出会い
25話
そうして時は過ぎ、5日目。
ようやく1番疑い深いと思っていた山頂に着いた。麓にいた時より霧が濃くなって、寒くなっている。
さらに寝不足なのかはわからないがとても体が重く感じる。
だからこそもっと足元に気をつけないと誰にも気づかれずに死ぬ。コロっと。それは流石に避けたい。
でもまあ…歩けないほどではない為、俺はオルビスに言っていない。
「ここら辺でしょうか?オルビスさん」
山の山頂にはいかにも怪しげな洞穴があった。
それは草木に飲まれていたが、人1人分が入るスペースがあった。
その時、オルビスの体が一瞬ふらついた。
「大丈夫ですか!オルビスさん」
「ひ…広井様…大丈夫です」
騎士であり、そこそこ強いAランクのオルビスが
その言葉を言った後、オルビスは先頭に立って洞穴に向かった。
洞穴に入り、直ぐ気づいたことがあった。
(これ…洞穴じゃない…)
洞穴と思っていたものの中には階段が掘られており、整備されていた。
入口直後は外同様、ツタや緑が生えていた。しかしそれも奥に向かっていくと同時になくなっていった。
しばらく、下を見続けたり、上を見続けたりして虫が降ってくるのを予防していた。
するとオルビスがゆっくり速度を落とし止まった。
オルビスはかなり足が弱そうで、生まれたての子鹿ほどではないが生後2年の赤ちゃんぐらいの足になっていた。
かろうじてオルビスのボディーレスラーとは違う、魅せる筋肉ではなく使う筋肉が支えているのだろう。
洞穴に入った時よりも霧は濃くなっており、この時では、2m先がかろうじて見えるか見えないかのラインだった。
オルビスが止まったのは足が生後2年になったからではない。オルビスだったら生まれたての子鹿になっても動けるだろう。
ではオルビスはなぜ止まったのか?
そう、目の前に大きな扉があったのだ。
それは26センチの靴を20個ぐらいを縦に積み上げた高さぐらいの扉だった。
といろんなことを考えていたが俺もかなりきつい状況だ。
50m走を走り終わった時の疲れ切っているわけではないが元気100倍マンではない、そんな状態だ。
その原因はおそらく“霧”だ。
「広井様…あけますね」
オルビスが扉を開けようとしたので俺も向かった。オルビスは足が弱っている。転んで怪我をしてしまう可能性がある。
俺とオルビスが一生懸命押してやっと開いた。
その扉の中からさらに濃い霧が出てくる。
きりじゃないかもしれないが…。
俺たちはオルビスを先頭に扉の中に入った。
「さむっ」
クソ寒かった。もっと着込めばよかったな。
っていうか服買うの忘れてた。
凍っちまう 凍っちまうよ 俺の服
一句読んだところで俺は部屋の中を観察した。
高さは…扉と同じぐらい…
広さはかなり広いな…
俺たちが登ってきた山は飾りでこれを隠すために作られたのではないかと思ってしまうほど広い空間だった。
俺たちは周りを見渡したが霧のせいで何も見えなかった。
しかし目を凝らしてよく見てみると前方に微かな光が見えた。
(なんだ…あれ)
オルビスも気づいているらしく、2人で向かった。
「そこの人間…我を救ってくれぬか…?」
どこからか声が聞こえた。
(え!?)
「そこの人間…お前たちじゃ…」
(ふぇ!?)
周りを見渡したが人1人いない。
「助けて…くれぬか」
光がある方へ歩いていくとより声も大きくなる。
「そうじゃ…ありがとう…」
ついに光の根源まで辿り着いた。
そこには宙に浮いている丸いバスボムのようなものが見えた。
その物体の周りには呪文らしいものが連なっており、いかにも封印されてそうだった。
さらにその中には何か…生き物がいた。
「きてくれたか…それじゃあ…封印を解いてくれ」
「…え?」
もちろん封印の解き方を知らない。
「オルビスさん…これなんですか?」
「広井様…知りません…」
このまま帰りたいが…依頼だから帰れない。
(めんどくせー…けど助けてあげるか…)
オルビスも俺もかなり疲弊している。
早くやらなければ共倒れだ。
「もう壊すしかない…か」
「オルビスさん…魔法を使えますか?」
「広井…様…使え…ます」
オルビスはそんなことを言ったが実際は無理だろう。子鹿の足では魔法…オルビスは特に斬撃を飛ばす魔法なので足腰が重要になってくる。
(…しょうがないか…)
『スノウル』
俺は魔法を展開した。
オルビスに見せたくなかった。だけど…依頼だからしょうがない。目の前に救いを求めていた…そんな生物がいたのだから。
自分が自覚したその“助けて”という声ができる限り応えたい。
そんな思いをのせた『スノウル』はその封印されたものに真っ直ぐに飛んでいった。
しかし…それは無惨に散っていった。
「感謝する…人間、じゃが…少しばかり力が足りぬようじゃ」
「広井…様……魔法を…使え…」
オルビスはキツそうだ。
俺も50mハードル走を走った時の疲れになってきている。
早く封印物をぶっ壊さなければ。
「お主…人間の魔法としてはすごいな…」
「人間か…?」
一瞬イラっときた。
人間否定は流石に…ね…。
「もう帰ろっかな…」
「いやいや…待てっ…人間。お主はれきっとした人間じゃ!」
「待ってくれ…!」
「まあ…いいかな」
『スノウル』『スノウル』『スノウル』
三連弾だ。
「そうじゃ!その調子じゃ!」
「まだ…割れぬか…」
「すいません!無理です!」
「諦めるな〜!!」
「人間。なんの魔法かは知らないが、お主の魔法は1個1個単体で魔法を撃っている。複合させるのじゃ。前見た人間はそれをやっていた。人間よ、主にもできる」
「早くしないと隣の人間が連れてかれるぞ!」
「隣の…人間……オルビスさん!」
オルビスは体が透けていた。
「結論から言おう!これの霧は魔力で出来ている!水の大精霊であるアバーネの魔力じゃ!」
「魔力ですか…?」
「まあ…私がアバーネなんですけどね」
(お前のせいかよ…)
「とにかく!魔力が濃いところだと…お主のようなきも……稀有な存在でない限り、死の世界に迷い込むぞ!」
「アバが外に出たら魔力はどうにかする!だから!早くアバの封印を…解いてくれ!!」
「アバは強い!だからこの封印は内からの攻撃に強い!じゃが!外からの攻撃に弱い!これを展開したやつが…あの魔族が封印に長けていなかったのじゃ!いやそれは語弊がある。強過ぎるアバを封印するにはそれしか出来なかった、からかもしれんが…前の封印と同じやつがやったらこんなにやわくなかったのだが…だが!これは好機だ!通常はアバ1人でそれが出来なかったが、今はお主らがいる!」
「わかりました!アバーネさん!」
「アバで結構じゃ!!」
(めんどくさいな…)
「アバさん!」
『スノウル』
気分絶頂の時に撃った魔法は封印を壊せなかった。
「じゃから…言っただろう!!人間!魔法を複合させるのだ!某映画みたいに合体させるのじゃ!」
(合体…)
魔法を合体…それは考えたことがなかった。
手に魔力を集め…ちょっと集めにくいな…
でもいける!
そこから『スノウル』を展開する。
(よし!ここまではいつも通りだ)
それを…合体する。
左手に『スノウズ』を同じようなかんじで展開する。
合体!!
そうして合体された雪は…と言いたいが合体しなかった。
(無理かも…)
(いや…イメージか!)
頭に中で手にある魔力を魔法に変えるイメージをする。すると魔法ができる。
であるならばイメージの段階…火口ではなくマントルで合体させる!
あとは運だけだ!
俺は『スノウズ』、『スノウル』を合体させた。
手には『スノウル』の増雪verが誕生した。
俺の手に穴が開くと思ってしまうほど強い雪だった。これは絶対光速を超えている。
それを封印の方向に向けた。
ぼっっっぼんんんんっっぼん
雪煙が舞った。
その中にいたのは…1匹の雪ギツネだった。
「ありがとう!アバは無事じゃ!」
するとアバは周りの霧を吸い始めた。
するとあっという間に霧は晴れた。
「オルビスさん!起きてください!」
俺はオルビに向かった。
誤字があったら教えてください。
よかったら他の話を読んでください。




