遊び人はゴブリンと遭遇する ③
ゴブリンちゃんに案内されて、ゴブリンの村へ向かう俺たち。
ゴブリンの王なんて特殊効果のせいで、崇拝されているようだが、実質錬成しただけ。
ゴブリーヌの錬成をするだけで、王様になれるなんて、これはうまい話なのか?
メンドクサイ匂いしかしないんだが、気のせいか?
まずもってドラゴンが居座っているゴブリンの村で王になる?
ドラゴンの手先になるの間違いじゃなかろうか?黒焦げに燃やされて、おしまいなんじゃ……
冷静に考えると弱気になる。
だが、こんなかわいい幼女が困っていて見捨てるわけにはいかないだろ?
仮にも遊び人と勇者のPTだ。ここで日和っては遊び人の名に傷がつく。
ここは勢いで行くしかない!
「トルネオさんは、ドラゴン一人で倒せたりしますよね?」
オリハルコンの剣持ってるような奴は伝説の何かだろ?
「あなたは私をどこのだれだとおもってるんですかっ!!!しがない街の武器屋ですぞ。誰がどう考えても無理でしょうに。」
伝説の武器屋でしょ?あんたの店の品見る限りしがない街の武器屋なんて言わせないぞ。伝説の武器屋だラストダンジョンの前に移転しなさい。
「でも……トルネオさんお強いんでしょ?さっきキングスライム一撃で倒してましたよね!」
「あのーピッケルさん?悪魔みたいなこと考えてないですな?私たち錬成の仲間ですよね??錬成の同士、錬成中毒同士ですよね。生きて帰って錬成+20目指すんですよな???私を使い捨てのおっさんみたいに使うなんてことはまさかありませんよね?」
使い捨てのおっさんか、いい響きだなあ。
アイテムボックスに入れておきたいものだぜ……おやじ臭くならないなら考慮しよう。
トルネオはおっさんシリーズの中でも錬成の友……安心しろお前が死ぬのは伝説のおっさんシリーズの最後の最後だ。
持つべきものは錬成の友よ!
「じゃあ四人で連携したらどうでしょうか?」
「可能性はなくはない、ピッケルあんが囮となって、ドラゴンの攻撃を受けシャルロットの聖者様を死守する。その間に私とカリンの勇者様でドラゴンを挟み撃ちって感じでしょうか?うまくはまれば弱いドラゴンならいけるでしょうな。」
名付けてピッケルゾンビ作戦ね。
それすっごく強いよ魔族も倒した実績もある……
だがな、誓ったんだ……その作戦は二度と使わない。
禁術なんだよ!トルネオ、発想が遊び人クラスだぞ?もっと独創的な武器屋的なアイデアを出さないと地獄を見るのはお前だ。
「いや。それは良くない……このPTの肝は勇者でも遊び人でも武器屋でもない、聖者です。万が一があってはならないんですよ!!!絶対に!!ここは、PTとして連携の取れた俺とカリンでシャルを死守するんで、トルネオさんが最前衛で戦いながら、ドラゴンの注意を引く。俺とカリンがシャルを守りながら中衛から攻撃を仕掛ける!これでいこう!これしかない!」
「カリン、シャルどうだろう」
「私はピッケルさんに守ってもらえるなら、とても心強いです。カリンもいてくれればさらに心強いです。」
さすがシャルよくわかってらっしゃる。
「うん。賛成ね。ヒッグスさんとは連携したことないから、下手に私が前衛いっちゃうと巻き込んでしまいかねないわ。」
よく言ったカリン、ご褒美はお肉な。
ふふふ。トルネオ、三対一だぜ。
多数決万歳。民主主義万歳。
俺はお前の案でもいいんだが、二人がね。うん二人がね。こういう時は、多数決だもんね。
「……私も帰ったら錬成+10目指すんだ……」
トルネオが諦めて遠い目をしているが気にしちゃだめだ。おっさんに情けは無用と決めている。
おっさんは強んだ!自分を信じろ。武器屋の自分を!武器屋なら魔王だって殺せるさ。きっと。
キングスライムを一撃で葬ったのが仇となったな!!
切り札はとっておくものだよトルネオ君。
そうこうしているうちにゴブリンの村にやってくる。ドラゴンに気が付かれないよう遠くの木の陰から観察。
まさに村という形容詞が一番しっくりくる、普通の人間の家に比べると二回りほど小さな家が200軒ほど建っているがどの家もボロボロだ。
ゴブリンちゃんの説明だと、この村は、ラクーン近辺では最大の集落であり、ラクーンとは長年友好的な関係を築いてきたとのこと。
ゴブリンの総数は1000ほどだとのことだ。
ゴブリンは基本的には、半農半狩猟で生きており、人間との交易もしている。
集落こそ平地にあるが、すぐそばは樹海になっており、そこで取れるキノコや木の実や弱いモンスターや動物を狩りして、得たものを人間との交易に出し、売って得たお金を使いゴブリンでは作れないものを人間から買ったりしている。
ゴブリンの村に特別な特産品なぞない。
あえていえばゴブリンソードくらいのものだ。
それも一部のマニアックな人達が勝っていく程度……人は彼らを錬成中毒者と呼ぶ。
ゴブリンの生産能力は、人間よりも低く力も人間以下であり、いうなれば、かわいいだけが取り柄の絶滅危惧種的存在だ。
基本時にとても貧しい村といったところ。
だが、貧しさに負けずゴブリンたちは楽しく暮らしているらしい。
そうあのドラゴンがやってくるまでは……
この村で、王として祭り上げられても、メリットが少なすぎるな。
ゴブリンソードだけゲットしたら、すたこらサッサと知らんぷりするのが定石!
と言いたいところだが、愛剣ゴブリーヌの特殊効果として、ゴブリンの王が与えられた以上、俺はそこから逃げるわけにはいかないってのが、錬成中毒者の痛いところだ。
俺はゴブリーヌの虜なんだ。
特殊効果に呪いとか魅了とか絶対はいってると思うんだよね。
シャルとカリンとゴブリーヌだったら迷わずゴブリーヌを守りかねない。
愛剣ゴブリーヌがゴブリンの王になれと言っているんだ、ならずにどうする??
ってか特殊効果的にすでになっちゃってるんでした……
まずは、とにかくドラゴンを退治!
とはいかなくても、どうにかして、食料事情くらいは改善してやらないとな、ゴブリーヌに申し訳が立たない。
このままじゃ、帰るに帰れないぞ。
それに、村にドラゴンがいる以上、ゴブリンソードの買い取り回収もままならない。
来た意味がないじゃないか。
俺たちも目的はドラゴンでもゴブリンでもない……ゴブリンソードの大量確保だ!
そのためなら使い捨てのおっさんを使い捨てることも厭わない。
だがトルネオは比較的大切なおっさんだ。何せ錬成の同志だからな。ほんの少し心が痛むぞ。
俺たちは覚悟を決める。
トルネオには覚悟を決めさせる。
やるときはやるのが遊び人だ!伊達や酔狂で錬成+20を目指してるんじゃないんだ。ただの中毒なんだ!
ゴブリンソードを手に入れるためならドラゴンの一匹や二匹倒してやるよ!
誰か助けてこの呪いから……
とにかく少し考えればわかることだ、なんか収支があわない……
ゴブリンソードを手に入れるために、ドラゴンを倒すだなんて馬鹿げてる……
けど、逆におもしろそうだよね。遊び人心をくすぐってきやがる、やってやるよ!
今までも、自分たちよりはるか格上の相手に幸運と、スキルと仲間との連携とおっさんの力で勝ってきた!!今回だっておっさんの力を振り絞ればなんとかなるさ。
俺はさっそく奥の手①を発動する!!!
前回の魔族の時は使い忘れてた俺の最大最強必殺の奥の手!
『竜よびの笛』を使用する。
俺に恩があるドラゴンクリスティーナの召喚だ。
ふふん。ドラゴンにはドラゴンを!
同士討ちしてくれるかはわからんが、説得くらいはしてくれるだろう。
笛を吹いて暫くすると……
ゴブリン村の方から小さな金髪少女が走ってやってくる、すごい勢いだ。
むむ……ゴブリンか?いや違う。
ゴブリンにしては速すぎる。
土煙が巻き起こっているぞ。
そして何より見覚えのある美しい金髪幼女なのだ……
何度見てもかわいい……もって帰りたい。
はかなげな容姿の中に、力強い金色の目。気高き美しさを内在した幼女だ。
その名もドラゴンクリスティーナがゴブリン村からやってきた。
そんな馬鹿な!なんで君がゴブリンの村から?なんて思うことはない。
ああ、なんとなく八割方そうだろうと思っていたよ?
お前が邪竜王だと思っていたさ。
遊び人の感はよくあたるもんと相場がきまってる。
「ピッケルさーん。呼びましたかっ。こんな近くなら笛つかわなくてもよかったのにっ美味しいご飯ありますよー一緒にたべまっしょっ」
それ!!ゴブリンちゃんたちが必死で狩りして取ってきたご飯だぞおおお。お前の隣には飢えたゴブリンちゃんたちがいるんだ!気が付け鈍感竜っ子め。
「おーいクリスティーナ会いたかったよ。」
「わっわたしもです。どうかしましたかっまた魔族ですか?悪い奴なら私がやっつけますっ」
ヨシキタ!自分で自分を殴れ!
「ごめんっ大人の事情が色々あってね、とりあえず一発殴らせてください。」
言うや否や俺は疾風のクロスボウをスキル早着替えで装着しクリスティーナ目掛けて打ち放つ。
餓死したゴブリンの仇打たせてもらうぞ!
実際餓死したゴブリンちゃんがいるかしらないけど……




