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婚約破棄されたので掲示板に愚痴ったら家族が全員いた件【連載版】  作者: あゆと
第一部

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15/23

第8話【表】「足が痛いと愚痴ったら、移動インフラが全部過保護仕様になった件」


1 スレ主


昨日歩きすぎたせいで


まだ足が痛いです




2 名無しの剣士


許せん




3 名無しの一般人


筋肉痛にキレるなw




4 名無しの魔王


馬か




5 名無しの掃除屋


無理は良くありません




――



 朝。



 ベッドから降りた瞬間。



「いたっ」



 足が痛い。



 昨日、

 お祭りではしゃぎすぎたせいだ。



 でも。



 楽しかったから後悔はない。



 私は椅子へ座り、

 掲示板を開いた。



――




6 名無しの淑女


湿布を貼りました?




7 スレ主


貼りました


でも地味に痛いです




8 名無しの掃除屋


学園までの移動距離は?




9 スレ主


歩いて20分くらいです




10 名無しの一般人


普通だなあ




11 名無しの剣士


遠い




12 名無しの一般人


過保護で草




――



 私は少し笑った。



 みんな、

 やたら心配性なのよね。



――




13 スレ主


今日はゆっくり歩きます




14 名無しの魔導師


駄目




15 名無しの一般人


急に圧が強いw




16 名無しの大黒柱


送迎を手配する




17 名無しの一般人


始まった




18 名無しの魔王


輿でもよいぞ




19 名無しの一般人


姫かな?




――



 なんだろう。



 話がどんどん大きくなる。



 私は紅茶を飲みながら、

 のんびり掲示板を眺めた。



――




20 スレ主


さすがに大げさですよ?




21 名無しの剣士


怪我を軽視するな




22 名無しの掃除屋


小さな負担の積み重ねは危険です




23 名無しの一般人


なんか説得力あるな




24 名無しの大黒柱


通学路の状態確認を行う




25 名無しの一般人


仕事が早すぎる




――



 私は制服へ着替える。



 窓の外を見ると。



 家の前に、

 馬車が止まっていた。



「……?」



 いつもの侯爵家の馬車。



 でも。



 妙に豪華だった。



 扉の装飾も増えてるし。



 座席まで、

 やたらふかふかに見える。



 なんだろう。



 嫌な予感がする。



――



 執事らしき男性が、

 恭しく頭を下げる。



「リーナ様」



「はい?」



「お迎えに参りました」



「え?」



「どうぞお乗りください」



 怖い。



 でも。



 周囲の通行人が、

 めちゃくちゃ見ている。



 恥ずかしい。



――




26 スレ主


なんか馬車来たんですけど




27 名無しの剣士


良かったな




28 名無しの一般人


良くねえよw




29 名無しの魔導師


振動軽減確認




30 名無しの一般人


確認するなw




――



 私は恐る恐る馬車へ乗った。



 ふかふかだった。



「……すごい」



 椅子が柔らかい。



 揺れも少ない。



 しかも。



 お茶まで置いてある。



「快適……」



 思わず呟いた。



――




31 スレ主


めちゃくちゃ快適です




32 名無しの淑女


まあ良かった




33 名無しの大黒柱


問題なさそうだな




34 名無しの一般人


なんか本気すぎるだろ




――



 馬車は、

 静かに王都を進む。



 すると。



 途中で、

 工事現場が見えた。



「ん?」



 道を広げている。



 しかも。



 やたら大規模。



 魔導機械まで動いている。



――




35 名無しの一般人


なんか急に道路工事始まってて草




36 名無しの大黒柱


安全性向上のためだ




37 名無しの一般人


仕事が早すぎる




38 名無しの掃除屋


段差は危険ですからね




39 名無しの魔王


坂も削るか




40 名無しの一般人


山を削るなw




――



 私は窓の外を見ながら、

 少し笑った。



 最近の王都、

 本当に変だ。



 でも。



 住みやすくなってる気はする。



――



 学園へ到着。



 馬車の扉が開く。



 すると。



 なぜか。



 学園入口まで、

 赤い絨毯が敷かれていた。



「…………」



 周囲の生徒も、

 ざわついている。



「何あれ……」


「誰か来るの?」



 いや。



 私も知りたい。



――




41 スレ主


なんか絨毯あります




42 名無しの剣士


安全だ




43 名無しの一般人


規模がおかしいwww




44 名無しの魔導師


クッション性向上確認




45 名無しの一般人


確認するなw




――



 私は吹き出した。



 なんだろう。



 最近、

 本当におかしい。



 でも。



 ちょっとだけ。



 嫌じゃなかった。



――昼休み――



 食堂。



 窓際の席。



 私は紅茶を飲みながら、

 掲示板を開く。



――




61 スレ主


でも


本当は普通に歩いて


みんなと一緒に帰るのも好きなんですよね




――



 掲示板が、

 一瞬止まった。



――




62 名無しの剣士


……そうか




63 名無しの淑女


まあ




64 名無しの魔導師


……一緒




65 名無しの一般人


なんか空気変わった?




――



 私は少し首を傾げた。



 なんだろう。



 でも。



 お祭りの時も思ったけど。



 やっぱり。



 一人で快適なのと。



 誰かと一緒なのは。



 少し違う気がする。



――




66 スレ主


今度は


みんなでのんびりお出かけしたいです




67 名無しの一般人


それは楽しそう




68 名無しの魔王


温泉などどうだ




69 名無しの掃除屋


静かな海も良いですね




70 名無しの淑女


景色の良い場所も素敵ですわ




71 名無しの一般人


旅行会議始まってて草




――



 私は少し笑った。



 温泉かあ。



 楽しそう。



 その日の夜。



 王都中の高級旅館と温泉地が、

 静かに緊張し始めたことを。



 私はまだ知らない。

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