第35話「大嫌いだ」
そう、どこか他人ごとのように見ていたのがいけなかったのか。
いきなりガシッと肩が固定される。
何かと思って振り返れば、教授もどきに背後から羽交い締めにされていた。
「え」
「ハアッ――疲れた。盾にさせてもらうぜ」
「えぇ!? 何すんだ、この野郎!」
ジタバタあがくも、しっかり掴まれ、逃げらんない。
くっそー!
教授の腕力なのに、振り切れないって屈辱だ。
しかも戸塚父はそれを見て、特に何もためらう様子もなく攻撃を続ける。
もちろん――俺ごと教授もどきを打ち抜く気満々で。
「ぎゃああっ! 当たる、当たるから離せ、エセ教授!」
「ふざけんな、離したら俺に当たるだろうが!」
「ふざけんなはこっちのセリフだ! テメエ、教授の――どわっ!?」
言い争う間にも、容赦なく光球は飛んでくる。
なかばマトリッ〇スのような体勢でかわしながら、悠介は教授もどきを罵った。
「教授の――体で、好き勝手しやがって! その顔で口汚いセリフ吐くんじゃねえよ!」
「じゃあ何か。優しーく「藤谷君。お願いします。守ってください」とでも言えば、満足かよ」
「う……」
「藤谷君」以降を、急に教授の口調で言われ、一緒悠介は言葉につまる。
が――。
「それはそれでムカつく!」
「結局ダメなんじゃねえか!」
ヒュン、と目の前を赤い光が走っていく。
ヤバい、今髪の毛の二、三本焦げたかも。
「ちょ……戸塚父ィッ! 一応俺も被害者なんだから、もうちょっと遠慮して撃ってくれよ。マジで当たるだろ!?」
「阿呆か。別に当たっても構わないから撃ってんだよ、坊や」
「この人でなしぃぃ! 鬼、悪魔ぁっ!」
「あのな。だから俺は人間だっつの」
「今のは言葉のあやだ! いちいち言葉尻をとらえんな」
「そうかい、そうかい」
どうでもよさそうにつぶやく戸塚父。
いっそ殺意すら湧いてくる。
畜生、どうして俺の周りは、こんなろくでなしばかりが集まるんだ。
「チッ、盾にも人質にも使えないのかよ。ありえねー」
背後では教授もどきが舌打ちする。
クソッタレ、みんな大嫌いだ!
「どいつもこいつも――!」
悠介は怒りにまかせて、教授もどきを振り切った。
教授の体であることも忘れて、その顔面に拳をお見舞いしようと、した。
――が。
唐突に足から力が抜け、地面に膝をつく。
「ぅあ……っ!?」




