遊び人は装備を新調する。
翌朝からの狩りに備えて二人とは別行動で、アイテムの補充だ。
まずは、ダナンの道具屋による、ここではMPHPSPポーションをかなりたくさん買っている。
転生して日が浅い俺は常連ではないが、かなり上客のはずだ。
今回の目的は、必須入手アイテムは「テント」だ。
「いらっしゃい。いらっしゃい。」
「おら。ピッケルさんか、またまとめ買いするなら少しは安くしますよ?」
道具屋のおっさんが気さくに話しかけてくる。
「ありがとうございます。でも今回は、テントを探しに来たんです。次のクエストは、一週間くらいはかかるクエストみたいでして、今後のことも考えるとそろそろテントや旅道具一式揃えたいと思いまして。」
「おお。テント含めた旅道具一式ですか?こりゃまた上客じゃないですか。こりゃ、無事売れたら今日はもう店じまいですよ。新規アイテムの開発にいそしまなくては。」
道具屋の笑顔が止まらない。この人は自分が売ってるアイテムはすべてお手製だとのことだ。
趣味は新規アイテムの開発。なかなか面白いアイテムがあって、いくつか俺も購入してる。
「テントは一番安いのでよければ30Gからありますが、お勧めできんません。長旅するなら寝床は重要ですからね。うちにある一番高いのだと1000Gの私お手製テントになります。その名も『道具屋ダナンのテント』これ買いましょう、これ!そうしましょう、決まりです。ピッケルさんみたいな、初心者冒険者にはぴったしですし。色々機能が付いていましてね……」
まだ、なんも決めてねえ!!しかもいきなり一番の高級品前提とは、どこの押し売りだよ。
まだ、自分の開発したアイテムの自慢話を続けてるが、話が長い!そして早口で聞いてられん。
こいつも大概異世界基準のおっさんで、普段は気のいいおっさんだが、自分の商品や、自分の開発した新アイテムの話になると話が長いし目の色が違う。狂気の目だ。
マッドサイエンティスト的な……
だが、この世界のおっさんどもは仕事ができるのは間違いない。
「おっさん、おっさん!正気にもどってください!そんな早口でしゃべられても聞き取れません!そのテントおっさんが作ってるだけあって、すごいことは分かります。要点だけもう一度ゆっくり説明ください。」
「あらま。すみませんすみません。ついつい自分のアイテムとなると、熱が入ってしまうのが悪い癖でしてね。」
要約を聞くと。どえらいアイテムだ。
1 広さを選べる。
森での野営では、広い場所が取れないので、本当に小さなテントとして使用できるし、平原での野営など広さが十分であれば、4LDKの家みたいなテントになる。もうそれテントじゃねー。
2 完全防音。
3 完全防水。
4 モンスター接近アラーム機能付き
5 低級モンスターを追い払い機能付き(虫含む)
「買います!ぜひ売ってください!虫よけが付いてるテントがこの世にあったなんて、さすがおっさんです!仕事ができすぎます。こんな道具屋世界にここだけですよ!」
「わかってくれますかピッケルさん。さすが私が見込んだ男ですよ。うちのテントの中でも一番のおすすめですが、ちょっとお値段が高くなりすぎましてね。在庫を早く売り切って、次のアイテム開発の資金としたかったところなんですよ。在庫の最後の一つですし、このアイテムの素晴らしさをわかっていただける貴方だけの特別価格です!800Gで売ってさしあげましょう。」
「おっさんありがとうございます。大事に使わせていただきます。でも値段は1000Gで!おっさんの新しいアイテムすごく楽しみなんです!ぜひ開発資金につかってください。虫よけをつけるあたり流石です。」
虫よけまでつけてくれたおっさんの今後に期待だ。虫よけ付きテントを叩き買いするほど俺は虫好きじゃないんだぜ。
「なんと!ピッケルさんの心意気ありがたく頂戴いたします。!じゃあおまけに旅に必要な道具一式をテントにいれておきますね。どれも一級品ですよ。といってもこいつがあれば、基本他に旅道具なんていらないんですけどねぇ。ふふふふふふふ。あとこの新作ポーション5本もっていってください!まだ売り出してない、いうなれば非売品です。常連の何組かの冒険者には渡して使っていただいています。使ったら使用感といくらなら買うかも聞かせていただけると助かります。」
そうして、俺は最高級テントと新型ポーションを手に入れた。
新型ポーションは、人体実験じゃね?むしろお金もらうほうだろと。
突っ込むのはやめておいた、テント売ってくれなかったら困るもんな。
次は武器屋だ。
俺は後衛の弓職になるため、弓矢を……じゃない。
中距離攻撃ができる、武器となにかいいものを探しに来たのだ。
次狙うモンスターはゴールデンスライム。
強さはそこまでじゃないが、とにかく死にそうになるとメタルスライムのごとく逃げるのだそうだ。
逃げた敵にとどめを刺すためになにか中距離攻撃武器が欲しいのだ。
さっそく、錬成大好きおっさんが店主務める武器屋に入る。
その名も錬成中毒者御用達トルネオの武器屋へ。
このおっさんただの錬成&武器マニアではなく自分で武器もつくっているのだ。
「おっさん。おひさしぶりです。」
「おうピッケルさんまってたましたぞ!ゴブリンソードなら30本たまってます!早速行っちゃいますか、錬成しに!!」
「おお30本も!!さすがトルネオさんです。30本あれば+2くらいいけるかもしれないですね。いこういこう。」
ん?本来の目的……
「ってごめなさい、今日は錬成しに来たんじゃないんです。いえ、錬成への布石です。実はうまい話しがありましてね。カクカクしかじかで、うまくいけば10万G手にはいるんですよ。錬成はその時にやるとして、今回はそのクエストを確実に遂行するために、逃げたゴールデンスライムを倒す用に、中距離攻撃用の武器が欲しいんです。」
錬成しないと聞いて、がっくりなおっさん。
お前完全に錬成中毒だよな。錬成中毒厚生施設とかないの?
あと……人の金と人の武器でする錬成ってたのしいのか?
「ゴールデンスライムですか……あいつは相当に厄介ですねぇ。あいつ対策としての中距離攻撃用となると……色々ありますが。今装備してるゴブリンソードから武器を変えてる間に、敵が逃げても困るってわけですし。っとなると投げナイフやトマホークやらですかねえ。」
「できれば、二種類考えています。すぐに攻撃できるようの、片手で扱えるものと、パーティーメンバーに前衛を任せて、中衛的に攻撃する為の、なるべく火力の高い武器です。予算は今回は1000Gが上限です。」
この1000Gは、ドロップアイテムとは別にモンスターがドロップしたお金だ。
それも俺が総取りしてる。
シャル、カリン愛してる。できれば、次のクエストでゲットする予定の10万Gもくれ。
俺は強くなりたいんだ!ゴブリーヌとともにな。
「そうだなあ。中距離攻撃でさらに逃がしたくない敵がいるってのなら、「鞭」なんて最高なんですが、扱うのにかなり練習が必要になりますな。下手すりゃ仲間に当たるだけ……次のクエストでってなるとな……そうだなですな。これ一択でしょうか。クロスボウです。」
「クロスボウってのは、専用の矢を弦により発射する武器でしてな。事前にアイテムボックス内で矢をセットして、さらに弦も引いた状態で収納しておけば、トリガーを引くだけで普通の弓より早く打てる。それに、比較的狙いが定めやすいのが利点です。」
拳銃の弓矢版ってことか、たしかにアイテムボックスから取り出した後、いかに早く打ち出せるかが肝だ。さすがおっさんだぜ。わかってる。
剣術は前世で剣道やっていたのが幸いしたが、
弓関係に関しては素人だ。
でも、俺の幸運補正から逃れられる敵なぞいないだろ?
「じゃあ投げナイフと、クロスボウを予算の範囲で見繕ってください!」
そうして、俺は新たな武器をゲットした。見立てはすべておっさんまかせだ。
困ったときは、頼りになるのはどこの世界もおっさんだ。
『ヒッグスのナイフ+4』×2 200G×2
適正装備レベル30 レアリティ 10
攻撃力20+(40)
特殊効果なし、
やはりこのオッサン錬成好きだよな。
『疾風のクロスボウ』 400G
適正装備レベル35 レアリティ 7
攻撃力 40
特殊効果 射出速度+15%
『疾風の矢』 20G×10本
適正装備レベル45 レアリティ 8
攻撃力 15
特殊効果 射出速度+20%
また、普通の店じゃ売ってないようなレアリティーだ。
さすが、おっさんだぜ。お前こんな南部じゃなくて最前線といわれてる北部で武器屋やったほうがいいんじゃないか?と他人事ながら心配してしまう。
クロスボウは、威力よりもなにより射出速度を優先した。
当然矢にも金がかかるわけで、今回はかなりいい矢を10本だけ買う。
絶対拾って使うからな!一本で錬成20万円分だかんな!!
後衛職として弓10本というのは、ありえない少数だが、基本はあくまで前衛だし、いいでしょ?
こうして俺は純中衛として、やっていけるレベルの装備を手にしたのであった。
問題点は、ただ一つ……またほぼ無一文からのやり直し。
幸運チートで稼いだ金があっという間に消えるこの世界どーなってるの?
地道にコツコツしてる普通の冒険者たちが心配でならないわ……
まってろよ10万G!ゴールデンスライムとやら。
ゴブリーヌ+20の夢の為には狩りつくしてやる。
10万字まであとすこし…




