遊び人と武器屋とハイゴブリン
翌日はおっさんシリーズに稽古をつけてもらう日となっている。
カリンはラッシャーに前衛として、仲間を巻き込まない戦い方法とスキルの有効活用について学ぶ。
シャルはマイケルのところで、ヒーラーとしての基本とMP管理の復習だ。
俺とキャトルはトルネオと防具と武器の相談だ。
今は金にあまり余裕はないが、狩りを続ければ俺の幸運チートレアドロップゲットでかなりの効率で金を稼ぐことはできるだろう。
目ぼしい武器と防具を先に見繕っておき、金を貯めるモチベーションとしたいところだ。
「ご主人様、私このナイフとっても馴染んでいるからこれで十分ですよ。ゴブリンソードよりすごい切れ味ですし」
「たしかにキャトルには軽いナイフがとても合っているけどね。防具も少し充実させた方がいいんじゃないかな。」
「私当たらないから大丈夫!」
「でも前カリンの攻撃うけたでしょ?」
「むぎゅう。あれは、まさかの後ろからの味方からの攻撃……想定外ですよ!」
「いや、あれがうちのPTではよくあるから気をつけなきゃいけないんだよ。」
「えっよくあるんですか……」
頑張れキャトル、君のスピードなら回避できる。でも万が一回避できなかった時の為に少しいい防具買おうか?
「防具もそうだけど、武器も投げナイフとしても使うわけだし、予備のものをもっておくほうがいいと思うよ。」
そうこうしているうちにトルネオの武器屋に到着した。
「おお。ゴブリンキング様じゃないですか!冒険者ギルドに討伐依頼がくる日を楽しみにお待ちしております。例のもの修復終わりましたよ。あと錬成はどうします????」
おいトルネオ。モンスターみたいに呼ぶのはやめてくれ。
「さすが仕事が早いですね!って今日は自分の装備の強化に来たんじゃないんですよ…」
「でもするんだろ????」
「ええやらないわけにはいきませんよね?」
行こう行こう錬成の泉へ!ごめんねキャトル。
少し前に倒した黒焦げ魔族がドロップしたアイテムの修復が終わったんだ。
そしてそれは今俺が装備しているものと同一のもの。
適正装備レベルが45から装備できるかなりレアものだ。ただし、装備できるのは魔族にかぎられてしまう……俺は遊び人固有スキル「おしゃれ」で+30まで装備できるし魔族専門武器防具まで装備できるって言うおしゃれっぷり!!が、他のPTメンバーでは装備することはできないのだ。
キャトルあたりが装備できたら最高なんだけどな、装備できない防具を余らせておくくらいなら錬成したほうがいいと神様がいっている。
『スパイダーキングの絹の服』
適正装備レベル45 レアリティ 7
防御力 100
特殊効果 あらゆる攻撃魔法の効果を2割削減する。
スパイダー系モンスターの念糸攻撃完全無効
自動修復機能有
ぐふふ。こいつを錬成し最強の高みへさらに一歩近づくのだ。
「ご主人様……顔がこわいです。」
最近錬成ばかりしている気がするが仕方がない。
「流石にレアリティ7の一品ですな、錬成にいきなり5000Gかかります。この前散々泉にG投げ込んでいたけど大丈夫ですか?」
5000Gだと???50万Gにくらべたら安い安い!って思えるのは金があったあの時だけだ。
今は金欠ピッケルピンチ。
だが、PT資金とは別口座でお金があるから大丈夫。
自分のお金でやるからこその錬成だよな?
「5000Gは今の俺には痛いですが、なんとか……」
オーケー覚悟は決まった。あとは投げ込むのみだ。PT資金じゃないってことも気楽でいいもんだ。
だが、万が一失敗すれば、裸のピッケルになってしまう。俺の一張羅を万が一にもなくすわけにはいかないのだ、念には念を入れて……ステータスアップダイスをふっておく。
「敏捷2倍アップ効果時間30分」
なんと不吉な!ここで幸運アップがでないだと?俺らしからぬ前兆に震えあがるがここで引き下がっては、男が!遊び人が!錬成中毒者が!廃る。
行くしかないのだよ、分かるかキャトル!
いや分からんでいいな……
「いいのかピッケル?」
「はい、ゴブリンキングとして覚悟を決めました失敗したら普通の服でいいので売ってくださいね。」
勢いに任せて泉に投げ込む。
「ピッカーン」
無事成功だ。驚かせやがって。今の俺のチート幸運があれば+2程度では、これ以上幸運はいらないってことだったのかね。
『スパイダーキングの絹の服+2』
適正装備レベル45 レアリティ 10
防御力 100 + 50=150
特殊効果 あらゆる攻撃魔法の効果を3割削減する。
スパイダー系モンスターの念糸攻撃完全無効
自動修復機能有
MP+70 HP+70 力+50
「おお。これはまた素晴らしい一品ですな。どうでしょう50万Gで?」
「売りませんよ!これがなかったら、とっくに勇者の攻撃で死んでます。」
「……ですな。命を大事にしてください。」
「それよりも、キャトルの武器と防具を探しに来たんですよ!当初の目的を果たさせてください。」
「はいな。ちょっと待っててください。」
といって店の中に消えていくトルネオ。
キャトル向きの武器をいくつか見繕ってくれる。
レベル25で装備できるものなので、値段もお手頃なはずなのだが、さすがヒッグスの武器屋だ。ボッタくりか?
すべてが一級品、最低価格10万Gからってところだ。普通の武器もあるにはあるらしいのだが…
腐っても魔王を倒すことを目的としたPTなのだ。
武器も防具も下手に妥協する気はない。
だがしかし、キャトルには本当に申し訳ないが今の俺には買えないよ!ちゃんとお金貯めて買ってあげるからもう少しだけまっててくれ。
なんか錬成しに来ただけになってしまっては問題なので、トルネオに約束を果たしてもらうこととする。
「ちょっとちょっとトルネオさん安くなりませんかね?」
「いやーゴブリンキング様これでも利益度外視の最安値ですよ。ピッケルさんの装備ならぼったくりもするがキャトルちゃんの装備ですからな!男はだまって稼いでくるのです!」
「わかりました。ではPT組んで狩りにいきましょうか。祭りの日に約束しましたよね??キャトルの訓練してくれるって!やっぱり実戦あるのみですよ!」
「まて、まて、まて、キャトルちゃんの訓練は確かに請け負いましたな!今すぐ始めましょう。基礎訓練からです、基礎が大事!基礎が。ええい。丁寧語疲れるわ!はっきり言うぞ。ピッケルお前とのPTはダメだ。謎の魔族に襲われて魔王に目をつけられたり、やっと手に入れたこの平和な生活を失いたくはないんだよ。おっさんにはおっさんの武器屋としての生活があるんだ!!俺は錬成+10成功させるまで死ぬわけにはいかねーんだよぉ!」
漢トルネオの心の叫びだった。
なんという切実な訴え心にジーンと来たが、そんなことPTを断る理由にはならん!断じて認めんぞ。
こちとら遊び人なのに遊ぶこともなく魔王打倒のため日々努力してるんだ。おっさんだってPTくらい組んでくれよ。
そんな真っ向から否定されてピッケル結構ショックです。不吉の象徴的な……俺は幸運チートのピッケルだ。
だがまあ、今日は仕方ない、狩りは狩りで四人PTでやるのが一番か。
っということで、今日は対人戦の練習だ、VS 魔族を想定してね。当然魔族役はトルネオお前だ。本当に覚悟しろ。
「じゃあ対人戦の訓練をお願いしますね。十分後に南の広場でお待ちしております。来なかったらどうなるか?覚悟ください。市街戦となるのみです。」
半ば脅迫して店をでる。結構ショックだったんだよトルネオ。
前はPTくんでくれたじゃんかよぅ。
って伝説のおっさんに俺とキャトルの二人で襲い掛かるの?嫌それ無理ゲーでしょ。
あくまでキャトルの訓練です!!
キャトル頑張れな。
遊び人はひそかに遊ぶ。




