遊び人はゴブリンと遭遇する。
翌朝、おきたらシャルとカリンが裸でベッドの横にいた……
なんてことはなく、俺の命がけの一気飲みのおかげで、二人ともすごすごと部屋に引き返したとのこと。
さあ、今日はトルネオとゴブリンソードを入手しに行く日だ!
狩って狩って狩りつくすぞ。
約束どおり冒険者ギルドに行くと、トルネオとラッシャーが立ち話している。
どうやら知り合いのようだ。
「ってなわけでピッケルには十分注意しろよ。マイケルとダナンも散々な目にあったようだ。」
ラッシャーさん聞こえてますよ?俺の何に注意するのかな??
それにしてもおっさんの情報網侮りがたし、昨日の今日でダナンの慰謝料の件?まで漏れ伝わっているとは思わなかった。
「おっおう。そんな危ない奴だったとはなです……ですが武器屋として錬成の仲間として約束してしまっていますからね、死なない程度に頑張るしかないですね。」
トルネオさん男前。
どこかの副ギルドマスターとは違うわ。
「おはようございます。トルネオさんラッシャーさん。今日は天気もよく冒険日和ですね。」
トルネオとラッシャーが此方をみる。まるで悪魔でも見るような目つきだ。
ピッケルショック。
たまにはおっさんにも優しくしないと、悪評が先行しかねないな。
「おう。ピッケルか、元気そうでなによりだな……ゴブリンソード+20を目指すんだって?そいつはすごいことだな。ちょうど北の森の外れに、はぐれゴブリンが集まりつつある場所があってな。クエストがあるからそいつの消化をしてくれると助かるよ。ランクはC報酬は500Gだ。あとまた魔族を倒したってな。今日からお前ら全員冒険者ランクAな。特別な義務が発生するわけじゃないから安心しろ。」
クエスト報酬が安い、安い、安いぞ???報酬500G?そんな安値で俺たちが動くとでも?
だが、500Gの報酬といえば、一人なら一年は楽に生活できる金額だ。
ダナンのせいで金銭感覚がいかれてしまっているようだ。
これも悪魔的道具屋ダナンのせいだ、ダナンが悪い。
お金はあるにこしたことはないが、今はとにかくゴブリンソードの確保が優先だ。
錬成の為にはあと100本は欲しいところだ。
冒険者ランクも全員Aにあがった。これでラクーンでも有数のPTと認められたことになる。
勇者と賢者と遊び人がいていつまでもCランクじゃ笑われてしまうし素直に喜ぼう。
そうして、トルネオと四人での冒険がはじまった。
まずはトルネオの実力みないとね?背中を預けれる存在なのかどうか?
魔族に襲われたとき、肉壁として役に立つかどうか?ここ重要です。
町をでて、街道を1時間ほど歩いた時点でやってやる。
スキル『物真似:キングスライムの咆哮』
「ほう?これがラッシャーが言ってたやつですか……ゴランの密林のようにスライムいるかわからんですぞ。」
むむ……手の内がばれている……ラッシャーめ。
人の必殺技を伝えるなんて冒険者ギルドの副マスター失格だろ?
だが、そこは俺の幸運だ、キングスライム様のお出ましだ、残念ながら一体のみ。
あとはちびっこスライムが20体ほど。
「ばれましたか。背中を預けるに足る人物か見させてください。トルネオさんはキングスライムをお願いします、雑魚はこちらで受け持ちます。」
「あいよ」
結構軽いノリでトルネオは請け負う。
今までは街道を歩いていたこともあり、装備自体軽装だ。
トルネオはアイテムボックスに手を入れると一本の剣を取り出す。
眩いばかりのその剣は「オリハルコンの剣」……さすが武器屋だチートなアイテムもってるなトルネオ、俺に下さい。
さすが俺が見込んだ武器屋だ。
何者だ正体を明かせ。
スキル「投剣」
ヒッグスがスキルを発動し剣をキングスライムに投げつける。
一撃でキングスライムは爆散する……
トルネオ強い!できる!しびれる!
キングスライムの理想的な倒し方だ、最大火力で一撃必殺。
そうしないとチビスライムと融合し回復するわ強くなるわで手に負えないのだ。
キングスライムに苦戦したラッシャーが弱いわけではない、相性の問題だ。
「じゃあ今度はこちらがお手並み見させてもらおうかな。」
なんと立場が逆転してしまった。雑魚とはいえスライム20体もいるんだぜ。
メンドクサイよね。
俺も必殺スキルで一網打尽だ。
スキル「物真似:ファイヤーストーム」
唱えると同時に、炎の嵐が……巻き起こらなかった。
まさかの失敗!MPだけごっそり持っていかれる。
カッコ悪いこと山のごとし。
だが、ここで失敗しておいてよかった。二度連続で失敗することはあるまい?
次は確実に発動するだろう。前向きに前向きに!トルネオのちょっと冷たい目が冷たい。
前向きにカリンと俺で一匹ずつジミーに仕留めていく。
一分ほどですべて狩りつくす。
いいウォーミングアップになりました。
「さすが勇者ですな、いい動きです。ピッケルさんも遊び人とは思えない動きをなさる、剣術の修行をみっちりなさったようす。」
ふうトルネオの信頼回復もできて目でたし目でたしだ。
その後は街道を一時間ほど歩き、街道から外れて東側へ道なき道をさらに30分ほど歩き目的地周辺へ到着した。
ゴブリーヌの為だ、種族根絶やしにするつもりで、行かせてもらうぞ。
ゴブリンよ俺を恨むな。恨むなら錬成を恨むんだ。
「ゴブリンです。」
トルネオが真っ先に見つけてPTに知らせる。
初のゴブリンさん登場!お前が傷つけてきたであろう村人の仇だ!神妙に死ね。
剣だけは俺が貰う。
初めてみるゴブリンは…………俺がイメージしているのと少しというか大幅に違った…………
小さくて悪魔のような容姿をして、半裸でゴブリンソードなんぞ装備しつつ村々を襲う醜悪な存在。
ではなく、ゴブリンソードこそ装備していたが、そこにいたのは、小さな人間だった。
しかも少女だ。めっちゃくっちゃかわいいんですけど?小さい10歳くらいの幼女だ。
これ根絶やしにするの?これ殺すの?ゴブリーヌの為ならしょうがないの?
見た目に騙されるななの?
ダメだ。俺にはこのゴブリンちゃんを何も言わずにブスリと殺すなんてことはできない。
トラウマになってしまう……どうしたもんか。
トルネオ鬼になってくれ……いややっぱりなるな、このゴブリンちゃんを殺すなんて俺にはできない。みたくもないよ……錬成あきらめようか??
新章となります。




