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12-1 大切な人(好きな人)の特別な1日の為に

 二日後。


 果奈は大型商業施設の中を散策していた。


◆◆◆


 目的は駿の誕生日プレゼント。


 私自身、駿から最高の誕生日プレゼントを貰った。


 だから、私もそれに負けないくらい最高のプレゼントを贈り、駿にとって忘れられない一日にしたい。


 そんな想いを胸に抱いていた。


 だけど。


 今まで男子に対して誕生日プレゼントを贈ったことがなく、右往左往することしか出来ず、焦りだけが募っていた。


 そう悩んでいた時だった。


 スポーツ店が目に入り、何かしらのヒントがあるかもしれないと思い、店内へ足を踏み入れる。


 最初に、テニス用品のコーナーへと向かってみるが、ラケットやボールなどの専門用品が多く、誕生日プレゼントとしては少し違う気がして、その場を後にした。


 小さく肩を落としながら、スポーツ店を出ようとすると、スポーツタオルの売り場を見つける。


 スポーツタオルのコーナーには様々な種類のタオルが置いてあり、可愛いデザインの物もあれば、男子が好きそうなクール系の物もあった。


 一枚ずつタオルを見ていくと――。


(これ、駿っぽいかも)


 そう思って手に取ったのは、青と白を基調としたタオルで、色は派手ではないけど、デザインが好きそうな感じがした。


 同時に、駿が部活で首に掛けている姿を想像する。


 汗を拭いている姿も。

 何気なく使ってくれている姿も。


 それだけで胸の奥が温かくなり、思わず小さく笑みが零れた。




 大型商業施設を後にした帰り道。


 買ったその時は満足していたけど、私らしさがないと思い始める。


 駿のことを考えながら歩いていると、不意にある考えが頭をよぎった。


(そうだ、これをすれば駿もきっと喜んでくれる筈!)


 具体的な形が見えたわけじゃないのに、自然と頬が緩んでいく感覚がした。


 駿の誕生日を想像するだけで楽しくなる。


 大切な人の大切な一日を迎えようとしていた。





——時は遡り、同じ日の昼頃。


 睦美は駅前の商店街を散策していた。


◆◆◆


 目的は浅村の誕生日プレゼント。


 ここまで修学旅行実行委員として、共に作業をしてきたお礼もあった。


 だけど。


 それ以上に、好きな人の大切な一日の思い出に残るプレゼントを贈りたい。


 そんな想いが何よりも大きかった。



 商店街の一角にある雑貨屋に入り、誕生日プレゼントを探すことにする。


 店内には、色とりどりのマグカップやハンカチ、文房具に小物などが並んでおり、休日ということもあって多くの学生で賑わっていた。


 魅力的な商品は多かったが、これといった物がなかなか見つけられず、時間だけが過ぎていく。


 好きな人へのプレゼントだからこそ妥協したくなかった。



 そんなことを思いながら、シャーペンのコーナーを見ていると、足が止まる。


 視線の先には長い時間使っても手が疲れないという宣伝が書かれたシャーペンがあった。


(誕生日プレゼントにシャーペンはどうなのか?)


 迷いながら考えていると、近くに居た店員が話しかけてくる。


「何かお探しの商品でもありますか?」


「今、知り合いの誕生日プレゼントを探していているんですけど、このシャーペンは誕生日プレゼントとして贈っても大丈夫ですか?」


「このシャーペンでしたら、誕生日プレゼントとして買われる学生様が多いですので、おすすめですよ」


「そうなんですか、ありがとうございます」


 そして商品を取ろうとした時、同じシャーペンの種類に、私が好きな色のものがあるのを目にする。


(……私も使ってみようかな)


 結局、浅村の誕生日プレゼント用と自分用で、二つのシャーペンを買った。




 雑貨屋を後にした帰り道。


 買ってからしばらく経った筈なのに、余韻がまだ胸の中で響き渡っていた。


(浅村に気に入ってもらえるかな)


 そんなことを考えながら歩いていると、あることに気づく。


(これって浅村とお揃いになるんじゃ……)


 買った時は全く考えていなかった。


 まだ付き合ってないのに、お揃いのシャーペンを使うのはどうなのかと思った。


 でも、二人でこのシャーペンを使いながら作業する光景を想像してしまう。


 隣同士で座って、同じシャーペンを使いながら、修学旅行のしおりを作っている姿を。


 想像しているうちに、心の中にある戸惑いは消えていた。


 同時に、温かい感情と少しの期待で、思わず口元が緩みそうになり、慌てて手で隠した。


(実現したらいいな)


 

 これをきっかけに更に距離を縮められればいいなと思いながら、好きな人の大切な一日を迎えようとしていた。

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