表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛇神  作者: ヒノエ
7/43

第7話「テストに出ます」

 悠介は教授と只の顔を、交互に眺める。


 冷や汗が流れた。間違いなく、只はそこにいる。いや正しくは――見えている。


 悠介には見えて、教授には見えない。

 自分は見える。

 教授は見えない。

 それは、イコール?


 只が右手を上げた。


「ちなみに、生きてないから、俺」

「それを先に言えええええっ!」

「聞かれてないし」

「聞かれてなくても、言えよ! とても大事な所デスよ、テストに出ますよ!」

「あ、あの、藤谷君?」


 服の裾をつかまれて、悠介は我にかえった。

 ああ、どうせなら、可愛い女の子につかまれたい――じゃ、なくて!


「もしかして、そこに霊、います?」

「いいえ! いませんよ、いませんとも、霊なんて。あんなのはフィクションです、架空の存在です、白昼夢です!」

「ですが先ほど、只君とおっしゃる方がいると――」

「只君? ただ……あー、いえいえ! タダ券、タダ券って言ったんです。昔、親に肩たたき券をプレゼントしたら、十倍にコピーされて、三ヶ月、毎日肩もまされたことがありまして!」

「私に相談したいことがあるとか……」

「相談ですか、そう「だ」んです。というギャグです! 自虐ギャグです!」

「……」


 教授がじっとこちらを睨みつけてくる。

 しまった、今のはさすがに苦しかったか。


「ああ!」


 いきなり教授が納得した様子で、手を叩いた。


「そうなんです、と相談をかけた冗談なんですね」


 ………………阿呆で良かったああ。

 本来ならジョークを真面目に解説されるなんて、単にスベるよりもいたたまれないが、今回に限り、教授グッジョブ!


「ご理解頂けたようでなによりです。さ、研究室に戻りましょう。道明寺桜餅、買ってきましたから」

「桜餅」


 教授がぱっと顔を明るくする。

 この御仁は、甘いものに目がないのだ。


「あとでお茶、淹れてあげますね」

「はい。桜餅、いいですねえ」


 だらしないほど相好を崩すと、教授は夢見心地で研究室へと向かう。

 よし、これでしばらくは霊について忘れてくれそうだ。

 教授のあとを追うすがら、悠介はキッと只を振り返ると、こう口を動かした。


「あとで、覚えてろよ」と。


 只は肩をすくめていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ