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捨てられた女  作者: yukko
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20/25

娘の披露宴

娘・恵子の挙式が終わり、披露宴になった。

元夫の席は、親族の席ではあるが、その両隣の席にも前の席にも誰も居ない。

親戚が無いから、こんな席を用意出来た。

恵子は披露宴の最中、⦅呼ばれただけラッキーって思って欲しいわ。お祝いを貰ったから呼んだの。……会うようになったけど、父親だけど育てて貰った訳じゃない。……話す相手も居ないことだし、席の周りに誰も居なくていいわよね。⦆と思っている。

披露宴が終わりに近づくと、花嫁の感謝の手紙を読む場面になった。

恵子は母への感謝の気持ちを手紙に書いた。


「お母ちゃんへ

 お母ちゃん、いっぱい苦労して育ててくれて、ありがとう。

 嫁いでも私は、お母ちゃんの娘です。

 ……………うっ………ううう…………。」


手紙は途中から新郎が読み上げた。

妻はずっと泣いている。止めどなく涙が溢れて来る。

最後に恵子は泣きながら「お母ちゃん………お母ちゃん………ありがとう。」と言った。

妻は深く頭を下げた。

「上野君、どうか、どうか恵子をお願いします。上野さん……不束な娘ではございますが、何卒よろしくお願い致します。」と言いながら………。

その祈りにも似た言葉が上野の耳に届いてはいないだろう。

泣いて頭を下げている母親の背中に手を当てて賢一が支えている。

花束を、恵子は上野夫妻に、上野和宏は恵子の母に渡した。


それを見ていた上司夫婦もハンカチを顔に当てたままだった。

一番遠くから元夫は一人寂しく見ていた。


披露宴が終わり、新郎新婦が披露宴会場の出口で見送っている。

一番最後に元夫……恵子の父が新郎新婦の前で娘に言った。


「恵子……おめでとう。」

「ありがとう。」

「招いてくれて本当にありがとう。」

「うん。」

「………幸せになってくれ。」

「うん、ありがとう。」

「お義父さん……ですね。」

「あ………はい。」

「初めまして、上野和宏です。」

「恵子を頼みます。どうか幸せにしてやって下さい。」

「お任せ下さい。恵子は僕が幸せにします。」

「ねぇ、二人で幸せを掴むのよね。」

「あっ! そうだね、うん! 二人で掴むんだ。」

「二人で…………。」

「そうでしょう。お父さん、夫婦二人で幸せを掴むの。

 私は夫に幸せにして貰うんじゃなくて、夫婦二人で手を取り合って掴むの。

 それが夫婦でしょう。」

「………そうか………そうだな。

 二人で幸せになってくれ。」

「はい!」


披露宴が終わり、新婚夫婦は友人が集まる二次会の会場へ向かった。

元夫は最初の妻に声を掛けた。


「あのな………少し時間あるか?」

「………ええ、ありますけど……。」

「お父さん、何? 母さんに何の用?」

「賢一……そんなに心配か?」

「そりゃ、そうでしょう。」

「……そうだな、賢一も一緒に………時間あるか?」

「あるよ。母さんが都合付けるなら………。」

「どこかで話しをしたい。」

「分かりました。賢一、どこか場所あるかしら?」

「この近くの店で、どう?」

「静なら助かるよ。」

「分かった。じゃあ、付いて来て。」


賢一と二人で妻は、元夫の話を聞くことになった。

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