第7話【表】「少し退屈だと愚痴ったら、王都で世界規模の大祭典が突如開催された件」
1 スレ主
なんだか最近平和ですね
少し退屈かもしれません
2 名無しの剣士
任せろ
3 名無しの金髪
では祭典を
4 名無しの掃除屋
おやおや
5 名無しの魔王
祭りか
6 名無しの一般人
祭り!?
――
夜。
私はベッドの中で、
掲示板を見ていた。
最近は本当に平和だった。
学園も静か。
嫌な噂もない。
食堂も美味しい。
裏山も綺麗。
すごい。
人生、
急に快適になった気がする。
でも。
少しだけ。
刺激が足りないかもしれない。
――
7 名無しの淑女
平和が一番ですわ?
8 スレ主
それはそうなんですけど
少しくらいイベントほしいです
9 名無しの一般人
じゃあ祭りやればいいじゃん
10 名無しの剣士
了解した
11 名無しの一般人
えっ
12 名無しの金髪
我が国の劇団を呼びましょう
13 名無しの掃除屋
夜市などいかがでしょう
14 名無しの魔王
北の酒を出そう
15 名無しの一般人
話でっか
――
なんだか、
話がどんどん大きくなる。
でも。
こういう雑談、
ちょっと好きだった。
――
16 スレ主
普通のお祭りでいいんですよ?
17 名無しの剣士
普通とは
18 名無しの一般人
知らんがな
19 名無しの金髪
幻獣サーカス団も出せます
20 名無しの掃除屋
王都の屋台を全て押さえましょう
21 名無しの魔王
空は我が軍が彩る
22 名無しの一般人
花火は見たい
――
なんだろう。
話がどんどん大きくなる。
でも。
こういう雑談、
ちょっと好きだった。
――
23 名無しの大黒柱
中央広場を開放する
24 名無しの一般人
仕事早くない?
25 名無しの大黒柱
祭典許可は通した
26 名無しの一般人
本当にやるの!?
27 名無しの掃除屋
治安維持はこちらで
28 名無しの一般人
なんか怖くなってきた
――
掲示板が、
どんどん流れていく。
なんだか本当に、
お祭り前みたいだった。
――
29 スレ主
屋台あると嬉しいです
りんご飴食べたい
30 名無しの剣士
確保した
31 名無しの金髪
職人ごと送ります
32 名無しの魔王
林檎畑を増やすか
33 名無しの一般人
りんご飴人気だなあ
――
私は吹き出した。
なんで林檎畑になるんだろう。
この人たち、
本当に面白い。
――翌日――
朝。
学園へ向かう途中。
街が騒がしかった。
「急遽、大祭典開催!?」
「今日、学園休みなんですって!」
「王都中がお祭りらしいぞ!」
私は目を瞬かせた。
え。
本当に?
――
41 名無しの一般人
なんか街すごいことになってる
42 名無しの剣士
始まったな
43 名無しの金髪
開幕です
44 名無しの魔王
良き祭りにせよ
45 名無しの一般人
ちょっと行ってみたい
――
王都中央広場。
そこは。
もう別世界だった。
巨大な屋台通り。
音楽。
劇団。
大道芸。
空には、
色とりどりの魔法花火。
しかも。
白い幻獣が、
空を飛んでいる。
「……すごい」
本当に。
すごかった。
急に。
街全体が、
遊園地みたいになっている。
――
46 スレ主
なんかすごいお祭りやってます
47 名無しの一般人
楽しそう
48 名無しの掃除屋
楽しめていますか?
49 スレ主
すごく楽しいです!
50 名無しの剣士
そうか
51 名無しの金髪
それは何よりです
52 名無しの魔王
うむ
53 名無しの一般人
りんご飴うまそう
――
私はりんご飴を齧った。
甘い。
美味しい。
それに。
なんだか、
すごく平和だ。
――
その時。
空が光った。
次の瞬間。
夜空いっぱいに、
巨大な魔法花火が咲いた。
青。
赤。
金。
光の花が、
王都全域を包み込む。
みんなが歓声を上げた。
「きれい……」
思わず呟く。
――
61 スレ主
花火すごいです
62 名無しの魔王
頑張った
63 名無しの一般人
いいね!
64 名無しの淑女
まあまあ
65 名無しの一般人
詳しい人いそう
――
私は少し笑った。
今日は、
本当に楽しい日だった。
――夜――
部屋へ戻る。
ベッドへ倒れ込む。
「疲れた……」
でも。
すごく楽しかった。
私は端末を開く。
――
71 スレ主
お祭りすごく楽しかったです
でも歩きすぎて
足が痛いです
72 名無しの剣士
は?
73 名無しの金髪
移動手段が必要ですね
74 名無しの魔王
馬車か
75 名無しの一般人
おだいじにー
――
私は少し笑った。
でも。
少しだけ、
心残りもあった。
――
76 スレ主
あと
家族とも回れたらよかったです
みんな忙しそうだったので
――
掲示板が、
一瞬だけ静かになった。
――
77 名無しの淑女
まあ
78 名無しの剣士
…………
79 名無しの大黒柱
そうか
80 名無しの魔導師
……次は
81 スレ主
ふふ
次はちゃんと誘ってみます
82 名無しの一般人
なんか空気重かったな
83 名無しの剣士
……ああ
84 名無しの淑女
ふふ
85 名無しの大黒柱
予定を空けておこう
86 名無しの一般人
家族旅行みたいになってきた
――
私は少し首を傾げた。
気のせいかな。
でも。
次は、
家族みんなで回れたら楽しそうだ。
――
87 名無しの金髪
良い祭りにしましょう
88 名無しの掃除屋
次は、
ご家族の予定も押さえませんとねえ
89 名無しの魔王
移動負担も減らすか
――
私は吹き出した。
なんだろう。
みんな、
本当に優しい。
その夜。
王都中の護衛会社と馬車業界が、
妙に慌ただしくなっていたことを。
私はまだ知らない。




