遊び人と武器屋とハイゴブリン ②
さて、半ば強引に対魔族を想定した訓練をトルネオに依頼したのはいいが、トルネオさんの、本気ってどんくらい強いのかな?
錬成好きの武器マニア以外は……
オリハルコンの剣とかいうチートなアイテムをぶん投げてキングスライムを瞬殺していたイメージしかない。
あっ怒らしちゃダメな奴じゃね?オリハルコンとか人間の最終兵器だよな。適正装備レベルいくつからだよ。
とにかく危ないから投げるのはやめなさい!
呼び出しておいてなんだが、こっそり帰ろうか?ねえキャトル。待ちぼうけするおっさんとか面白そうじゃない?
「それにしてもトルネオさん、ご主人様とPT組みたくないだなんて!ちょっと許しがたい発言です。組みたくても組めないゴブリンがどれほどいることか!ちょっと本気で懲らしめてやりたいです。ご主人さまがんばりましょう!」
おっおう。死なない程度にね。帰りたい。一分前の自分を殴りたい。
だが、よくよく思い出してみると俺が戦うとは一言もいってないんだよ?うん読みかえしても大丈夫だ。
っというわけでキャトル頼んだぞ。頑張るのは君だ。
「やあ、、ピッケルさん、お待たせしましたかな?」
いろいろ考え終える前に完全武装したトルネオが来た。
なんだか全身が金色に光り輝いてますな。
フルプレートアーマーっていうんでしょうか?胴体だけではなく兜・篭手・靴まで装備している。
まさかそれ全部オリハルコンだったりするんでしょうか?全身装備でおいくらですか?
どっかの国家予算規模の金額動いてません?
えっ?流石にオリハルコンではない?でもお高いんでしょう?伝説の何かなんでしょう?
伝説のおっさんシリーズですか?
「はい、お待ちしておりました。キャトル君存分に力を発揮してきなさい。」
「えっご主人様もご一緒に……戦ってくれるんじゃ……」
そんな目で見るな。すべては君の為、決して身の保身を考えてのことじゃない!
俺だと、本気で殺されかねないが、キャトル一人なら手加減してくれるだろうから頑張りなさい!
っといいたいところだが、キャトルちゃんにそんな目で見られると……
ゴブリンキングとしてのプライドが俺を強大な敵へと駆り立てる。
我が名はピッケルゴブリンの王なり!なんと無駄なプライドだ。
臣下を守るのも王の務め!!あらかた身から出た錆……気を取り直して、さあやってやろうじゃないか。
「トルネオさん胸を借りますね!!キャトル右から俺は左から、同時攻撃でいくぞ」
ステータスアップダイスの効果は持続しているが、まだクールタイム中。
スキル発動「物真似 ステータスアップダイス 敏捷2倍効果時間20分」
錬成の過程で編み出した、チート技 秘技ステータスアップダイス二倍がけ!
それも敏捷2倍×2倍だ!今の俺は音速の貴公子!危なくなったら脱兎のごとく逃げてやるぞ。
スキル「逃げ足」の発動もわすれるもんか!
ダナンから買い取った転移魔法のスクロールだってあるからね。
同時に駆け出した、俺とキャトルだが、敏捷四倍は半端ない。早すぎぃぃ。流石にキャトルのスピードを大きく上回り、追い抜きそうになる。
連携大事。連携大事。なんのためのPTだ。抜け駆けとか要らない。スピードを落とす。
危うく単騎特攻しかけてしまうところだった、キャトルを少しだけほんの少しだけ前にだしておく。
今回はスピードに乗りすぎていて、途中スキル「早着替え」でクロスボウ攻撃なんぞ挟む余裕がなかった。
ほぼ同時に、キャトルはヒッグスナイフで、俺は神剣ゴブリーヌでヒッグスを切りつける。
キャトルのヒッグスナイフは恐るべきスピードでアーマーの隙間を狙うが、ヒッグスに微妙に狙いを外され、「ガチン」という音とともに、ヒッグスのアーマーにあたる、明らかにノーダメージ。
「あううう。手がしびれる。」
「お嬢さんいいナイフもってますな!!だが所詮はいいナイフ止まり!!まだまだ錬成がたりませんぞ!!錬成です、錬成あるのみです!強くなるためには錬成に励みなさい。」
違うだろ?練習とか修行とかだろそこは?
俺のゴブリーヌは流石にアーマーで受け流すわけにはいかないようで、オリハルコンの剣で華麗に対応される。
スピードにのった連撃をこれでもかとヒッグスに打ち込むが、キャトルのナイフは、アーマーに弾かれ、俺のゴブリーヌはオリハルコンの剣で相殺される。
ダメだこれ、勝ち目が見えん。
とはいうものの、流石に敏捷特化ハイゴブリンの攻撃と、敏捷四倍の神剣装備遊び人の攻撃にさらされてトルネオも防戦一方という展開。
局面は完全に硬直した。
その後も10分間ほどゴブリーヌを縦横無尽に振るいヒッグスに襲い掛かるが、軽い傷程度で終わる。ポーションで瞬間回復だ。
戦いながら考える。勝つための方策を、いつものことだ!それが俺の戦闘スタイル。
幸運や偶然やらに任せるのは最後の手段だ、常に考え続けたものに勝利は訪れる。
戦いながら三つほこれはといえる方策を思いついた。覚悟しろトルネオ!
だが、どれもトルネオを本気で殺すつもりでかからないと、成功しない方策だ。覚悟しろトルネオ!
とはいうものの本当に成功しても困る。
仲のいい武器屋のおっさんを修行で殺すわけにはいかないのだ。覚悟しろトルネオ!
だがなにより、怖いのは、作戦失敗してトルネオさんが激高してしまい勢いに任せて殺されてしまうことだ。覚悟しろピッケル!
局面は完全に硬直している。
今後の展開を考えると……
俺のステータスアップ効果がきれ、押され始めて俺だけ半殺しにされる未来。
トルネオが二人を相手に疲れがでて、徐々に俺たちの攻撃が通り始める未来。
俺には俺が半殺しにされる未来しか見えない。
いやはや実にいい実戦的な訓練だったな。奥の手も考えついたことだし、もう終わりにしましょうよ?
おっさんに喧嘩を売った俺が馬鹿でした。
この世界にはきっとおやじ狩りなんて言葉はないんだうな。危なすぎる。
「キャトル!装備の重要性わかったかな?今のキャトルの攻撃はどんだけがんばってもトルネオさんに致命傷を与えることはできない。」
「はい、よくわかりました!!お金貯めますぅ。いい武器といい防具買います!」
「トルネオさんありがとうございました。キャトルにいい武器と防具の必要性を知らしめることができました。これからはキャトルも俺たちと同じ錬成の僕となることでしょう!」
「そうか、それはよかったです。キャトルちゃん錬成はすばらしいですぞお。」
と言いながら一層力のこもった一撃を俺にお見舞いしてくるトルネオ。
ちょっまてよ!今本気で殺す気じゃなかった??
神剣ゴブリーヌでギリギリ受け流す。
「まあ。こんなもんですかな?ピッケルさん遊び人にしては筋がいいですな、神剣ゴブリーヌをまだまだ、使いこなせていないが、時期に使いこなせるるようになるでしょう。その時はまたかかってきてください。名剣同士の戦いは最高にエキサイティングですからね!+20ゴブリンソードと戦えるとなんてな体験なかなかできるものじゃあありません。実に貴重な体験でした。そのゴブリンソードの切れ味は本当にすばらしい……相手がピッケルさんじゃなきゃ命がいくらあっても足りないところでしたよ。」
どこまでも武器愛好家なトルネオさんですね。
そして地味に嫌味を混ぜてくる……
オーケートルネオ受けてたとうじゃないか、今度は戦うのは、レベルをあと20くらいあげてから四人PTを組み俺の全力で戦ってやるよ!あと、もしくはおっさんシリーズを勢ぞろいさせて、フルボッコだ!
その時はトルネオお前もスキルをつかって本気でこい。
結局今日トルネオがなにかスキルを使うことはなかったのだ、まさに底がみえなかった。
早く強くなろうと改めて誓った今日一日である。
その後は通常の訓練をトルネオにしてもらう。
俺とキャトルが防御する側トルネオが攻撃する側だ。
なにこれ?さっきよりひどい状況におちいってますけど?これ通常の訓練なのか?
キャトルちゃんこれは訓練じゃないいじめってやつだ。俺と一緒に逃げよう。
トルネオが保有する珍しい武器から繰り出される珍しい攻撃を回避したり、防御したいする訓練です。
チャクラムとか、ヌンチャクとか吹き矢とか、鎖鎌とか、いやートルネオさんよくそんなへんちくりんな武器仕えるな、尊敬を通り越して怖いわ。
流石に手を抜いてはくれているようだが、なんどか、危うく死にそうになりました。ひやひやで寿命は確実に短くなりました。
キャトルに攻撃するときより俺に攻撃するときの方が力籠ってるのは気のせいだよね??錬成の仲間の絆俺は信じる!!
どんな攻撃にも対処できるようにする訓練という大義名分だが、これはひどいぜトルネオ。
一方的虐殺ってやつだ。
「ご主人様トルネオさま、すごい勉強になりました。私も使ってみたい武器が沢山です。お金ためますよ!!」
まあ、キャトルの為にはなったようだから一応目的は達成かな!!
なんだか俺とトルネオの間にしこりのようなものができた気がしないでもないが、悪性でないことを祈ろう。
短い時間ではあったが、キャトルの良い修行になった。なんだかんだいって、さすがおっさんなのである。




