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先輩

中途半端です

「凛の、家、まだ、…着かないの?」

「あともう少しです」

 エルフたちの住む聖樹の直ぐ近くにある森に囲まれた神社。

 その神社に続く舗装された石出しでできた階段山道、その道すがら、太い木々の隙間にある場違いな一本の竹を見つけた。

「あった、こっちで、す…」

 直ぐ後ろを付いてきているはずの友達の奏さんに、目線を向けようと後ろを振り向き、しくじった、と後悔した。

 奏さんは胴ほどの大きい肩掛け鞄を地面に置いてしゃがみ込み、暗い茶色の髪をワカメのように地面まで垂らし、奏さんは完全にダウンしていた。

「あっ…、!ごめ───」

 わたしは奏に駆け寄り、少し湿った髪をかき分け、顔を覗き込む。

 透き通ったいつもの白い肌が絵の具で塗りつぶしたのかと思うほどに、真っ赤でした。

「!?、一旦座りましょう!」

 わたしは自身の腕についた魔力を起動させ、実質四本の腕で、奏さんを持ち上げ、階段に座らせた。



 鞄から奏さんの水筒を取り出し、少し落ち着いた様子の奏さんへ、差し出す。

「えっと、どうぞ」

「ありがと」

 奏さんはヘラりとわたしに笑顔を向けてくれる。ただそれだけで、少し救われた気持ちになった。

「そして、ごめんね」

 大きな垂れた目を、申し訳そうに細め謝る奏さんに、罪悪感が救われた心に影が刺さり、

「いえ、わたしがベースを間違えてしまったせいなので」

 水筒に口を付ける奏さんを横に、鞄から小型扇風機を取り出し、「ぷはっ」と奏さんの声が聞こえると共に、罪悪感を埋めるように、扇風機を渡す。

「あの、これどうぞ」

 けれど奏さんは受け取ってくれない。

 片手で器用に水筒の蓋を閉める奏さんが、わたしの手に指をツンツンとあてがって、こちらに顔を向けてきた。

「凛があたしにやって」

「?」

 わたしが手で風を作れということなのだろうか?

「わっかり、ました」

 わたしが扇風機を鞄に収納しようとした時、腕を掴まれ、ビクリと驚いてしまう。


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