↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された無能令嬢、魔界で最強の王となる  作者: 川合 佑樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/56

第49話

 ヴァレリアはセラーナを抱えたまま、墓地の外縁へと全力で走り出そうとした。


 その時、ズルリ、ズチャリ、と湿った肉の擦れ合う音が、四方八方から響いた。


 ヴァレリアが細切れに切り刻んだはずのアンデッドの残骸が、黒い霧に包まれながら蠢き始めた。


 首だけ、腕だけ、胴体だけだった肉片が、互いに引き寄せられるようにくっつき、ねじれ、融合していく。


 折れた角が新たな頭部に埋め込まれ、裂けた翼が無理やり背中に縫い付けられ、灰色の皮膚が鋼のような鱗に変わっていく。


 数秒で、五体の異形魔獣が完成した。


 血と肉片を滴らせながら、完全に包囲するように立ち塞がった。


 ヴァレリアが舌打ちし、セラーナを抱えたまま急停止した。


「……死んだ後に発動する魔法か。趣味が悪い」


 彼女は短剣を逆手に持ち替え、近くの一体に突進しようとしたが――上空から甲高い咆哮が降ってきた。


 さらに二体、翼を生やした異形が空を覆い、逃げ道を完全に塞ぐ。


 完全に囲まれた。


 ヴァレリアの腕が、わずかに震えた。


 セラーナはヴァレリアの肩に顔を埋め、呟いた。


「……ヴァレリア、ごめんなさい……私のせいで……」


 ヴァレリアは強く抱きしめ返し、短剣を構えながら答えた。


「魔王様。ここで私が時間を稼ぎます。アミュレットを――」


 その時だった。


 包囲網の中心で、地面が最も大きく盛り上がった。


 物理法則を無視し、世界そのものに干渉する概念魔獣が、浮かび上がってきた。


 ドラゴンだった。


 しかしその姿はあまりにも異様だった。


 鱗の一枚一枚に、違う顔が浮かび上がる。


 咆哮するたびに無数の声が重なり、苦痛と憎悪が混じり合った叫びが耳を打つ。


 翼は骨と肉が無理やり縫い合わされたように歪み、動くたびに血の滴る音がして、縫い目から赤黒い液体が零れ落ちた。


 複数の魂が絡み合い、互いに食い合いながら無理やり一つの形に押し込まれたような、根本的な「ずれ」がそこにあった。


 エリークスは一人、巨大なドラゴンと向き合っていた。


「……久しいな、尊き者よ。そのような姿になってまで人族に盲従するか。そこにいるのなら、大人しく首を差し出せ」


 ドラゴンの方から、重く歪んだ声が返ってきた。


「先ほどはよくも不意打ちを……許さぬ。全てを燃やし尽くしてくれよう」


 ドラゴンの背から、血まみれのティムフダルグが顔を覗かせていた。


 エリークスは冷たく、告げた。


「威を借る猿め。貴様は万死でも許さん」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。