018 とある男子生徒の日常
ここは男子寮。女子寮と同じく3年生と1年生がペアになっている。
この部屋の住人はスィータンと同じく外から入学した男子。そしてスィータンが父親からこの学園に入れられる理由となった、ロッド伯爵家の3男、ナギィ君だ。
「なあ、ナギィ。お前、婚約者とかいるの?」
「どうしたんですか先輩、急に」
「いやぁ? 伯爵家だったらお前くらいの年でも婚約者とかいるんじゃないかなって思ってよ」
「いませんよ。伯爵家といっても僕は3男ですから。それに、親に決められた人と結婚するのはちょっと」
「ん? 伯爵家ともなったら家柄もいい美人を紹介してもらえるんじゃないのか? 何が気に入らないんだ。俺だったらそうして欲しい」
「そういう問題では……」
「ははーん、あれか。さてはお前、好きな子がいるんだな?」
「ちっ、違います! そんな子いませんから!」
「おいおい、墓穴を掘ってるぞ。で、誰なんだ? 言っておくが俺はしつこいぜ。今日はしゃべるまで寝かせないからな」
次の日。
「さーて、顔を拝みにいくか」
「ちょっと先輩!」
「んだよ、どんな子か気になるだろ。見に行くだけだよ。恥ずかしかったらお前はついてこなくていいぜ?」
「いえ、行きます。先輩が余計なことをしないように見張っておきますから」
「ばらしたりしねえって」
「信じられませんね」
「俺って信用ねーのな。あ、そこの1年、お前、スィータン・アルゲンってやつ、どこにいるか知ってるか?」
「スィータンさんなら、教室にいましたよ」
「さんきゅー。おい、ナギィ、行くぞ!」
「ちょっと先輩、見るだけですよ! 見たら帰りますからね」
「わーった、わーった」
生返事の先輩と、彼を信用していないナギィ。そんなこんなで二人は教室にたどり着く。
「で、どの子だ? あの赤毛の子か?」
「違いますよ」
「じゃああの胸のでかい子か? お前が好きそうだな」
「ちっ! 違いますよ。僕は別に胸が好きなわけじゃ」
「ふーん、そう言う事にしておくか。うーん、じゃあ誰がスィータンなんだよ」
「教えません」
「ふーん? まあいいよ。おい、君、スィータン・アルゲンってどの子? こいつが今から告るんだけど」
「ちょ、ちょっと先輩! わかった、分かりました。教えますよ。まったく」
放っておくと何をしだすか分からない先輩に諦め感を抱くナギィ。
「ったく、最初からそう言えよ。で、だれなんだ?」
「あの子です」
「どの子?」
「あの子です、あの子。ほら、黒髪で目が前髪で隠れてる子です」
「お前、ばれると恥ずかしいから嘘言ってるんじゃないだろうな」
「本当ですよ」
「信じられんな。あれのどこがいいんだ? なんか挙動不審でキョロキョロしてるぞ? それに胸も大きくないし」
「先輩って女の子の胸しか見てませんね」
「ばっか、大事なことだぞ。胸は顔に優先される」
「そうですか。じゃあ帰りましょうか」
「おっと、ナギィ、何綺麗にまとめた感じを出してるんだ? あいつのどこが好きなんだよ」
「言いません」
「ふーん。あー、そこのスィータンちゃん? こいつが――もがががが」
「なんで声かけようとしてるんですか! このまま締め上げますよ?」
「ちょ、ちょっとまって、首、首に入ってる、ギブギブ!」
「騙されませんよ。すでに5回騙されてますからね。さ、このまま帰りますよ」
「うげげげげ」
首を絞められて引きずられながら教室を後にする3年生。もちろんそんな異常な光景は1年生たちの注目を集めていた。
とまあ、そんな事があったのだが、スィータンは何一つ気づかず、精霊フラと会話していたのだった。
お読みいただきありがとうございます。
ナギィ君8歳の姿。成長してよくしゃべるようになったようです。
内容は恋バナですが!
次回は我らが主人公スィータンのお話に戻ります。
お楽しみに!




