第5話【表】「 運動のために裏山へ行くと言ったら、魔王軍がバリアフリー庭園を造成した件」
1 スレ主
ケーキ食べ過ぎちゃいました
明日は少し運動しようかな
2 名無しの一般人
嫌な予感しかしない
3 名無しの剣士
運動?
4 名無しの掃除屋
場所は
5 名無しの影
危険物を排除する
6 スレ主
裏山でも散歩しようかと
7 名無しの一般人
あっ……
――
夜。
私はベッドの中で、
端末を見ていた。
ケーキは美味しかった。
とても。
でも。
ちょっと食べすぎた気がする。
幸せだけど、
少し反省。
だから。
明日は少し歩こうと思った。
軽い散歩くらいなら、
ちょうどいい。
――
8 名無しの剣士
裏山は危険だ
9 名無しの大黒柱
最近は足場も悪い
10 名無しの掃除屋
人も少ない場所ですからねえ
11 名無しの一般人
急に物騒になったな
――
そんなに危ないかな。
裏山。
昔からある普通の山だけど。
――
12 名無しの淑女
転んだら大変ですもの
13 名無しの剣士
警備は任せろ
14 名無しの掃除屋
道を整備しておきましょうか
15 名無しの一般人
散歩だよな?
――
なんだろう。
ちょっと大げさな気もする。
でも。
みんな、
なんだか楽しそうだった。
――
16 名無しの魔王
山は危ない
17 名無しの一般人
また物騒なの来た
18 名無しの掃除屋
おやおや
19 名無しの剣士
久しぶりだな
――
新しい人だ。
でも。
なんだろう。
妙に落ち着いた話し方をする。
――
20 名無しの魔王
石は滑る
木の根は躓く
崖は落ちる
21 名無しの一般人
なんか説得力あるな
22 名無しの魔王
我が軍勢で
平らにしよう
23 名無しの一般人
怖いこと言い始めた
24 名無しの掃除屋
東屋も必要ですねえ
25 名無しの剣士
段差は減らせ
26 名無しの一般人
散歩道の話だよな?
――
私は毛布の中で、
くすっと笑った。
この掲示板、
最近ずっと賑やかだ。
――
27 スレ主
そんな大げさな
28 名無しの魔王
山を舐めると死ぬ
29 名無しの剣士
その通りだ
30 名無しの掃除屋
ええ
31 名無しの一般人
急に全員真面目になるの怖い
――翌日――
朝。
私は軽い服に着替えて、
裏山へ向かった。
空気が気持ちいい。
晴れている。
散歩日和だ。
私は鼻歌交じりに、
山道へ入って――
「……え?」
止まった。
道が。
綺麗だった。
ものすごく。
昨日まで、
ただの獣道だったのに。
平坦。
歩きやすい。
しかも。
花まで咲いている。
ベンチもある。
なんなら、
途中に東屋まである。
「すごい……」
私は呆然と呟いた。
なんだこれ。
高級庭園みたい。
――
51 スレ主
裏山すごいことになってます
52 名無しの一般人
でしょうね
53 名無しの剣士
問題なく歩けるか
54 名無しの掃除屋
景観も整えておきました
55 名無しの魔王
転ぶなよ
56 名無しの一般人
保護者かな?
57 名無しの魔導師
安全性向上確認
――
本当に綺麗だ。
歩きやすいし。
花も可愛い。
最近の公共工事って、
すごいのね。
――
私は、
景色の写真を撮った。
花壇。
東屋。
綺麗な石畳。
それを、
なんとなく掲示板へ貼る。
――
58 スレ主
景色が綺麗です
散歩楽しい
――
数秒後。
掲示板が一気に流れ始めた。
――
59 名無しの剣士
良かった
60 名無しの掃除屋
お怪我がなくて何よりです
61 名無しの魔王
足元を見て歩け
62 名無しの一般人
満足そうだなみんな
63 名無しの大黒柱
今日も平和だ
64 名無しの魔導師
安全確認完了
――
私は少し笑った。
みんな、
本当に優しい。
――
その時。
向こうから、
数人の女子生徒が歩いてきた。
貴族科の令嬢たち。
その中心にいた令嬢が、
私を見る。
それから。
小さく鼻で笑った。
「まあ。
婚約破棄された方ではなくて?」
周囲がくすくす笑う。
私は曖昧に笑った。
いつものことだ。
でも。
さっきまで、
楽しかったから。
少しだけ。
胸のあたりが、
もやっとした。
――夜――
ベッドへ入る。
今日はいっぱい歩いた。
少し眠い。
私は端末を開いた。
――
1 スレ主
裏山すごく綺麗でした
でも
ちょっと嫌なこと思い出して
少ししゅんってしました
2 名無しの一般人
あっ
3 名無しの剣士
何があった
4 名無しの掃除屋
詳しく聞きましょうか
5 名無しの魔王
ほう




