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婚約破棄されたので掲示板に愚痴ったら家族が全員いた件【連載版】  作者: あゆと
第一部

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第2話【表】「ただのランチの愚痴が、悪徳商会殲滅戦に発展した件」

【2話【表】】

ただのランチの愚痴が、悪徳商会殲滅戦に発展した件



1 スレ主


最近


学園のランチが美味しくないです




2 名無しの剣士


……ほう




3 名無しの大黒柱


詳しく聞こうか




4 名無しの魔導師


いつから




――



 夜。



 ベッドの上。



 私は毛布に包まりながら、

 掲示板を見ていた。



 婚約破棄騒動から数日。



 学園は妙に静かだった。



 というか。



 元婚約者が急に退学した。



 さらに、

 取り巻きまで消えた。



 うん。



 世の中には、

 知らない方が幸せなこともある。



 たぶん。



――




5 スレ主


先週くらいからです


前はもっと美味しかった気がします




6 名無しの淑女


まあ




7 名無しの魔導師


栄養バランスは




8 スレ主


悪くないと思います


でもなんか味気なくて




9 名無しの剣士


許せんな




10 スレ主


なんでですか




11 名無しの一般人


給食の話だよな?




――



 この人たち、

 時々ちょっと大げさだ。



 でも。



 反応してくれるのは嬉しかった。



 今日も疲れた。



 貴族科の女子って、

 なんであんなに噂話が好きなんだろう。



 私の顔を見るたび、

 妙に気を遣ってくるし。



 最近ちょっと居心地が悪い。



 でも。



 ランチくらいは、

 美味しい方がいい。



――




12 名無しの大黒柱


業者変更の時期か




13 名無しの魔導師


可能性高い




14 名無しの淑女


あらあら




15 名無しの掃除屋


食材ルートを弄られたかもしれませんね




16 名無しの一般人


急に物騒になったな




――



 なんか急に話が大きくなってきた。



 私はただ、

 ランチが微妙と言っただけなのに。



――




17 スレ主





18 名無しの掃除屋


最近、

王都の食品流通が少し荒れておりまして




19 名無しの剣士


ほう




20 名無しの大黒柱


続けろ




21 名無しの掃除屋


粗悪品を混ぜる商会が増えた


……という噂です




22 スレ主


学園のご飯ですよ?




23 名無しの掃除屋


ええ


ですので問題なのです




24 名無しの剣士


その通り




25 名無しの淑女


育ち盛りですものねえ




26 名無しの魔導師


由々しき事態




27 名無しの一般人


ランチの話だったよな?




――



 なんでそんな深刻なの。



 でも。



 ちょっと面白くなってきた。



――




28 名無しの掃除屋


お嬢さん




29 スレ主


はい




30 名無しの掃除屋


今夜、

少し『掃除』しておきましょう




31 名無しの一般人





――



 掃除。



 えらい。



 清掃活動の人かな。



 最近、

 衛生管理って大事らしいし。



――




32 名無しの剣士


助かる




33 名無しの大黒柱


こちらも動こう




34 名無しの魔導師


ルート確認する




35 名無しの淑女


ほどほどにしてくださいね?




36 名無しの掃除屋


善処します




――



 絶対、

 ほどほどにしない人だ。



 なんとなく分かる。



――翌朝――



 教室へ入ると、

 みんな妙に騒がしかった。



「聞いた?」


「また摘発ですって」


「食品商会がいくつも潰れたらしいわよ」


「怖……」



 私は席につきながら、

 ぼんやり聞く。



 最近、

 王都はずっと騒がしい。



 婚約破棄騒動の後から、

 なんだか毎日誰かが消えている気がする。



 あまり考えないようにしていた。



――昼――



 食堂へ入った瞬間。



 私は固まった。



「……え?」



 豪華だった。



 ものすごく。



 テーブルクロスまである。



 なんで。



 いつもの食堂なのに。



 なんか、

 高級ホテルみたいになってる。



――




41 スレ主


なんかすごいことになってます




42 名無しの剣士


そうか




43 名無しの淑女


良かったですわ




44 名無しの魔導師


改善確認




45 名無しの掃除屋


お口に合えば幸いです




46 名無しの一般人


何をしたんだよ




――



 なんでこの人、

 ちょっと誇らしげなの。



――



 恐る恐る、

 スープを飲む。



「……美味しい」



 思わず呟く。



 それから。



 なんとなく、

 端末を開いた。



――




47 スレ主


今日すごく美味しいです




――



 一瞬だけ、

 掲示板が静かになった。



――




48 名無しの剣士


そうか




49 名無しの大黒柱


良かった




50 名無しの淑女


まあ!




51 名無しの魔導師


栄養状態改善確認




52 名無しの掃除屋


……それは何よりです




53 名無しの一般人


なんか大事になってない?




54 名無しの剣士


今日の平和は守られたな




55 名無しの大黒柱


うむ




56 名無しの掃除屋


細部も確認しておきましょう




57 スレ主


細部?




58 名無しの掃除屋


独り言です




――



 でも。



 今日は久しぶりに、

 ご飯が美味しかった。



 パンもふわふわだし。



 お肉も柔らかい。



 デザートまで付いてる。



 幸せ。



――



 その日の夕方。



 食堂のおばちゃんが、

 泣きながら喜んでいた。



「助かったよ……!」


「急に良い食材が大量に入ってきてねえ!」



 私はよく分からなかったので、

 とりあえず頷いておいた。



――夜――



 ベッドへ潜る。



 少し眠い。



 でも。



 最近ちょっと困っていることを思い出した。



 私は端末を開く。



――




1 スレ主


最近


寒くて寝付けないです




2 名無しの剣士


寒いのか




3 名無しの大黒柱


暖房状況を確認する




4 名無しの魔導師


室温は




5 名無しの一般人


また何か始まりそう




――



 私は毛布にくるまりながら、

 小さく笑った。



 この人たち、

 今日も元気だなと思った。



 翌日。



 北部で、

 魔獣の異常活性化が確認された。



 さらに。



 王都へ向かう不審者の情報も、

 少しずつ増え始めていた。



 私はまだ知らない。

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