表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛇神  作者: ヒノエ
14/43

第14話「信頼」

「な、なんだって、そんな事に……!?」


 もし、それが本当なら、大パニックだ。

 大勢の被害者が――いや、下手すれば死人が出る。

 霊が突然凶暴化して人を襲うだなんて、前代未聞だ。マンガの中じゃないんだぞ!

 ついさっきまで、あれだけ平穏な世界で暮らしていたはずなのに、それがどうしてこうなったんだ?


「知るかよ。俺だって気持ちよく走ってただけなのに、突然地縛を外されて、いい迷惑なんだ。オマケに人鬼なんぞに変化だと? 不愉快極まりないんだよ。

 ――だからだ」

「あ?」

「こちらも、自分の身を守るために情報が欲しい。ここに来るまで大学中を見て回ったが、実体化してたのは七不思議の霊だけだったからな。今回の騒動が、七不思議に関係してるのだけは間違いない。

だが俺も、全ての話を知ってるわけじゃねえんだ。曖昧な噂も多いしな。

 ――で、思い出したのが、そこの教授様だ。何年か前に、論文を書くだのなんだので、学生と一緒に調べに来てたはずだ。

 だから、七不思議について知っている情報を全てよこせ。代わりにこちらが知る情報も渡してやる。それが俺の要件だ」


 只はキャップをかぶり直し、一息つく。


「この条件飲むか、飲まないか、すぐに決めろ。時間はないぞ」

「分かった。教授に聞こう」


 只がうなずく。

 悠介は教授に向き直る。


「すみません、教授。時間がないので手短かにいきます。七不思議について――」

「いいですよ」

「え」

「時間がないのでしょう。詳しい説明は後で結構です。藤谷君の判断で、動いてください」

「教授、しかし――」

「私は君を信用しています」


 その言葉が、心に深く突き刺さる。


「大丈夫。今は、最善を尽くしましょう」


 教授の目は真剣で、俺じゃ判断できないとか、自信がないとか、そんな弱音、とても吐けなかった。

 いや、吐けないというのは、少し違う。


 ――この信頼に応えなくては。


 その想いに、弱音なんか吹き飛ばされてしまったのだから。


「はい、ありがとうございます」

 教授が笑った。

 この返答は、合格点だったみたいだ。


「では教授。この大学の七不思議に関するデータが欲しいんです。以前、調べていたそうですね」

「はい――ですが、詳しい資料は研究室ですので、取りに戻らないと」


 う、と悠介は喉でうなる。

 研究室はこの棟の四階最奥だ。最も出入り口から遠い場所にある。


 結界は破れてるし、さっきの人鬼の少女とまた鉢合わせる可能性もあるし、あまり戻りたくはないんだが――仕方ない。


「分かりました。すぐに行きましょう」


 只が横から現れる。


「話はついたな」

「ああ、条件を飲もう」

「そうか。ただ、分かっていると思うが、研究室に戻るなら気を付けていけよ――あそこも七不思議の一つだったはずだからな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ