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13  王子のヤンデレは遺伝か・・?


昨日のお茶会で、ルフィナは色々な事情を知った。最大のビッグニュースは国王陛下の浮気。


自分の妻がお茶会で蔑ろにされているのに放置しているのは、虐めているアンネッタ公爵夫人の侍女に懸想しているからだとか・・

そして、アンネッタはご自分の侍女を切り札に王宮サロンでやりたい放題。


王妃様はご自身の出自が低い事を気にされていて、我慢されている。


アンネッタの侍女はどうお考えなのだろうか?

いずれ陛下の側妃になるつもりなの?


ルフィナは実際にその陛下が懸想されている侍女と会いたいが、会う度にマウントを取ってくるアンネッタとは距離を取りたい。

侍女と二人で会う機会を探っているがこれが難しい。


ルフィナがここまで宮中のサロンの事を考えているのは、今後王宮に入ってからアンネッタに自由にされては困るのと、お優しいレオトニールの母上が、蔑ろにされている姿を見るのが辛かったからだ。


アンネッタは王宮にいる時には、必ずその侍女を連れて参内される。しかし、その侍女を側妃に推すような動きはしていない。

まるで、陛下を焦らしてそれを楽しんでいるようなのだ。その侍女はと言うと表面上は微笑んでいるが、乗り気ではなく寧ろ陛下を避けているのが伺える。


彼女が本当のところはどのように思っているか思惑を探りたい。その為にはアンネッタが参加されるお茶会に出席をしたり、アンネッタが王宮にいらっしゃるのを待った。そのターゲットはアンネッタに付き添う侍女だ。


遠巻きに様子を見て、探りを入れて分かった事は、侍女の名前はザイラ・ガルシア、20歳。ブロンドヘアーに灰色の瞳。さらにふくよかな胸が目を引く美しい体型。

彼女は子爵の娘でアンネッタの友人の娘らしい。そのために色々と目を掛けているそうだ。ザイラ・ガルシアはトリスタン学園大学の薬事専門学部にも通いながら侍女もこなしている。そして、見る限りでは年齢の差がある陛下の求愛を疎ましく感じているが、積極的に拒む事が出来ずに困っているようだった。


お茶会で噂好きなおば様達の話によると、ザイラは幼馴染みに好きな男性がいるらしく、陛下の想いに苦悩していると言うのだ。


(そりゃ、そうでしょう。他に好きな男の子がいるならば、自分の父と同じ年齢のおじ様の国王とはいえ迫られても、困惑しかないわ)

ルフィナは権力を盾に迫られるザイラを気の毒に思った。


ザイラは目立つ美人さんではないが、顔立ちははっきりとしているが、化粧は薄く清楚な感じの人だ。大人しそうな性格でどんな時も控えめな女性。

そんな女性を陛下が気に入っていると知った途端、アンネッタは王宮に頻繁に連れ回すようになった。

この話もお茶会の、おば様達の鋭い千里眼で仕入れた情報だ。

お茶会の噂話ついでに、アンネッタの話も沢山聞けた。


アンネッタの高飛車な行動は、主に貴族階級社会の貴族主義が凝り固まった人の特有のものだった。

彼女の標的になるのは子爵以下の方々。しかも、嫁ぎ先がどんなに階級が上だろうが、出生が下だとずっと見下した態度で接しているので、彼女は下の階級の人達とは嫌悪な関係にあった。


アンネッタは階級が上位の方には友好的かと言うとそうではなく、自分の手下のように扱うので怖がられている。


そんなに沢山の敵を作ってどうしたいのだろう・・・?


ザイラより、不遜な態度のアンネッタが気になった。



最近のルフィナはお茶会の情報収集に忙しく、元気がなくなっていた。相手の言葉の裏を読み、腹の探り合いはルフィナが苦手とする分野だ。

気心知れた楽しいお茶会ばかりではなく、気の張るお茶会の方が圧倒的に多い。夜会もそうだ。


ある日レオトニールに呼び出されて、王宮庭園内の四阿で待っていた。甘い花の香りが漂う良い日和に思いっきり背伸びをしたくなるが、ぐっと我慢した。


シシリアを伴ってレオトニールが可愛いバスケットを持ってやって来た。


「このところお疲れ様。きっと息抜きをした方がいいと思ってね。ここで簡単なランチをしよう」


早速バスケットの中のものを取りだし広げると、美味しそうなベーコンと野菜を挟んだバゲットが出てきた。


「わー美味しそうですね。でも、こんなに時間をここで費やして大丈夫なの?」


「ああ、ルフィナに会う時間も取れないなら、さっさと仕事を放棄してやる」

現在レオトニールが忙しいのは、陛下の仕事を全部肩代わりしているからだ。それに加えて学校にも通ってる。


私と会う時間があるなら、睡眠に当てれば良いのにとルフィナは思ってしまう。

それに、レオトニールはバゲットも食べずにずっとルフィナの顔ばかりを見ている。これでレオトニールも息抜きになっているのだろうかと不安になる。


「コホン、レオトニール殿下。紅茶を淹れて差し上げるのではなかったのですか?」


侍女頭のシシリアに言われて、レオトニールが立ち上がった。


流石に王太子殿下に紅茶を淹れてもらうなど畏れ多くて、ルフィナも立ち上がる。

「殿下・・ではなくレオ様、私が紅茶を淹れます」


「ルフィナは座ってて、これは僕のストレス解消でもあるんだ」

レオトニールは私の肩をポンと叩き、優しく座らせる。


「ストレス解消?」

いつも忙しいレオトニールの癒しが紅茶を淹れる事なのかな?

考えているルフィナに、香りの強いオレンジペコの紅茶を淹れた。


「現在レオトニール殿下は、体調を崩されている陛下に代わり、多くの公務をされています。その癒しが今日のルフィナ様との、この二人だけのお茶会だったのです」

シシリアは多忙なレオトニールを気遣うように教えてくれた。


陛下が最近公の場に出られていないが、体調がお悪いとは聞いていない。

しかし、私のデビューの宴も陛下はいらしたが、肝心の祝辞の挨拶をレオトニールが行っていた。

アンネッタ様の侍女を追い掛け回すのは出来て、公務は出来ないとはどういったご病気なのだろう?


不審に思ったのが、そのままルフィナの表情に現れてしまったようだ。


「くすっ。ルフィナが考えている事って本当にすぐに分かるね」


それって、この王宮では害になっても得にはならないですよね?

ルフィナは自分の顔に手をやって、元の表情に戻そうとしたが出来なかった。


シシリアが他の侍女に目配せをすると、給仕をしていたシシリアを除く侍女達が部屋の外に出ていった。


「急にすみません。ここからの話は王宮の侍女達にも詳しく知らせていないのです」

シシリアが声のトーンを落として話す。


「父上は最近ザイラへの執着が酷くてね。ついこの前は年甲斐も無くザイラを入れる為の大きな鳥籠を作ろうとしていたんだよ」


「え!!」

ルフィナは驚くと共に、そのヤンデレ行動は遺伝なのでは?

と声が出そうになった。


レオトニールにルフィナの心の声が聞こえたかのように、「父上と僕は違うよ」とジト目で見られた。


「そうですよ、レオトニール殿下は鎖を作りたいとか、牢屋の形のスイートルームが欲しいと仰っていてもまだ(▪▪)実際には行動には移しておられません」

シシリアも援護の発言をするが、それはもはや誤爆に近いようですが・・


「あれほど、テレリューズ様を愛しておられたのに、それ程までの心変わりが信じられないです。こう申してはなんですが、ザイラ様は必死で陛下を避けていらしてますよね?」

昔の陛下の愛妻家ぶりを知っているだけに、ルフィナはその変わり身が信じられない。


「そうなんだ。ザイラは本当に嫌がっている。けしかけているのは、ザイラの主であるアンネッタではないかと思っている」


肩を落としてため息をつくレオトニールは、本当に疲れている。

父親の執拗な浮気に、王宮サロンで肩身が狭くなっている母親。それに加えて、学生と国王の公務の仕事までしているなら、心身共に休む時間がないだろう。


「レオ様、今は何も考えずに少しお休みしませんか? 少し横になっただけでも体の疲れは取れますよ」

レオトニールが心配になったルフィナが、そういうと急に彼の目がトロンと色付く。

「始めて僕の体を心配してくれた! じゃぁ、僕が休めるように膝枕して欲しい」


「うっ」

そう来たか。休めといった以上この要求を飲んであげようとルフィナは自分で鼓舞した。


ワクワクしてるレオトニールの前で『どうぞ』と膝を叩くと少しはにかみながら、レオトニールは横になった。


「最高だ。今日は僕の膝枕記念日だ」

にこにこしながら、私の顔を見上げている。いつまで経っても目を閉じないので、「目を瞑って下さい。でないと膝は貸せません」と少し怒った表情をしてみる。


「分かったよ」

慌てて目を瞑るレオトニールを可愛いと思った。

するとすぐに、静かな寝息が聞こえてきた。

ほんの数秒で寝付くなんて、どれほど睡眠時間を削っているのだろうと心配になる。


シシリアがルフィナにストールを、レオトニールにはブランケットを掛けると音もなく側を離れた。


レオトニールの青銀色の髪を優しく撫でる。なんだか昔実家で飼っていたゴールデンレトリバーのようだわ。


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