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013 先の事

 学校を卒業したスィータン。この後は中等学校に進学するかどうかとなる。

 卒業できたと言っても、ギリギリ滑り込みセーフ。かろうじて卒業できたに過ぎない。つまりは学校で学んでいる効果が出ているのか、という話で行くと、この後は学校に通わせてもらえない可能性もある。


 そんな折、父親であるラックスに呼ばれたスィータン。

 もう学校には行かせないと言われるのだと怯えながら父の元に向かったのだが――


「いいかスィータン。お前は王都の学校へ行くのだ」


「??」


 スィータン8歳は何を言われているのか分からなかった。

 学校に行かせないという話では無かった。

 むしろ学校に行けという話。

 でも、王都? この町ではなく? 王都?

 という混乱の極み。


 子供であるスィータンも王都については知っている。どこか遠いところで王様がいるところだ。


 そんなスィータンへ父ラックスが言葉を続ける。


「ロッド伯爵家の3男が王都の学校に行くという情報を掴んだ。お前も一緒に行って交友関係を深めるのだ。言っている意味はわかるな?」


「??」


 スィータンはその話にピンと来ない。

 誰かと仲良くしろと言われているようだが、肝心のそれが誰なのかが分からないのだ。


 父が言っているロッド伯爵家の3男とは、学校で仲良く本を読んでいたナギィ君のこと。

 だけどスィータンは彼をロッド伯爵家の3男と認識していない。

 そのためチンプンカンプンで、さっぱりわからないのだ。


「まあいい。すでに手続きは済ませてある。出発は明日だ。すぐに準備するんだ」


 そう言われて父の部屋から追い出された。


 ――ぼふん


 いつもどおりスィータンは自室のベッドへとダイブした。


 《わけがわからないわ》


 《うーん、学校に行けるからいいんじゃない? 行きたいんでしょ?》


 《行きたいか行きたくないかで言われると、行きたい、になるけど、王都なんて行ったこともないのに……》


 《精霊の国に近いところかな?》


 《知らないわよ。フラは他人事だと思ってるでしょ》


 《まあ、フラはスィータンについて行くだけだしね》


 《行ったことのない場所に知らない人。怖いよ》


 《うーん、そんなに危険なところなの?》


 《そういうんじゃないの。王都は綺麗で安全な場所だって聞いたことがあるわ。でもそうじゃないのよ》


 《そうじゃないなら、どうなの?》


 《もう! 心配なの!》


 《なにが?》


 《なにがって、知らない場所に行くのがよ。どこで寝たらいいのかもわからないし、ベッドだってあるかもわからないし》


 《ふーん。でも、スィータン一人じゃないよ。フラがいるから》


 《そうだけど……》


 《それにさ、スィータンの言ってた聖女ってやつ。王都にいるんでしょ?》


 《たぶん……》


 《じゃあ、会えるかもしれないよ》


 《そうかなぁ》


 《そうそう。きっと会えるさ。それだけで行く価値があるんじゃない?》


 《聖女様に会える……》


 《そうそう。大好きでしょ?》


 スィータンは記憶の中の聖女の姿をたどる。

 出会ったのは本当に小さなころで、顔はもううっすらとしか思い出せない。

 だけど素敵な笑顔は覚えている。まるで太陽のようにキラキラと輝いていた。

 今まで出会った中で一番素敵で一番眩しかった人。


 《うん。大好き。会えるかな?》


 《会える会える。きっと会えるよ》


 《うん!》


 などと言いながら夜を明かしていたスィータン。遅くまで起きていたのに荷造りをしていなくて、次の日に父親に怒られてしまったのだった。

お読みいただきありがとうございます。

5歳編(仮)はここで終わりになります!

次回からは8歳のスィータンをお楽しみください!(今話はフライング

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