↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう一度、やり直せるなら 〜告白成功から始まる、それぞれの選択〜  作者: 青サバ
11章 気づいてしまった想いと止められない感情
113/118

11-11 告白の重み

 同じ頃。


 駿は自室で一人の時間を過ごしていた。


◆◆◆


 好きなゲームをやっているのに何故か集中出来なかった。


 同時に、頭の中に浮かんでくるのは放課後の実行委員での出来事で、正確には――岸さんのことだった。



『ありがとう』


 何気ない一言で、特別なことを言われたわけじゃないのに、妙に引っ掛かる。


 まるで、岸さんが必死に感情を押し込めているようにも見えた。


 その様子が果奈に告白した時と通ずる部分を感じ、まるで――。


――コンコン。


 核心に迫ろうとした時、ドアをノックする音が聞こえてきた。


 ドアを開けると、そこにはパジャマ姿の結が居た。


「兄さん、少し話に付き合ってもらってもいいですか?」


 いつも俺に対して強気な結だけど、今日は全く感じられない。


 声にも表情にも元気がなく、何かあったのだと、一目見ただけで分かり、兄として話に付き合うことにする。


「いいよ」


 そう言うと、結は少しだけ安心したような顔をした。


「ありがとう、兄さん」


 結を部屋の中へ招き入れると、結はベッドに腰を下ろし、話し始める。


「兄さん、この前の話覚えてる?」


「確か、結が告白されたって話?」


「はい……」


 結の返事は弱々しく、表情も重苦しくなり、見ているこっちも切ない気持ちになった。


「告白してきた男子にどう返事をしたの?」


「言われた通り、丁寧に返そうとはしたんです」


 そこで一度言葉が途切れる。


「でも……その男子の必死な表情を見た途端、なんて返せばいいのか分からなくて、結局――『ごめんなさい』ただ、その一言だけを告げることしか出来ませんでした」


 あの時は断ってもいいが丁寧にって言ったけど、改めて考えると、そう簡単なことではないのだと実感させられる。


「ちゃんと理由も伝えようと思ったんです。でも、何を言っても傷つける気がして……」


 告白の返答は告白された個人の判断で、結の言う通り、どんな返事をしても傷付け、相手を悲しませてしまう。


 どちらにとっても辛いことだとは思う。


 だけど。


 そればかりは乗り越えるしかないと、心の中で思った。



「告白してきた男子も辛かったと思うけど、結も辛かったでしょ」


「……っ」


 結が小さく肩を震わせ、目には涙を浮かべていた。


「俺は結のような経験をしたことないから分からないけど、また辛くなったら相談して欲しい。兄として力になるからさ」


 そう言って髪を優しく撫でると、一粒の涙が落ち、それをきっかけに、堰を切ったように涙が零れ始める。


「もう子供じゃないから、頭を撫でられるの恥ずかしいです……」


 そう言われたので手を離そうとするが――。


「でも……今はこのままで居てください」


 仕方なく再び頭を撫で始める。


「今日ぐらいはもっと素直になれよ」


「……うるさいです」


 そう返す声は少しだけ弱かったけど、さっきまでよりずっと自然だった。



 やがて涙が止まり、顔を上げた結の目元は赤かったが、それでも来た時より表情は柔らかくなっていた。


「今回はありがとう。兄さん」


「力になれたらのなら、何よりだよ」


 結は自分の部屋へと戻っていき、再び一人となった。



 天井を見上げて、ふと考える。


 告白にはする勇気が必要であり、それは果奈に告白する時、痛いほど味わった。


 だけど。


 辛いのは告白した側だけじゃなく、断る側にもまた別の痛みがあるのだと知る夜となった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。