロイン!!
――終末都市の軍事施設『Ω-716』。
舞台は同じといえども、場所と人物が違えば、展開もまた大いに異なるものです。
今回の舞台は、戦争兵器を格納する大型倉庫『ハンガードック』。ここで新たなゲームバトルが幕を開けます。
「もう~! なんで初っ端からドンパチ食らわなきゃいけないのよ!!」
「敵は数えて30から40……。何とか好機を見つけて、この修羅場を突破しなければ」
「よく冷静でいられるわね、穂香ちゃん……」
「何事も冷静でいないと、今回のゲームはクリアできないわよ。レミちゃん」
「そんなこと言われたって、あたし怖いよ~!」
ポニーテールのブラウンヘアを揺らし、殺伐とした空気に怯えている少女が畠田レミ。
対して、金髪ロングに赤いカチューシャを付け、温和ながらもゲームではクールに振る舞う、女子高生らしからぬ豊満な胸の持ち主が大森穂香です。
(語り部ってば、また私の胸の話してる……)
とまぁ、たわわな胸の話題になると穂香ちゃんに突っ込まれるのは、もはやお約束ですね。
二人は既に、ドック内になだれ込んだ無数のアンドロイド傭兵『ファントム』に追われていました。この危機を脱するには、ドックから脱出するか、AMAZINGカードで迎え撃つか。選択肢はこの二つに一つ。
「穂香ちゃん、何か策はある? 今の手札で『ファントム』を倒す方法とか!」
「…………正直、厳しいですね」
穂香のデッキは、七色の属性カードを自在に操る魔道士のような構築。
例えば『赤』は攻撃特化、『青』は手札補充といった具合に、七種類もの個性を50枚のデッキにまとめ上げるのは至難の業。上級者向けの構築と言えるでしょう。
それを使いこなすのが大森穂香のセンスですが……。
「あの『ファントム』、銃弾一発で致死ダメージを与えてくるんですよ。私のユニットを召喚しても、紙一枚の壁にしかなりません」
「それじゃ、道具や武器のカードで応戦するしかないのね」
対するレミのデッキは、ユニットを殆ど入れず、ツール(道具・武器)カードを中心とした特殊な構築。これまた癖の強いデッキですが、レミ固有の『プレイヤースキル』によって化ける可能性を秘めています。そのスキルの正体は……後ほどのお楽しみ。
さて、私こと語り部ナビ・Mr.Gが解説している間にも――。
ドガガガガガガガガッッッ!
「また来たぁーーー!!」
「Mr.Gがぺちゃくちゃ喋ってるから!!」
なぜか私のせいにされつつ、銃撃から逃げ回る二人。だが、いつまでも逃げてばかりはいられません!
「仕方ありません。今ある手札で戦いましょう!」
穂香は覚悟を決め、スキャンブレスから一枚のカードを抜き放つ!
『ツールカード、【エレメンタル・ロッド】発動!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈ツールカード〉
【エレメンタル・ロッド】
種別:武器 / 属性:無 / 装備:プレイヤー
EG:③ / AP:100 / PP:20
《必殺技:カラードボール》
消費EG:④ / AP:200
効果:ランダムな属性の魔力玉を放つ。
◎――――――――――――――――――◎
杖の先には虹色の宝玉。巷で人気の「杖を持つヒロイン」を彷彿とさせるその姿。七色の魔道士、大森穂香の実力やいかに!
「はぁぁぁああああっっっ!!!」
穂香は長い杖を棒術のように操り、突いては薙ぎ払い、下卑た視線を向ける輩がいればその脳天をかち割る勢いで立ち回ります。女子高生離れした戦闘技術で、ファントムたちを次々と薙ぎ倒していく!
「レミちゃん、彼らは攻撃力こそチート級ですけど、防御は平凡です! AP100あれば倒せます!」
「本当!? よかった、それなら…………あっ!?」
援護しようとカードを取り出したレミが、異変に気づきました。
「穂香ちゃん、危ない!!」
「!?」
ドックに格納された戦車の上。いつの間にか登っていたファントムの一体が、スナイパーライフルを穂香へ向け、引き金に指をかけた――その時。
―――ピシュッッ!
「!!?」
穂香を狙っていたファントムの頭部を、『7.62mm×51mm NATO弾』が貫通。火花を散らして崩れ落ちます。
「貴方たち、大丈夫!?」
サイレンサー越しの抑制された発射音と共に、中二階の階段から声をかけた救世主。その名は――。
「あ、アリス、さん……!?」
「えぇっ!? 『エレメント◇トリガーズ』の!?」
あの『不思議の国のアリス』がeスポーツユニフォームを纏い、スナイパーライフルを構える姿は、混沌としていながらもどこか滑稽。しかし、そのロリータ的な可愛らしさは本物です!
地底空間出身のモデル志望、ゲーム戦士・水瀬ありさこと『アリス』の登場だ!
「話してる場合じゃないわ! 早くお邪魔な兵隊さんたちを片付けないと!」
「ああっ、そうだった!」
アリスの言葉に我に返るレミ。ここで例のプレイヤースキルが発動します!
◎――――――――――――――――――◎
【畠田レミ:プレイヤースキル】
『アメイジング調合術』発動!
カードを混ぜ合わせ、新たな力を創造する。
◎――――――――――――――――――◎
これぞレミの真骨頂。スキルによって出現した黒鉄色の小型な壺へ、彼女は三枚のカードを投入し、バーテンダーさながらにシェイクします!
「彼女、カードでカクテルでも作ってるの? カシスオレンジとか?」
「私たち未成年なんですけど! あの壺でカードを混ぜて、最強のカードを創るんです!」
アリスが困惑するのも無理はありません。この修羅場でカードを調合するなど、凡人には到底不可能な芸当。しかし、非凡なる彼女にはそれができる。その証拠をしかとご覧あれ!
「できたっ! とびっきりのツールカード!!」
レミは勢いよくカードをスキャン!
『ツールカード、【スパーキングパルス】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈ツールカード〉
【スパーキングパルス】
EG:⑤ / 属性:黄
効果:フィールド上の種族『ロボット』ユニットを全て破壊する。
◎――――――――――――――――――◎
「スパーキングパルス、スイッチ・オン!!」
出現したのは、高電圧を放つ特殊発電機。レミが起動スイッチを押すと同時に、激しい電流の波がドック内を駆け巡る!
ファントムたちの内部フレームに過電流が流れ込み、CPUとセンサーが物理的にオーバーロード。瞬く間にファントム軍団は機能を停止し、辺り一面は鉄屑の屍へと変わりました。
「…………驚いたわ。一体どんなアルケミストなのかしら?」
予想外の威力に興味を惹かれたアリスが問いかけます。
「あるけみ? あたし、そういうの分かんない! ただのパズルゲーム好きな高校生だよ!」
「……でも、すごく優しくて友達想いな子なんです!」
「――分かってるわ。あたしも貴女たちみたいな良い子、大好きよ!」
ハンガードックに集結したトリプルヒロイン。この先、彼女たちがどのような戦いを見せるのか気になるところですが……本日のゲームは、一旦ここまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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次回もゲームウォーリアー外伝をお楽しみに!!




