遊び人PTは10万G争奪クエストに挑戦する ①
翌朝、ギル ド前で、副ギルドマスターのラッシャーと落ち合う。
流石にラッシャーは副ギルドマスターとして、名の知れた人物のようだ。
「おい。あれラッシャーだぞ。ついにラッシャーもゴールデンスライム狩りにでかけるのか?」
「俺たちも負けれないな。急がなきゃな。」
「それよりラッシャーのPTの女の子二人かわいいな?あんな子と冒険してぇぇ。」
「俺はむしろギルド受付嬢と冒険したいね!」
なんて冒険者たちの羨望のまなざし。
「準備はいいな?」
「はい!」
「じゃあ今回はギルド専用馬車で向かうぞ。徒歩だと1日だが、馬車なら半日ってところだ。」
ん?半日でいけるならテントいらんかったんじゃ……
馬車に乗ると、ラッシャーが色々今の状況を説明してくれる。
「今回の緊急クエストの達成内容の確認だが、ゴールデンスライムの宝玉を一つ入手することだ。ゴールデンスライムと戦ったことはあるか?」
「ありません。」「ないわよ。」「あります。」
あら、シャルロットさんあったのね。
「ゴールデンスライムは、ここから南に馬車で半日いった、ゴランの密林の中に生息している。討伐ランクはCで俺のいるこのPTならば脅威ではないが、いかんせん逃げ足が速くて俺でも取り逃がすことが多々ある。範囲攻撃の火力で一気に叩くのが手っ取り早いな。宝玉のドロップに関しては、1000匹倒して一つでればいい方ってところだ。ドロップした宝玉はギルドでは通常5000Gで取引している。今回10万Gもの報酬がでるのは、金満道具屋のダナンって奴が閃いた次のアイテム作成にどうしても必要なアイテムで、早急に欲しいということで破格の特別価格になっている。」
ラッシャー直々に出てきた、訳がわかった。
命の危険はないが、ドロップをゲットできれば、一挙に冒険者稼業廃業してもいいほどの大金がはいるクエストだ、普通の冒険者なら挑まない手はない。
「現在ラクーンには、Cランク以上の冒険者が300人いるが、そのほとんどがこのクエストクリアを目指して、ゴランの密林に入っている。つまり、ほかのクエストが溜まっていく一方ってわけだ、東の樹海付近では村の近くにまで魔物の姿が見えるようになっている。ギルドとしては、至急このクエストを終わらせて、冒険者を各種方面へ振り分けたいってことだ。」
「このクエストは発注されてどれくらいなんです?」
「二週間だ。300人の冒険者が狩りにきてこれだからな。」
この二週間他の方面の魔物討伐はかなり手薄だったってわけだ。
俺もその被害者の一人……このクエストがなければ、魔族の発見報告は他の冒険者によってされていたかもしれないし、森の魔物も適度に間引きされていたことだろう。
なによりダナンの旦那……あんたのせいで、あんたのテント買うことになってるんですけど?
冒険者×300人に、ゴランの密林での遠征及び現地での狩りに備えて大量の道具をかわせる。
まだテントすらもっていない初心者冒険者には、1000Gでテントを売る。
ははは、冒険者がカモのようだぜ。
ダナンの高笑いが聞こえてくるような気がするが気のせいか??
道具屋ダナン……すべて見通したうえで、このクエストを発注しているとしたら恐ろしいおっさんだ。
いったいいくら稼いだっていうんだ?
すべては奴の描いた絵の通り、場合によってはダナン=魔族の手先まである。
こんなクエスト真面目にこなさず、ダナン邸を襲ってダナンの息の根をとめたらどうだい?
でも10万G貰えるなら許すよダナン。
さて、三時間ほどで、ゴランの密林の入口へだが、ここではまだ馬車を下りない。
さらに一時間ほど、馬車にのり、、密林の奥側へ移動する。
さすがに300人の冒険者がいることを考えると、密林入口付近の敵は狩りつくされているだろうというラッシャーの進言だ。奥になると、適正狩りランクはBとなり一気に冒険者が減るはずだ、とのこと。
流石副ギルドマスターで効率的な狩りの方法をご存じでらっしゃる。
いざ冒険の始まりである。
「陣形はどうしますか?四人PTとなるとまたカリンがどうなるか?私も一瞬でMPが尽きてしまう気がします。」
「シャル、今回は一日単位での狩りが前提です、MPの温存は、絶対意識してください。少しでも余裕があれば『瞑想』による回復を!ゴランの密林の奥側はBランクが適正狩場ってなると今の連携不足の俺たちじゃ荷が重い強い敵が多く出る。この見通しの悪い密林の中では、いつどこから敵が出てくるかもわからないから、一応カリンとラッシャーさんが前衛という位置づけ!下手な連携は怪我のもとだから、もし敵が二頭以上いれば、カリンは一体を受け持って早期討伐を!ラッシャーさんは壁役ってことで、残った敵全部の注意を引いてください。俺は万一に備えてシャルの傍でシャルを守りながら中衛的動きをさせてもらうよ。」
「どうでしょうラッシャーさん?」
「おいおい、ずいぶん俺を酷使する作戦だな。だがレベルの高い前衛の俺が壁役か……妥当な作戦かもな、ピッケルお前遊び人にしておくにはもったいないぜ。勇者PTにでもはいったらどうだ?ってもう入ってたか!!遊び人なのになぁガハハハ。」
遊び人だから楽する作戦が思いつくんだよ!若者が手を抜きおっさんが働く理想の世界を俺はつくるんだ。
「シャルいいわね。ピッケルに守ってもらえるなんて!私も勇者じゃなくて聖者にうまれてくればよかったわ!でもピッケルのいうとおりで頑張る。タイマンの意識でいけばいいのね。かなり気が楽になったわ。思い切りいきます。」
「わっ私もピッケルさんに守ってもらえるととても心強いです。よっよろしくお願いしますね。」
中衛かつヒーラーのすぐ横での活動だ。一番安全なのは俺なんだぜ?
ラッシャーの生暖かい視線が突き刺さる。
俺が考えた俺が楽する俺のための作戦だ!
誰にも文句は言わせないんだ、文句があるなら他の方策考えろ。
何せ今回のクエストは俺の幸運チートが最重要となる。
その俺が怪我でもしちゃねえ、幸運チートも不発に終わるってもんよ。
「ところでラッシャーさんは俺たちの職業ご存知ですよね。風体からラッシャーさんを前衛換算してましたが、よかったですか?」
「ああ。勇者に聖者に遊び人のPTなんだ。そりゃすぐに報告がはいったさ、守秘義務があるからギルドから情報が漏れることは絶対ないその点は安心しろ。俺の職業は秘密だが、軽戦士系だ。スピードタイプに特化した戦士と考えてくれればいい。本来は防御はたかくねーが、回避があるからな、壁役もできるぜ。」
「じゃあ、作戦どおりで!シャル、今回は防御より回避に専念したいところなので、補助魔法は敏捷をあげるもので頼む。」
こうして俺たちの10万G争奪クエストが始まった。
せっかくラッシャーがいるのだ、いきなり初戦でドロップゲットなんてことがないようにしたいものだ。
俺はこっそりダナンの店で買ったポーションを飲む。
ダナン特性ステータス半減のポーションだ。本来は敵にかけることにより、敵の一番高いステータスを1分間半減することができるアイテムだ。
だが、ダナンの魔改造により、これを飲むことにより、飲んだ人間は、半日間一番高いステータスが10分の1となる。どんなときに使うんだよ!っと思っていたアイテムだが、こういうときだったんだな。
ありがとうダナン。チート幸運を捨てた遊び人、心新たに最強を目指す!




