表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後の転移者  作者: 犬座いい
思旅の冒険者
27/32

村長

27話


「この人間…このままだと死ぬぞ」


俺はオルビスの脈を触った。


脈はなかった。


「どうすればいいんですか!アバさん」


「アバがやったことだからアバが全部悪い」

「アバは責任を感じてる…なのじゃが…こればっかりはアバにはどうしようもできんのじゃ」


「オルビスさん…」


「このオルビスという人間が自力で“死の国”から抜け出す必要があるのじゃ…いや…それしか方法がない…というべきじゃろうか」


「…オルビスさん!起きてください!」

「オルビスさん!」


目が少し動いた。


「オルビスさん!」


「人間!頑張るのじゃ!」


オルビスの手が動いた。


「オルビスさん!!」


オルビスの目がゆっくり開いた。


する突然起き上がった。しかしまだアバの魔力が体の中にかなり残っているのだろう。立てずに体勢を崩してしまっていた。


「ママ…パパ…」


「…………っ!」


目を覚ました開口1番目の言葉がそれだった。


俺は少し驚いてしまった。


オルビスが前に俺に言ってくれていた、「両親を亡くした」という言葉と今のオルビスの言葉、オルビスはアバが言っていた“死の世界”で両親にあったのだろう。


オルビスは泣き始めた。号泣した。


「ママぁぁぁぁぁ…パパぁぁぁぁぁ」

「…どこに………いるの…っ」


胸が張り裂けそうになった。しかし俺は湧き上がる感情を抑えた。


「大丈夫です…オルビスさん…」


俺はそっと頭を撫でた。それが少しでもオルビスのためになるんだったらと俺は思った。


オルビスはその後小1時間泣いた。

その後、オルビスは泣き疲れた子供のように眠ってしまった。


こんなオルビスは初めて見た。これまで感情をあまり顔に出さない人だった。


しかしこれは全く違う姿だ。

これが素の姿なのかもしれない。


「泣いて…しまったな」


「はい…そうですね…アバさん」


「人間…名前はなんじゃ」


「広井…戒ですけど…」


「広井…アバを連れていってくれないか…」


「………え?」


「アバがオルビスをこのような状態にした張本人じゃ…。さらに…広井…そしてオルビスが今のような危険な場所に巻き込まれる可能性は大いにある。アバは大精霊じゃから、強い。まあ…お主らを傷つけた時点でわしにはそんなことを言う権利もクソもないのじゃが…」

「本当は…お主たちに詫びと恩返しがしたい…のじゃ」


「………オルビスさんに聞いてください…でも一旦まずは一緒に来てもいいです…」


「ありがとう…広井」


そうして俺はオルビスを担ぎながらアバを連れて村に帰った。


          ◇


俺たちがつくなり村中が大騒ぎだった。


最初は霧が消えたということに対しての称賛の声が大きかったが、すぐに俺たちの状態の話題に変わった。


俺はオルビスを担いでマセルさんの家に行き、2階にある俺たちが泊まっていた場所にあるベッドにそっと運んだ。


一休みするために1階に降りた。


「……なんか…食べる?」


マセルさんが控えめに言ってきた。


オルビスをおぶってきた俺を心配してのことだろう。


「いただきます」


そういう時マセルさんはよそよそしくキッチンの方に向かっていった。


マセルさんはすぐに戻ってきた。すぐといっても8〜9分待っただろうか。


「簡単なものだけど…スープ持ってきたよ」


マセルさんは俺の前にそれを置いた。


俺はそっとそれを口に運んだ。

暖かく、霧で冷えた体にとってはありがたかった。


その時ドアのノックオンが聞こえた。


「村長じゃ」


「村長……」


マセルさんの顔が明らかに強張った。

マセルさんがどこかの夕食で言っていた話を思い出した。“村長”が冒険者を霧の調査のために呼ぼうとしなかった、という話を。


「扉を開けてくれませんかね」


マセルさんは渋々体を上げた。


そうしてドアを開けた。


外には野次馬がある1人の周りにできていた。この人が村長だろう。


「冒険者殿…きてくれませぬか…」


マセルさんは俺に向けて申し訳なさそうな顔をしていた。


「…はい…このスープを飲んだら行きます」


俺はできる限りゆっくりスープを飲んだ。料理番組によくある味見のように飲んだ。その間に去ってくれることを望んだ。


そうしても飲み終わってしまった。


村長はまだいた。


「やっと飲み終えましたか、ではきてください」


「マセルさん…オルビスさんに何かあったらお願いします」


「任せて…大丈夫だよ」


返事を聞き、俺は仕方なく村長についていった。

誤字があったら教えてください

面白かったら下にある星を動かしてみてください。

情報:明日は投稿できません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ