オルビスの復帰
29話
俺たちはオルビスに昨日の事を話しながらエルフィデスに向かう最終準備をしていた。
「冒険者殿!!」
「村長さん・・・!どうされましたか?」
「皆さん、すまなかった・・・無理をさせてしまって・・・」
「いえいえ・・オルビスさん・・!」
「どうしましたか?」
「村長さんが・・・・」
「オルビス様!!!!申し訳なかった・・っ!許して欲しいとは言いません!ただ!すいません・・でした」
「大丈夫です。全て知りました。村長さんにはもちろん責任はあります。だけど・・この問題は大きすぎました。逆に私から・・ありがとうございます、この村を守ってくれて!!」
「・・オルビス様・・ぐすっ・・この恩は忘れません。後世に・・残してゆきます。絶対に」
「まあ・・恥ずかしいですが・・お願いしますね!!」
「守ります!!!!」
あれからオルビスは変わった。
これまで俺や他の人間と距離を置いていたが、今は元気な女の子だ。まあ元気が出たことは喜ばしいことだ。
1人の時間で殻を破ったのだろう。硬い殻を。
オルビスは今、アバの頭をなでなでしている。
俺たちは準備を終わらせ馬車を走らせた。
「また会おう!!!」
遠くで村長を含めた村のみんなが手を振っていた。俺と話したあとちゃんと住民に事情を説明して謝ったのだろう。この短い時間であまり人と会えなかった。だが、ここはいいところだった。
今度の馬車はオルビスが運転、俺が荷台ではなく、俺がオルビスの隣に座る形で馬車の操縦方法を教わりながらの運転だった。
少し馬車を走らせた後オルビスが口を開けた。
「・・・・広井様・・・すいません」
「どうか・・しましたか?」
「・・私の都合で迷惑をかけて・・だけど広井様が言ってくれた言葉で目が覚めました・・!ありがとうございます!!」
「・・謝られたり感謝されたりされることはやってませんよ・・でも一応・・どういたしまして、です」
「この依頼の前の私は両親を最後に看取れなかった、最期に立ち会えなかった、っていう絶望や自分に対して失望が、そして何よりも大切な人を救えなかった・・それが辛かったです。あの時は私はもう楽しくする権利なんかないと思ってました・・本当にありがとうございます!!」
「いや・・・いいですよ・・」
「あの・・・その・・・これまで広井様と呼んでいたんですけど・・・・も、戒・・様と呼んで・・いいですか・・?」
オルビスは突然変なことを言ってきた。だがどうでもいいことだ。
「・・・・いいですよ」
「ありがとうございます!!戒様!!あと、オルビスさんじゃなくてオルビスで大丈夫です!!」
「オル・・・・ビス?」
「ありがとうございます!!戒様!!」
「あのぉ・・・・・その・・・近くないですか?」
「あっすいません!!」
オルビスは体を離した。これまでこのような事はなかったがどうかしたのだろうか?
「あの・・・」
「どうしましたか?」
「鎧は・・・被らないんですか?」
「あれは外しました。暑かったので!」
「そうですか・・・」
オルビスはこれまでずっと鎧をしていた。取る時は寝る時、食べる時ぐらいだったのだ。
でも今オルビスは鎧を取っている。精神的に殻を破ったオルビスは変わろうとしているんだろうな、と思った。
色々あったが俺はエルフィデスに戻ってきた。
たった1週間ぐらいだったのにものすごく長く感じた。なぜかはわからないが仲間?もできた。アバ、という雪狐だ。
「かわいいですねー!!」
オルビスはあっちでアバと戯れている。
なんとも絵になる光景だ。
鎧をつけていた時、オルビスが道を通ると驚いた顔をしていたが、今は全くそのようなことがなかった。
俺は嬉しかった。目立たなく済んだからだ。
「オルビスさん!!」
呼んだのにオルビス振り返らなかった。
(そうか・・)
「オルビス!!?」
「どうしましたか・・?戒様!!見てください!アバが可愛いですよ!!」
「止めるのじゃ!!はっは!!くすぐったいのじゃ!!でも・・・気持ちいいなぁ!!!」
「あのそのことじゃなくて・・・宿、どうしますか・・?」
「・・・・宿ですか・・忘れてましたね・・」
他の作品がありますがその更新はかなり後になります。
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