9.剣&キッド、決死のタッグフォース!!
――ついに、ゲーム戦士たちの前に現れた敵の存在!
軍事施設『Ω-716』の研究室から、ゾロゾロと群れを成して現れたのは、アサルトライフルを携え敵意を剥き出しにする銀装甲の仮面傭兵部隊。
丸腰の相手に銃を向けて「手を上げろ!」などと脅すのは、西部劇の悪役の常套手段。荒野でもない場所で、スターウォーズの敵キャラのような連中にそれをやられても風情がありません。
対するは、互いにゲームの腕に覚えのある桐山剣とキッド。
ゲームの盤面を阻む敵がいるならば、戦わずして先へは進めない。戦わなければ、生き残れない!
「――【スピードブレーダー】!!」
――ザシュッッ!
剣の号令と同時に、彼がコントロールするユニット『スピードブレーダー』が動いた。ロングナイフを逆手に保持し、袈裟斬りの一閃で敵の装甲を掻き捌く。
先手を取ったのは剣たちだったが、ところがどっこい!
「……ダメだ、剣。全然効いてないぞ!」
「えっ!?」
キッドが指差す先を視て、剣は驚愕する。ナイフが切り裂いた傭兵の装甲の下――そこには生身の肉体ではなく、機械と導線を繋ぐパイプが剥き出しになっていた。
「ナイフが効かないはずだ。ありゃあ、アンドロイドの『ファントム』だな」
「ファントム?」
「あぁ、『A.I.M.S』にも出てる、俺たちゲーム戦士の行く手を阻むお邪魔虫ロボットだ」
なんと敵の正体は、FPSゲーム『A.I.M.S』にも登場した完全AI型アンドロイド『ファントム』の量産型であった。
ガガガガガガッッ!!
「やべっ、『スピードブレーダー』が!」
隙を突いたファントムが、剣のユニットへ向けて一斉掃射を開始する。無数の弾丸を浴びたユニットは、ファントムの圧倒的な攻撃力の前に、なす術なく破壊されてしまった。その時、VRエフェクトで空間に浮かび上がったダメージ数値は……一発につき【9999】!!
「はぁ!? まさかコイツら、チーターか!?」
「しかも『公式』のチートだ。動きにバグってる様子がないから、攻撃力だけにデタラメな数値を極振りしてやがるんだな」
『チーター』と言っても、足の速いネコ科の動物ではありません。
ゲーミング用語で、プログラムを不正に改変し、自動照準などを用いて不当に優位に立つプレイヤーのことです。
流石は『A.I.M.S』で人の悪意に染まったチーター共と渡り合ってきたキッド。小賢しい改造プログラムと公式の仕様を見分ける眼力は確かだった。
理不尽な状況ではあるが、ここからの行動こそが経験の差を見せつける!
ガガガガガガッッ!!
「おおっと!!」
実況解説では、パッドで軽快なキャラコンを魅せていたキッド。
物理的なコントローラーの制約がない分、その動きはさらに冴え渡る。連続バク宙を決めるという体操選手も真っ青のパフォーマンスで、ファントムの掃射を軽々と回避してみせた!
「すげぇ……!」
これには仲間の剣も拍手喝采。さらに、あろうことか敵部隊の一人までが釣られて拍手し始める始末。……いや、感心している場合ではない。
「そうだよ! こっちも反撃しないと、真っ先にゲームオーバーになっちまう!」
「あ、そうだった。ユニットでダメなら……今度は武器だ!!」
――ピッ!
剣は装着した『スキャンブレス』の側面ボタンを押し、ホログラム画面をタップしてシステムを起動させた!
「これは、手札が悪い時などに使ってください! 3つまで登録でき、ゲーム中に一度ずつ使用可能な『プレイヤースキル』です!」
◎――――――――――――――――――◎
・桐山剣のプレイヤースキル
【騎士剣 招来】発動!
デッキから《ファイティングブレード》
を呼び出し、そのまま装備します!!
◎――――――――――――――――――◎
剣のブレスから、カードが一枚自動的に読み込まれた!
『ツールカード、【ファイティングブレード】!!』
剣の右手に招来されたのは、白銀の刃。柄は白、鍔は黄金の冠を模している。
愛用のロングソードを片手に、剣は憎き傭兵部隊へと躍り出た!
「うぉりゃああああああっっ!!!」
敵の胸元へ、鋭い横一文字から唐竹割り! 西洋剣術と剣道をミックスさせた我流の剣技が冴える。敵が銃を構える前に武器を弾き飛ばし、無力化してからトドメを刺す。これぞ騎士の剣舞!
「オイオイ、剣ばっかり目立ってズルいぞ! ……よし、だったら俺もプレイヤースキルとやらを使ってみるか!」
この私、Mr.Gの講談にキッドも加わりたいようだ。剣に倣い、キッドもプレイヤースキルを発動する!
◎――――――――――――――――――◎
・火野暁斗のプレイヤースキル
【リロード・マグナム】発動!
デッキ外から《ファイアーバード》
を召喚し、そのまま装備します!
◎――――――――――――――――――◎
剣がロングソードなら、キッドは己のアイデンティティに従い、銃を呼び起こす!
『ツールカード、【ファイアーバード】!!』
右手に宿った炎が弧を描き、キッドの手元で形を成す。握られたのは.357口径のマグナムリボルバー。コルトパイソンを彷彿とさせる回転式拳銃に、火竜のような真紅の塗装を施したカスタムモデルだ。
なんと『A.I.M.S』に登場するあの拳銃が、カードゲーム『AMAZING』でも実装されていたのである!!
◎――――――――――――――――――◎
<ツールカード>
【ファイアーバード】
ツール/武器
属性:赤 装備:プレイヤー
EG:④ AP:300 PP:6
≪必殺技≫
『サラマンダーショット』
EG:③ AP:150
・火竜の如き火炎弾を発射する。
◎――――――――――――――――――◎
「剣、伏せろ!!」
キッドの叫びに、剣は咄嗟に身を低くした。
その背後で、両腕を伸ばし二等辺三角形を作る『アイソセレス・スタンス』を構え、ファントムの群れを真っ向から見据えるキッドの姿があった。
「―――『サラマンダーショット』!!」
――ゴォォォオオオオオオオッッ!!
『ファイアーバード』の銃口から、マズルフラッシュと共に飛び出したのは火竜精霊の幻影。それが瞬時に巨大な火の玉へと膨れ上がり、ファントムたちを呑み込む。
銀の装甲をドロドロに溶かす高熱の炎は、アンドロイドのAI回路を瞬時に消し炭へと変え、敵群を一掃した。
伏せていた剣が顔を上げると、そこには満面の笑みでサムズアップを送るキッドの姿があった。
(……道理でみのりが魅入るわけだ。敵だけでなく、味方までも魅了するプレイ。そしてそこから生まれる圧倒的な信頼感!
――キッド先輩、俺もアンタみたいなゲーム戦士に会いたかったぜ……!!!)
互いに惹かれ合う、熱き魂を持つゲーム戦士たち。
だが、今回のゲームの主役は彼らだけではない。
残り18人、同じ舞台の下で新たな絆が生まれようとしております……!
――本日のゲーム、これまでッッ!!
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次回もゲームウォーリアー外伝をお楽しみに!!




