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最後の転移者  作者: 犬座いい
思旅の冒険者
26/33

オルビス

26話


「広井…様……」


オルビスは落ちた。


アバの魔力が体全体に行き渡ったのだ。

たとえ、このような他者の魔力によって生まれた“魔力が濃い場所”に入っても長時間は入らなければ体に問題はない。さらに、1〜2日入ったとしてもその時点で体の力が弱まり、すぐに人は出ていく。


しかし、オルビスたちは違った。依頼を抱えており、体全体に他者の魔力がまわってしまうまで留まってしまった。さらにオルビスはAランク冒険者で騎士をしている為、通常の冒険者と比べても筋肉がついている。よってさらに自らに対しての危機感が湧きにくかったのだ。


「ここは…どこです…?」


「オルビス」


「………え…?」


「パパとママだ」


「…………………え……?……な…なん……で…」

「母上と…父上…がいるんですか……」


「オルビス!昔みたいに“パパ”って読んでくれてもいいんだぞ!はっはっはっは!!」


「…パパ………どうして…」


「オルビスも…成長したな」


「うん……うん、パパァ〜ァ!」


「泣くな泣くな、オルビス」


「パパ…」


「そうですよ、オルビス」


「…ママ……」


「ごめんなさい!!パパとママの……さい…ご…に…いなくて…」


「オルビス…ありがとな。俺たちのことをこんなに思ってくれて」


「ありがとうね、オルビス」


「オルビス…俺たちもお前に謝らなきゃいけないことがある」


「…パパ…何が…」


「すまない!オルビス…お前を1人にさせて!」


「ごめんなさいね…お母さん…死んでしまって…」


「お前は…人一倍優しい子だ…。すまない!」


「パパ………」


「なあ…オルビス…俺たちがいない世界…いや…あれからの世界でお前はしっかり生きているか」


「無理だよ……そんなの無理だよ…ママとパパがいなくなった世界で私は…」


「そうですか……、見えていた通りでしたか…オルビス、しっかり生きなさい」


「そうだ、オルビス、自立しなきゃならん!」


「そんなの無理だよ…パパ!ママ!」


「オルビスが行きたいように生きる、それが1番のパパとママへの供養なんだ。オルビス」


「私の行きたいように生きてるもん!今だって…今だって…」


「オルビス…あなたの心は今、殻がついてるんです。“私たちの死に立ち会えなかった後悔”という固い殻が。それがついたのは…私たちの責任です。しかし…それは私たちには割れない。それを割るのは…オルビス…あなたしかいないんです」


「………………オ…ル…ビ……ス……さん…」


「オ………ル…………ビス……さん」


「オルビス…いく時だ…」

「心配されてしまう」


「そんなの無理だよ……」

「ずっとこうやって…ずっと幸せに…行きたいよ!」


「オルビス…行きなさい」

「これ以上いるとお前は本当に死んでしまう。それは父さん、母さんも悲しいんだ」


「そして…何よりもお前を心配している人を悲しませてはいけない」


「パパ…」


「あなたが殻を割れなくても…いつか…きっと…目の前にそれをこじ開けてくれる…ヒビを入れてくれる…そんな存在に巡り会うんです…母さんには分かります」


「ママ…」

「…でも…」


「オルビス!幸せは続かない、辛いことも続かない。お前はいつかきっと俺たちが霞んでしまうような…大切な人を見つける…父さんと母さんもそうして出会ったんだ!まあ…オルビス…俺たちはどこかでお前を見守っている。だから…安心して行くんだ…」


「………わかったよって言いたくないけど…パパとママのために…行くよ」


「ありがとうね…オルビス」


「ありがとう…オルビス」


オルビスは声が聞こえていたドアの前に立った。


「絶対だよ……パパ…ママ…バイバイ」


オルビスは足を動かそうとした。

だが動かなかった。


「ねぇ……体がここから離れるのを…」


「そうか…オルビス」

「押してあげようか…母さん」


「そうですね…父さん」


オルビスの、小さく、しかしどこか頼もしい背中を押した。


「オルビス!「「元気でな・元気でね」」」


オルビスは歩き始めた。


最初は歩きだったがだんだんと速くなっていった。


「パパ…!ママ…!」

「私…叶えるよ!私…頑張るよ!!」


自分の気持ちが変わらないうちに、大切な親の思いに応えるため。


後ろを振り返ってしまうと足がまた止まってしまう。


オルビスは走った。


必死に走った。


涙で前が見えなかった。



そうして1つのドアにたどり着いた。


「オル………ビスさん!」


さっきの声よりも大きくなっていた。

その声は“広井戒”の声だった。


「広井…様…今行きます…」


その言葉を聞いたオルビスはゆっくりとドアを開けた。

この後結構話が進んできます。

次の投稿はいつかは分かりません。

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