遊び人ハ新スキルを取得する
無事テントの設営と寝床の割り振りが終わり。
楽しい楽しい夕食タイム。
夕食作りはシャルが料理長を担当し、キャトルが補佐し、カリンが邪魔をする…
カリンは、剣聖を執事に雇うような貴族の娘だ、旅に出るまで料理などしたことない。
頼むおとなしく座っていてくれ。
キャトルは貧しいゴブリンの村の出身。
一通り料理はできるが、人間向けの味付けや、金に糸目をつけない遊び人PTの豪華食材の調理方法に手間取っている。
装備の為にお金貯めてる最中だろって?こちとら明日死んでまた転生させられるかもしれない身だ、食事くらいは豪勢にさせてくれ。
シャルは、冒険者歴が一番長いだけあって、てきぱきと料理を作っていく。
この料理の腕も二人の勇者の犠牲があってのものと考えると飯が喉を通らない。
本日のディナー呪われた聖女によるフルコースである。
「乾杯」という声とともに、バッカスの酒場で仕入れた酒で杯を上げる。
「今日は本当にお疲れ、この調子であと三日狩りを続ければキャトルの装備は整いそうだね。」
本当は俺の次の錬成の資金にしたかったが…今は生き延びる確率をあげるのが先決だ。
「そうね、この緊張感ある狩りは私の成長にももってこいだわ、お父様のもとでは、こういう狩場では絶対に前線に立たせてもらえなかったもの。」
たぶんカリンより、俺とキャトルの方が緊張してるぞ、おもに勇者からの不意打ちにな!
「私もMP管理が大変ですけども、いい勉強になります。回復魔法の使い過ぎに気を付けないと、MPがすぐ枯渇してしまいます。MP回復ポーションに耐性でもできてしまいそうです。」
今回のようにレベルが高い狩場ではシャルの過剰回復も一概に悪いこととは言えない。
連戦となったらとても不味いが、レッサードラゴンは数が多くないため連戦のリスクも少なく、一戦ごとにしっかりと休憩をとることができる。
「ご主人様と一緒に戦うことができて、とっても光栄です!でも、私の攻撃ほとんどドラゴンさんにダメージ与えられなくてごめんなさい。新しい武器頂いたなら…御恩は一生忘れません。煮るなり焼くなり剥く愛でるなりなんなりとご命令ください!今すぐでも!」
相変わらず、無駄に忠誠心の高いハイゴブリンちゃんである。確かにキャトルの攻撃はレッサードラゴンには、ほとんど効いてないが、そこは種族カースト上しょうがない。レッサーとはいえドラゴンだ。ゴブリンなんぞに傷つけられたとなっては、死ぬに死ねない、死んだけど。
「確かにちょっと火力不足だったね。この際キャトルの装備も錬成しまくって、ゴブリンソード+20目指そうか?」
錬成中毒者の血が騒ぐぜ!
っと危ない+20なんて目指すの馬鹿のすること、宝くじに全財産投入するようなもんだ。俺は遊び人だが馬鹿じゃない。
ん。
俺が手にしてるゴブリンソード+20はなんだっけ?気にしない気にしない。馬鹿じゃない馬鹿じゃない。武器屋のトルネオの甘い誘惑に負けてしまっただけだ!断じて俺は悪くない。
「それよりみんなスキルポイントはどう?余っているなら今のうちに新しいスキルを取得しておいて、セバスチャン戦までに使いこなせるようにしておきたいと思うんだけど。」
「私は30ポイント貯めてあるわ!勇者の固有スキルで未取得のものも沢山あるわよ。」
えっとその中に味方に攻撃が当たらなくなるスキルとかないですか?
あまり攻撃力の高いのも問題だ。
スキル取得は、取得可能スキルの名前と必要スキルポイントしか出てこないため、一種の博打だが、勇者や聖者に関しては、固有スキルに関してもかなり情報がある。
ただし、遊び人に関しては一切ない、勇者より遊び人のほうがレアジョブだからな!
俺の方が尊い、貴重なんだ、大事にしてくれよ。
カリンの取得可能スキルを話してもらい喧々諤々話し合う。
スキルは一度取ると返却できないし、スキルポイントを全部つかっても取得可能スキルをすべて取ることはできない。それゆえ悩ましく、だが楽しい。
レベル1から育てて完全に俺好みのスキルのみ取得した勇者とか育ててみたいな!
勇者なのに後衛特化とかね。魔族もさぞびっくりすることでしょう。個性って大事だよね。
だが今は遊んでいる場合じゃないここは不本意だが真剣に考えよう。
「セバスチャンさんのことだけを考えるならこのスキルは使えそうですけど、対人戦に特化してる感じがありますよね。」
「最終的には魔王を倒しに行くわけだから、このスキルでもいいと思うんだけどピッケルはどう思う?」
「うーん。魔族も人型だしね、カリンに関してはまだまだ、レベルの伸びしろがあるし、今回は大型モンスターの討伐を考えるよりセバスチャン戦特化でいいんじゃないかな?」
そうして話し合いの結果それぞれいくつかスキルを取得した。
勇者カリンは
「リニアストライク」取得必要スキルポイント10 使用SP20
(攻撃倍率×0.8倍 通常の三倍速のスピードで攻撃可能 クールタイム30秒)
「アイアンガード」取得必要スキルポイント10 使用SP 30
(10秒間のみ攻撃被弾時防御倍率×3倍 クールタイム3分)
この二つに決定した。
後ろから俺が切られることを想定して、攻撃倍率に-補正が付くスキルと非攻撃スキルを取得させた。
攻撃倍率10倍なんてぶったまげたスキルもあったが、断固拒否だ。俺が死ぬ!じゃなくてチャージタイムが長すぎるんです。ハイうんきっと。
初めて勇者のスキルをまじまじと見させてもらったが…なにこのチートスキルの数々。
伊達に勇者してないわ。そりゃ魔王討伐命じられるってもんだわ。
なれって言われてもなりたくないね。なりたくなんてないんだもんね…でもちょっと嫉妬。
シャルは回復魔法はほぼ極め切っているのとスキルポイントがあまりないので一つだけスキルを取得。
氷の中級魔法「アイスランス」取得必要スキルポイント10 使用MP20
(三本の氷の槍を飛ばし相手を攻撃する 攻撃範囲20メートル クールタイム1分)
回復魔法を使い過ぎる傾向のあるシャルに攻撃魔法を取得させ、敵を殺す快感を…
というわけでもなく、次の戦いではシャルを守って戦えないかもしれない。
いざ聖者に襲い掛かってきた敵の前衛に氷の槍で迎撃作戦である。
問題は、中級魔法で次の相手に効果あるのかなってところ?
キャトルのハイゴブリンという種族は人間でいう盗賊やら軽戦士やら斥候やらといったジョブと似通ったスキルが多かった。
スピードを上げたり、察知能力を上げたり、敵の注意を引きつけたりする能力だ。
まだ、主力武器を何にするか決まっていないことから、武器が決定後スキル選択することとなった。
ハイゴブリンのスキルもどれも使えるものばかりで、とても将来有望です。
俺がどんなスキルをとったかって?
それは、機密事項だどこで、セバスチャンが見てるかわからないからな。
とにかく少しでも強くなるため俺が大博打に出たとだけ言っておこう。
だって遊び人のスキルって情報がなにもないんだもの……




